脳卒中はどんな病気?|リスクを把握し脳ドックで早期発見・早期予防を

脳ドック

脳卒中の種類|タイプ別の概要と対策を徹底解説

監修ドクター

この記事の監修

日野市立病院 

脳卒中とは、臓器内の血栓や出血などで急激な症状が出ることをいいますが、近年、脳卒中は「脳血管障害」ともいわれるようになりました。

脳卒中にはくも膜下出血も含まれ、各診断に至る検査もいろいろあります。今回は、脳卒中の初歩的な分類や人間ドックで提供されている検査項目について取り上げます。

目次
  1. 脳卒中とは|脳の血管が「つまる」または「破れる」
  2. 現代は栄養過多?脳梗塞が増えている理由
  3. 脳卒中は3種類|梗塞・出血の場所別に分類
  4. 脳梗塞と脳出血、初期治療法の違い
  5. 脳梗塞は「MRI検査」、くも膜下出血リスク把握には「MRA検査」
  6. まとめ:すべての脳卒中リスクを検査する「脳ドック」の活用を

脳卒中とは|脳の血管が「つまる」または「破れる」

脳卒中の違い。脳の血管がつまった場合は「脳虚血(のうきょけつ)」、破れた場合は「脳出血(のうしゅっけつ)」となる。

冒頭で記した通り、脳卒中は「脳血管障害」と呼ばれるようになってきました。

脳の血管が「つまる(閉塞)」か「破れる」ことによって、脳に血流がなくなり、脳細胞や神経細胞がダメージを受ける怖い病気です。

つまった場合は「脳虚血(のうきょけつ)、破れた場合は「脳出血(のうしゅっけつ)となり、脳虚血によって脳細胞や神経細胞が壊死に至ると「脳梗塞(のうこうそく)になります。

このように、脳卒中は梗塞と出血の2タイプに分けられますが、その症状は似て異なるものです。

いずれも血管病変のため発症は急ですが、脳梗塞の初期症状は痛みを伴うことがあまりなく、緩やかでスローモーションのようです。これに対し、脳出血は突然の痛みや意識障害、急なまひを伴う変化で発症することが多いのが特徴です。

脳卒中の主な症状

脳卒中の主な初期症状としては、身体の半身がまひする、ろれつが回らない、言葉が出ないなどが挙げられます。ほかにも、物が2つに見える、手足がうまく動かない、しびれるなどの症状があり、最もひどいときは意識がなくなり、死に至るケースもあります。

こういったケースでは、医療機関ですぐに診療を受けなければ生命が危険にさらされます。仮に命が助かっても、後遺症が残るケースも多々あります。

脳梗塞は、頚動脈や脳血管の動脈硬化により動脈内に血栓が詰まり、その抹消の血流が途絶えることで脳組織が酸欠状態から壊死に至る病気であると説明しました。

しかし、脳梗塞には脳動脈が攣縮(れんしゅく。血管が縮んで細くなること)して血流が一時的に途絶えたために起こる、「一過性脳虚血発作」と呼ばれるものもあり、これはまひなどの症状も一過性で、予後の回復が早い脳卒中です。

現代は栄養過多?脳梗塞が増えている理由

戦後の混乱期から昭和初期には脳出血が多かったのですが、現在は脳梗塞が増加しました。これは、栄養状態の変化が大きな理由です。

終戦直後、人々は低栄養の状態だったため、血管壁を強化するコレステロールも低い値で、動脈壁が破たんしやすい状況でした。現在は、逆に栄養状態が良くなり、高コレステロール血症となり、動脈硬化をきたして壁が厚くなって、血栓がつまるのです。

従ってコレステロールは多くても少なくても問題で、正常範囲である必要があります。単に減らせばよいというものでもないことを知った上で、健康な生活を送りましょう。

脳卒中は3種類|梗塞・出血の場所別に分類

脳卒中といってもさまざまにあります。以下に解説していきます。

「脳梗塞」はさらに細分

脳梗塞は、ごく細い動脈がつまる「ラクナ梗塞」、大きな動脈がつまる「アテローム血栓性梗塞(けっせんせいこうそく)」、心臓の中にできた血の塊がはがれて脳の動脈に流れ込んで起きる「心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)」など細かく分類されています。

