人間ドック

人間ドックと健康診断の違い|検査項目の種類やオプション検査のこと

栄エンゼルクリニック 水野芳樹 医師

この記事の監修ドクター

栄エンゼルクリニック 院長
水野芳樹

【略歴】
1985年 名古屋市立大学医学部 卒業
2010年 医療法人士正会 理事就任

【資格】
日本消化器病学会認定 消化器病専門医

会社の健康診断だけで十分だと思っていたら、健康診断だけでは見つけることが難しい病気があることを知り、心配になったことはありませんか?病気の中には、自覚症状がなく、症状が現れて受診しても“とき、すでに遅し”の場合もあります。とはいえ、「自覚症状がない病気をどうやって調べるの?」と思う方もいるでしょう。

そこで登場するのが、人間ドックです。人間ドックは、さまざまな検査で全身を調べることで、病気の早期発見や病気の前兆となる異常を見つけ、予防につなげることができます。

今回は、健康診断と人間ドックとの違いを解説します。検査項目によってわかる病気、オプション検査など、それぞれの検査内容を比較していきましょう。

目次
  1. 人間ドックと健康診断の大きな違いは「検査範囲の広さ」
  2. 人間ドックと健康診断の検査項目と検査でわかる病気
  3. 自分の受けたい検査が受けられる「オプション検査」
  4. まとめ:人間ドックについての情報収集や受診予約は、専門の情報サイトが便利

人間ドックと健康診断の大きな違いは「検査範囲の広さ」

早速、人間ドックと健康診断の違いを見ていきましょう。

健康診断

健康診断は「労働安全衛生法」に基づいて義務付けられている、毎年定期的に行われる検査で、企業が労働者の健康状態を把握する目的で行われます。正社員が対象ですが、正社員の週の所定労働時間の2分の1以上~4分の3未満働くパートタイム労働者も対象になる場合があります(参考資料・厚生労働省)。

人間ドックに比べると検査項目は限られており、検査費用も人間ドックより安価です。オプションとしてがん検診や特定の検査項目を追加することもできます。

人間ドック

人間ドックは、病気の予防や早期発見のために全身を対象に行われる検査です。主に入院をして数日間かけて実施されてきましたが、最近は日帰りドックまたは1泊が主流となっています。個別に受けていたさまざまな検査をまとめて受けられる点が特徴です。

健康診断との大きな違いは、検査範囲の広さでしょう。人間ドックは検査の範囲が広いことで、従来の健康診断では見つけることが難しかった病気の早期発見や予防に大きく貢献してくれます。

また、法律で実施が義務付けられている健康診断とは異なり、人間ドックは任意の検査です。検査項目は医療機関によって異なり、検査項目の内容によって費用が変動します(コースによっては10万円を超えることも)。健康診断と比べると費用は高く、健康保険の適用もありません。

医療機関によっては、検査結果が出た後に医師からの説明やアドバイスを受けられ、生活習慣の改善や今後の治療に役立てることができます。

人間ドックと健康診断の比較
  人間ドック 健康診断
特徴 全身を詳しく検査できる 体の状態を大まかに検査できる
目的 病気の予防や早期発見 労働者の健康状態の把握
検査項目の数 多い(50項目以上) 少ない(10~15項目)
費用(目安) 4〜10万円以上 1〜3万円程度
健康保険の適用 なし あり
検査結果の説明 医師から直接説明を受けられる 検査結果の書類の後日送付のみ

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人間ドックと健康診断の検査項目と検査でわかる病気

人間ドックや健康診断で実施される主な検査とわかる病気は、次の通りです(一例)。より多くの病気の可能性を探るためには、全身をくまなく検査することが必要です。

人間ドックと健康診断の検査項目(一例)
人間ドックの検査項目
身体計測、血圧、心電図、眼、聴力、呼吸機能検査、胸部X線、胸部CT、腹部CT、上部消化管X線、上部消化管内視鏡、大腸内視鏡検査 腹部超音波、血液検査、尿検査、便、内科診察、脳MRI,MRA、頸動脈超音波検査、乳腺超音波検査、マンモグラフィー、子宮頸がん細胞診、骨密度、心臓超音波検査
健康診断の検査項目
既往歴と業務歴の調査、自覚症状と他覚症状の有無の検査、身体計測、視力検査、聴力検査、 呼吸器系の検査(胸部レントゲン検査と喀たん〈かくたん〉検査)、循環器系の検査(血圧、心電図)、血液検査(貧血、肝機能、脂質、血糖)、尿検査
  • 心電図検査
    不整脈、狭心症、心筋梗塞など
  • 胸部レントゲン検査
    肺炎、肺がん、結核、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など
  • 腹部超音波検査
    肝臓がん、慢性肝炎 脂肪肝、胆石、胆のうポリープ、膵臓がんなど
  • 胃レントゲン検査(バリウム検査)
    胃潰瘍、慢性胃炎、十二指腸潰瘍、胃がん、食道がん、胃ポリープなど
  • 血液検査
    高脂血症、糖尿病、高尿酸血症、アルコール性肝障害、慢性肝炎、脂肪肝 栄養障害、慢性腎障害、感染症、貧血など
  • 便検査
    大腸がん 下部消化管出血、大腸ポリープなど
  • 尿検査
    慢性腎炎、ネフローゼ、糖尿病、尿路結石、膀胱がん、前立腺がんなど

自分の受けたい検査が受けられる「オプション検査」

人間ドックでは、検査内容に応じて種類をいくつか設けている医療機関もあり、その中から自身の受けたい検査を選ぶことができます。また、自身の受けたい検査を追加して受けることも可能です(オプション検査)。どの検査を受けた方がよいのか迷う場合は、受診を予定している医療機関に相談するとよいでしょう。

オプション検査の例
男女共通 胸部CT、腹部CT、脳MRI、上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査
男性向け PSA検査(前立腺がんがわかる)
女性向け 乳腺超音波検査、マンモグラフィー(乳がん)、子宮頸部細胞診、骨密度、甲状腺ホルモン

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まとめ:人間ドックについての情報収集や受診予約は、専門の情報サイトが便利

健康診断に比べてより詳細な検査ができる人間ドックは医療機関によって検査内容や種類、料金が異なるため、人間ドックについての情報収集や受診予約をする際は専門の情報サイトを活用すると効率良く探せます。自身の受けたい検査や都道府県・地域を絞った検索も可能なため、積極的に活用していきましょう。

病気の心配なく、健やかに過ごすためにも、人間ドックの受診を検討してみてください。

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