善玉・悪玉コレステロール数値表|あなたのLDLは高い?低い?

人間ドック

LDLが高いと心筋梗塞リスク!|善玉・悪玉コレステロール数値表

この記事の監修ドクター

大阪府済生会中津病院 総合健診センター 部長
田中 督司

【経歴】
1992年 京都大学医学科医学部 卒業
1992年 神戸市立中央市民病院 研修医
1994年 京都大学医学部 大学院
1999年 大阪赤十字病院
2007年 大阪府済生会中津病院
2015年 大阪府済生会中津病院 総合健診センター部長 就任
【資格】
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医

脂肪(脂質)の一種である、コレステロール。法定健診の血液検査に必ず含まれる項目で、心臓病・脳卒中を引き起こす動脈硬化の指標として知られていますが、世間的には「コレステロールが高い=悪いこと」のイメージが強い印象があります。

では、実際にコレステロールが高くなってしまうと、どんなことが起きるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

目次
  1. コレステロールとは|生命維持に必要な脂質の一種
  2. 善玉と悪玉の違いは「役割と大きさ」
  3. あなたは高い?低い?コレステロール数値表
  4. LDL増加原因のひとつは飽和脂肪酸
  5. LDL増加による動脈硬化、心筋梗塞の仕組み
  6. まとめ:日頃からコレステロールが高い状態を避ける心掛けを

コレステロールとは|生命維持に必要な脂質の一種

そもそも、コレステロールとは、一体どんなものなのでしょうか?

コレステロールは生命の維持になくてはならない、体の中にある脂質の一種です。細胞の働きの調節や栄養素の吸収などに関わっており、全身の細胞膜(細胞への物質の出入りを調節する)の成分となります。また、コレステロールは数種類のホルモンとビタミンDの生成を助け、脂肪の消化を助ける胆汁酸をつくり出す際にも役立つため、体内には一定量のコレステロールが保たれていなければなりません。

コレステロールが生まれる場所ですが、体外から取り入れるもの(食事)と、体内(主に肝臓)で合成されるものの2つに大別ができ、前者がコレステロール全体の3分の1、後者が3分の2を占めるといわれています(今回は、体内でつくり出されるコレステロールを取り上げます)。

善玉と悪玉の違いは「役割と大きさ」

「善玉コレステロール」と「悪玉コレステロール」の違い
ここで、よく耳にする「善玉コレステロール」と「悪玉コレステロール」について説明します。

名前が異なるので2種類のコレステロールが存在すると思われがちですが、体内における役割の違いで善玉と悪玉に分けられているだけで、コレステロールは1つ、です。コレステロールは血液に乗って必要な体の各所に運ばれますが、コレステロールは脂質であり血液に溶けにくいため、「リボたんぱく質」という成分と結合する必要があります。例えるなら、リボたんぱく質はコレステロール(船員)を乗せる船です。

リボたんぱく質は2種類あり、分子量(サイズ)の大きいものが「HDL(善玉)」、分子量が小さいものが「LDL(悪玉)」と呼ばれます。この2つのリボたんぱく質の“船”のどちらかにコレステロールが“乗船”し、「HDL(善玉)コレステロール」「LDL(悪玉)コレステロール」となって、血液中に運ばれる(航海する)というわけです。

LDLコレステロールはなぜ「悪玉」と呼ばれるのか

「善玉」のHDLコレステロールは、血管にある余分なコレステロールを肝臓に戻す「回収係」の役割を持っています。HDLコレステロールがコレステロール回収してくれることで、動脈硬化の防止につながります。

一方、「悪玉」のLDLコレステロールは肝臓から全身の細胞にコレステロールを届ける役割を果たしていますが、細胞に必要以上にコレステロールが増えてしまうと、使われずに残った血液の中にある過剰なコレステロールが動脈の壁に次々と入り込み、動脈硬化を引き起こします。これが、LDLコレステロールが「悪玉」と呼ばれる理由です。

人間が健康を保つためには、コレステロールが過剰にならないよう、HDLとLDLがバランス良く機能していることが大切です。

あなたは高い?低い?コレステロール数値表

LDLコレステロールや血液中の中性脂肪(TG)※が基準より高い、またはHDLコレステロールが基準より低い状態のことを「脂質異常症」といいます。

よくいわれる「コレステロールが高い」状態とはこの「脂質異常症」を指しており、脂質異常症になると動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こすリスクが高くなります。
※TG:糖質がエネルギーとして脂肪に変化したもの。脂質の一つ。

