人間ドック

あなたの血圧は正常値?どこから高血圧?

かなまち慈優クリニック 高山 哲朗 先生

この記事の監修ドクター

かなまち慈優クリニック 院長
高山 哲朗

【略歴】
2002年 慶応義塾大学卒

【資格】
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定  消化器内視鏡専門医

病院や自宅などで血圧を測定した際、自分の数値が正常なのかどうか今ひとつわかりにくく、心配になることはありませんか日本人は約3分の1が高血圧だと言われていて、「隠れ高血圧」の割合も高いそうです。

今回はそんな血圧の数値について、高血圧かどうかを判断するための定義や予防について解説します。

目次
  1. 高血圧とは
  2. 正常な血圧の数値とは
  3. 血圧が標準より高い場合は検査すべき?
  4. 高血圧を予防する・血圧を下げるための生活習慣
  5. まとめ|軽視すると大病リスクが高まる!生活習慣から改善を

高血圧とは

高血圧とはどのような状態のことを指す?

高血圧とはどのような状態のことを指すのか、そして、高血圧になるとどのような病気のリスクがあるのでしょうか。

高血圧の概要

高血圧とは、安静にしている状態で正常値よりも血圧が高い状態のことを指します。運動後や気温の変化によって血圧は上昇することがあるため、たまたま測定した時に数値が高く出ることもあります。このような一過性の場合もあるので、測定を繰り返したうえでも正常値より数値が高い場合に「高血圧症」と診断されます。

高血圧により発症のリスクが高まる病気は?

高血圧を放置すると、動脈硬化が進む恐れがあります。動脈硬化は脳卒中などの脳血管疾患や心筋梗塞などの心疾患といった大病を引き起こす要因の一つです。

このように、高血圧が原因となる疾患リスクはいずれも、急に発症してそのまま命を落とす恐れもあることから、「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」とも言われています。また、近年では高血圧は認知症リスクを高めることがわかってきました。

高血圧は一見、「ちょっと血圧が高いだけ」だとして軽視されがちですが、大病を引き起こす原因となるだけでなく、健康寿命を脅かす注意すべき病気なのです。

※厚生労働省委託事業 公益財団法人日本医療機能評価機構 Minds ガイドラインライブラリ/日本老年医学会雑誌

正常な血圧の数値とは

血圧は「最高血圧」と「最低血圧」を測定することで正常値を把握します。また、病院で測定する場合の「診察室血圧」と自宅で測定する場合の「家庭血圧」では、測定時の状況を加味するため正常値域が異なります。

【正常な血圧の数値(診察室血圧)】※

分類 最高血圧
(収縮期血圧)
  最低血圧
(拡張期血圧)
正常域血圧 至適血圧 120mmHg未満 かつ 80mmHg未満
正常血圧 120〜129mmHg かつ/または 80〜84mmHg
正常高値血圧 130〜139mmHg かつ/または 85〜89mmHg
高血圧 Ⅰ度高血圧 140〜159mmHg かつ/または 90〜99mmHg
Ⅱ度高血圧 160〜179mmHg かつ/または 100〜109mmHg
Ⅲ度高血圧 180mmHg以上 かつ/または 110mmHg以上
(孤立性)収縮期高血圧 140mmHg以上 かつ 90mmHg未満

自宅で自分で測る「家庭血圧」の場合は、この表の値よりも-5mmHgが目安です。つまり家庭血圧の値で5~7日の平均が135/85mmHg以上だと高血圧と診断されます。

出典:特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

2019年に降圧目標が引き下げられた理由

2019年4月、日本高血圧学会が5年ぶりに「高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)」を改訂しました。改訂内容では、正常高値血圧とされる130/85mmHg以上のすべての場合で生活習慣の改善が必要とされていますが、この基準は改定前よりも引き下げられています。そして高血圧者(140/90mmHg以上)には、生活習慣の積極的な改善だけでなく、必要に応じて降圧薬治療も開始することが推奨されています。

降下目標は75歳未満の成人では、診察室血圧:130/80mmHg、家庭血圧:125/75mmHgと従来通りでしたが、75歳以上の高齢者では、140/90mmHg未満とへ引き下げされています。

現状、日本では高血圧の人が約4,300万人はいるのに対し、その半数ほどしか治療を受けておらず、しかも治療中の人でもその半数しか降下目標を達成していません。この結果を受けて、国は個人の治療に任せるのではなく医療機関や自治体などとも連携して、高血圧患者に対する降圧目標の強化を開始しているのです。

※日本医事新報社

血圧が標準より高い場合は検査すべき?

血圧が正常値より高い場合でも、今すぐ病気を発症することは少ないでしょう。しかし、将来的な疾患リスクを回避するためには、定期的な健診を受けて今の血圧を把握しておくことが重要です。

そして、正常な数値に戻すためには生活習慣を見直し、改善に取り組むことも大切です。それでも数値が正常にならない場合は、血圧を上昇させる病気を発症している恐れがあるので、速やかに医療機関を受診してください。

病院の選び方

会社や自治体で行われる健康診断でも血圧測定は行いますが、高血圧で発症リスクが高まる疾患も併せてチェックしたい場合は、人間ドックも良いでしょう。

血圧測定を含む一般的な人間ドックの検査項目に加えて、動脈硬化の検査や脳卒中、心筋梗塞のリスクを調べる「脳ドック」「心臓ドック」などを実施している施設もあります。受診したい検査を行っている医療機関をネットで検索すれば、そのまま予約もできるので便利です。

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高血圧を予防する・血圧を下げるための生活習慣

高血圧を予防する生活習慣の例

血圧を正常値に戻すためには、高血圧の原因となる生活習慣を改善することが何よりも重要です。以下に、高血圧を予防する生活習慣の例を挙げます。

【高血圧を予防する生活習慣】

  • 塩分を過剰に摂取しない(減塩)
  • 節酒
  • 禁煙
  • 運動不足を解消し、肥満を予防
  • 野菜や果物を積極的に摂取してミネラルを補給(但し、疾患をお持ちの方は病気の増悪を招くこともあるので主治医と必ず相談してください)
  • 極力ストレスを溜めない
  • 自律神経を整える

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まとめ|軽視すると大病リスクが高まる!生活習慣から改善を

高血圧を軽視せず、不安のある時には医療機関で相談を

診療室血圧で140/90mmHg以上、家庭血圧の値で5~7日の平均が135/85mmHg以上だと高血圧と診断されます。高血圧を放置すると、脳卒中や心筋梗塞など発症すると命に関わる疾患を引き起こす恐れがあります。まずは定期的な検診で血圧を測り、その数値が正常かどうかを把握しておきましょう。その上で、健康状態を悪化させる生活習慣を見直し、高血圧の場合は正常値へ戻す取り組みを、正常値の場合は病気のリスク予防として健康な数値を維持しましょう。

血圧も健康状態を知るための重要な項目です。たかが高血圧と軽視せず、不安のある時には医療機関で相談することをおすすめします。

 

▼当記事の監修医院が担当
生活習慣病予防人間ドック:かなまち慈優クリニック[東京・葛飾区]