※ラクナ梗塞は「小梗塞」、アテローム血栓性梗塞は「中梗塞」、心原性脳塞栓症は「大梗塞」とも呼ばれます。

出血場所により「脳出血」「くも膜下出血」に分類

髄膜内の動脈瘤が破れる:くも膜下出血

脳出血は場所によって、脳組織内の細い動脈が破れる「脳出血」と、脳の表面を走る大きな動脈にできたこぶ(動脈瘤)が破れる「くも膜下出血」(脳動脈瘤破裂)に分けられます。

くも膜下出血は、脳梗塞を起こしたあと脳動脈血の血流が再開した際に血管が破たんして脳組織内に出血してしまう出血性脳梗塞と呼ばれる状態です。これは、脳血栓に対して使用する血栓溶解剤(t-PA)の投与で出血を助長するため、出血性脳梗塞が起きると治療がとても困難になります。

人間ドックを活用してリスク発見を

このように、ひとくちに脳卒中といってもさまざまな種類があり、リスクの発見に適した検査にも違いがあります。

しかも脳卒中は、前段階のリスク要因として高血圧や高脂血症、糖尿病などがあり、初めのうちは自覚症状がありません。その意味でも、頭部の検査を中心とした人間ドック受診は役立ちます。脳卒中リスクが格段に増す60代の人が近親者にいる場合は受診を呼びかけるのもよいでしょう。

脳梗塞と脳出血、初期治療法の違い

脳梗塞と脳出血の違いについて解説しましたが、初期段階の治療法も異なります。出血のない脳梗塞は手術ではなく、血栓を溶解する保存的治療のみです。脳出血は範囲が広い場合、手術による血腫除去が必要になります。

しかし、いずれも脳浮腫(脳のむくみ)が起これば、脳ヘルニア(むくんだ脳が脳幹を押し下げて圧迫する致命的状態)を防ぐために浮腫改善薬(グリセオールなど)を投与します。改善しない場合は、頭蓋骨を解放する外減圧術を行わなければなりません。

いずれも初期段階をクリアして状態が安定後、できる限り早期にリハビリテーションを開始すれば、まひなどの障害の予後改善につながるため、タイミングを見て急性期病院から回復期リハビリテーション病院への転院が推奨されます。

脳梗塞は「MRI検査」、くも膜下出血リスク把握には「MRA検査」

MRIは脳の軟部組織を、MRAは脳血管を画像として映し出すことができます。各脳梗塞の発見には「頭部MRI検査」を行いますが、脳動脈瘤(未破裂脳動脈瘤)を発見することでくも膜下出血リスクをあらかじめ知るためには「頭部MRA検査」が実施されます。

MRI(核磁気共鳴画像)は軟部組織を撮影するのを得意とする検査で、脳のように骨に囲まれた部位の検査に適しています。停滞する水を描出することや、血管を描出することも得意としているため、これを利用して脳血管の走行と形状を画像にすることができます。

MRAの「A」は「Angiography(血管画像)」の意。脳血管を画像として映し出すことができます。これにより、くも膜下出血のリスクとなる未破裂脳動脈瘤を発見し、出血性の脳卒中リスクを評価します。

まとめ:すべての脳卒中リスクを検査する「脳ドック」の活用を

脳卒中のリスクを調べるために、頭部MRI検査/頭部MRA検査ができる「脳ドック」の受診を。

脳卒中には、虚血性・出血性があり、両方のリスクを調べるためには、頭部MRI検査/頭部MRA検査をセットで実施する「脳ドック」の受診をおすすめします。

下記を参考にして、施設や検査コースを選択してください。

【脳ドック】

■受診費用 2万円台が一般的
■検査時間 10~20分ほど
■検査結果 数週後に郵送される場合がほとんど

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