HDL(善玉)コレステロール

異常なし 要経過観察 要医療
40以上 35~39 34以下
(単位:mg/dl)

LDL(悪玉)コレステロール

異常なし 軽度異常 要経過観察 要医療
60~119 120〜139 140〜179 59以下、180以上
(単位:mg/dl)

中性脂肪(TG)

異常なし 軽度異常 要経過観察 要医療
30~149 150~299 300〜499 29以下、500以上
(単位:mg/dl)

Non-HDLコレステロール

異常なし 軽度異常 要経過観察 要医療
90~149 150~169 170〜209 89以下、210以上
(単位:mg/dl)

※要医療=検査結果を持参して医療機関を受診し、今後の詳しい検査や治療方針について医師に相談すること

HDL(善玉)コレステロール、LDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪のバランスの異常が間接的に動脈硬化を促進するといわれています。

中性脂肪は、糖質と並んで重要なエネルギー源となるものですが、エネルギーとして使われなかった中性脂肪は皮下や内臓周辺に貯蔵されてしまいます。中性脂肪が増え過ぎるとLDL(悪玉)コレステロールが増え、HDL(善玉)コレステロールが減りやすくなることがわかっているため、中性脂肪が増加しないよう、注意を払う必要があるでしょう。

なお、Non-HDLコレステロールとは、総コレステロールからHDLコレステロールを引いた値で、動脈硬化のリスクを総合的に管理できる指標です。

LDL増加原因のひとつは飽和脂肪酸

コレステロールが高くなる背景には、遺伝的要素や食習慣、運動不足、肥満などが挙げられます。

遺伝的要素の代表が、「家族性高コレステロール血症」です。これは、遺伝的にLDLコレステロールが高くなってしまう病気のことで、日本では200~500人に1人の割合で存在します。この病気で問題なのは、子どもの頃からコレステロールの高い状態が長く続くことで、早いうちから適切な治療を開始することが必要です。

LDL(悪玉)コレステロールは、正常の量であれば全く問題ありませんが、増え過ぎには注意が必要です。LDL(悪玉)コレステロールの増加は「飽和脂肪酸」の取り過ぎが原因の一つにあります。飽和脂肪酸はバター、生クリームなどの乳製品やラード、肉の脂身などに多く含まれているので、伝統的な日本食を主食にするなど、定期的に食習慣を見直すようにしましょう。

逆に有酸素運動をすれば、HDL(善玉)コレステロールは増やせます。

運動不足はHDL(善玉)コレステロールを減らす原因ですが、逆に有酸素運動をすれば、HDL(善玉)コレステロールは増やせます。適度に運動を日常生活に取り入れることが重要です。

肥満者が中性脂肪やコレステロールを多く含む食品を取り過ぎると肝臓が中性脂肪の合成を促進し、脂質代謝に異常が生じやすくなりなります。中性脂肪はアルコールや甘いもの(糖分)で増える傾向があるので、お酒をよく飲む人やケーキなどをよく食べる人は、注意が必要です。

LDL増加による動脈硬化、心筋梗塞の仕組み

血液中にLDL(悪玉)コレステロールが増え過ぎるとコレステロールが血管壁にたまり、血管壁がふくれ上がって血管の内腔(内側の空洞部分)が狭くなり、血管壁が硬くなって、もろくなります。これが俗にいう「動脈硬化」で、この動脈硬化が脳の血管で起きると「脳梗塞」、心臓の血管で起きると「心筋梗塞」になります。

動脈硬化のイメージ

「脳梗塞」は、血栓ができることによって血管が詰まってしまい、酸素が脳に行きわたらなくなることで起こる病気で、突然、発症します。放置すると、まひや感覚障害など、生活に支障をきたす重大な後遺症を残すことがあり、最悪の場合、生命に危険を及ぼすため、初期症状を把握することがとても重要です。

「心筋梗塞」は冠動脈(心臓に酸素と栄養を送るための血管)が完全にふさがり、心筋に血液が流れなくなった状態を指します。心筋梗塞になると心筋が壊死し、重症の場合は死に至ることもあります。

まとめ:日頃からコレステロールが高い状態を避ける心掛けを

コレステロールが高い状態(脂質異常症)では、動脈硬化のリスクが高くなります。動脈硬化のリスクが高くなると、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高くなり、生命の危機にさらされる確率も高まります。

動脈硬化は、自覚症状がないまま全身の動脈がむしばまれて進行していく「沈黙の病」。症状がないうちから健診を受けたり、生活習慣を見直したりして、予防に取り組んでいきましょう。