子宮体がん検診を受けるべき年齢は?子宮体がんの疾患リスクが高くなる原因と特徴

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子宮体がん検診とは?受けるべき年齢と疾患リスクが高くなる原因

子宮体がんは40歳代後半から増加し、50~60歳代にかけて発症のピークを迎えます。その後罹患率は減少していきますが、死亡率は年齢が上がるにつれて高くなり、年齢を重ねるごとに注意が必要な疾患です。

子宮体がんの発症リスクが高いのはどのような人か、検診を受ける場合どのような検査を行うのか、その特徴や検診する医療機関の選び方について詳しく解説します。

目次
  1. 40代から増加傾向|子宮の奥側に発生する「子宮体がん」
  2. 子宮体がん検査の種類と費用
  3. 子宮体がん検診の受診医療機関|選び方のポイント4つ
  4. まとめ:40歳代からの発症リスクを意識し、早めの子宮体がん検診を

40代から増加傾向|子宮の奥側に発生する「子宮体がん」

子宮体がんと子宮頸がんの発生場所イメージ

子宮は、子宮の入口にあたる子宮頸部と、子宮の奥側にあたる子宮体部(妊娠中に赤ちゃんが育つ場所)とに分けられます。子宮頸部にできるがんを「子宮頸がん」、子宮体部にできるがんを「子宮体がん」といい、この2つを総称して「子宮がん」と呼びます。また、子宮体がんは子宮の内膜にできることから、「子宮内膜がん」とも呼ばれます。

子宮頸がんの発症は20歳代から確認でき、30~40歳代で発症のピークを迎えるのに比べ、子宮体がんは40代後半から徐々に増加し、50~60歳代以降に発症のピークを迎えます。
年齢が高くになるにつれてリスクが高まるがんとして、とくに閉経後は発症に注意しなければなりません。

参考:国立がん研究センター がん情報サービス https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/index.html

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子宮体がんは40代から増加の傾向にある

年代が若いうちに発症リスクが高まる子宮頸がんと比べて、子宮体がんは年齢が上がるにつれて発症リスクが高まります。具体的には40歳代後半から発症リスクが増加し、50歳~60歳代で発症のピークを迎えるといわれます。高い年代で発症リスクが高まるのには、閉経の時期が関係しています。

子宮体がんの発症には卵巣から分泌されるエストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが関係していますが、原因の約8割がこのエストロゲンの過剰分泌に遺伝子異常が加わったものだと考えられています。そのため、ホルモンバランスが崩れやすくなる閉経後は特に注意が必要です。

もともと、子宮体がんは欧米諸国に多いがん疾患でしたが、近年では生活習慣が欧米化により、日本でも罹患率の高い疾患となりました。欧米的な食生活やライフスタイルの変化はこのまま定着すると予想されるため、今後も子宮体がん罹患率のさらなる増加が懸念されています。
※国立がんセンター対策情報センター,地域がん登録全国推移値

子宮体がんリスクが隠れている方の特徴

まず注意が必要なのは閉経を迎えた方です。子宮体がんは子宮内膜にできるがんなので、月経のたびに内膜が剥がれ落ちてしまえば、子宮体がんの発症リスクは少ないといえます。しかし閉経後はホルモンバランスが崩れやすく、通常はプロゲステロンにより抑制されていたエストロゲンが過剰となると、子宮内膜が増殖しやすくなります。

また、月経周期が不規則だったり月経自体がなかったりする場合、子宮は閉経後の状態に近くホルモンバランスが崩れやすい状態です。年齢が若くても子宮体がんの罹患率が高まりますので、月経異常が続く場合は一度婦人科で相談してみましょう。

ほかにも、妊娠や出産の経験がない方や肥満の方、高血圧、糖尿病、近親者に乳がんや大腸がんを経験したことがある方も発症リスクが高まるといわれています。

子宮体がんを発症しやすい人の傾向

  • 閉経以降
  • 不規則な月経、無月経や排卵異常
  • 妊娠や出産の経験がない人
  • 肥満
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 近親者に乳がんや大腸がんの経験がある人

子宮体がん検査の種類と費用

子宮体がんリスクを調べるにはいくつかの検査方法があります。各検査方法の特徴と費用などについて解説します。

子宮内膜細胞診

■受診費用 3,000~5,000円ほど
■検査時間 数分~5分程度

子宮体がんの検査において一般的な検査方法が、子宮の中に直接器具を挿入し細胞を採取してがんリスクを調べる子宮内膜細胞診です。子宮の奥に器具を挿入しないといけないため、子宮頸がん細胞診よりも痛みは強くなります。また、細胞採取時にチクっとする痛みを感じることもありますが、この痛みは人によって感じない方もいる程度です。

万一、検査時に強い痛みを感じる場合は、子宮内膜症など他の病気を発症している恐れがあるので、我慢せず検査中に申告しましょう。

なお、受診者が高齢だと子宮の奥まで器具を挿入することが難しいことがあります。そのため、年齢によっては経腟超音波にて検査を行うこともあります。

経腟超音波

■受診費用 3,000円ほど
■検査時間 10~15分ほど

経膣超音波は、高齢で子宮の奥まで器具を挿入するのが難しい受診者の場合など、子宮内膜細胞診ができないときに用いられる検査です。膣内にプローブと呼ばれる器具を挿入し、反射した超音波の様子を画像にして子宮を観察します。子宮内膜の厚さを測定することでがんリスクを診断します。しかし、初期がんでは発見にはつながらないケースもあります。

骨盤腔MRI

■受診費用 8,000~12,000円ほど(造影剤の有無でも変動)
■検査時間 30~40分ほど

子宮や卵巣を含めた骨盤内を磁気を用いて撮影し、画像を観察する検査方法です。CTと違って磁気による検査なので被ばくの心配もなく、横になっているだけで検査を受けることができます。子宮内に器具を挿入する内診が苦手な方にとっては、受けやすい検査といえるでしょう。撮影可能な範囲が広いため、子宮がんだけでなく卵巣がん、子宮筋腫、卵巣腫瘍など骨盤内の疾患の診断にも役立ちます。

ただし、検査時間が長いこと、検査結果が出るまでに時間がかかること、ペースメーカーなど金属が体に入っている場合には受診ができませんので認識しておきましょう。閉所恐怖症の人や、大きな音が気になる人もMRI検査に不安を感じるかもしれません。

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子宮体がん検診の受診医療機関|選び方のポイント4つ

子宮体がん検診をするときの医療機関の選び方と探し方、4つのポイント

子宮体がんの検査ができる医療機関は多くありますが、何を基準に選んだらいいのか目安がわからない人も多くいるかと思います。子宮体がん検診を受診するときの医療機関の選び方と探し方について、ポイントをまとめました。

ポイント①:女性医師・女性技師が対応してくれる

これから検診する医療機関を探す場合、女性医師・女性技師が対応している医療機関を選ぶと精神的に安心できるでしょう。デリケートな部分の検査なので、同性の医師・技師が検査対応している方が、恥ずかしさもなくリラックスして受診することができるかもしれません。普段から通院している婦人科があれば、通い慣れている医療機関で一度相談してみるのも良いと思います。

ポイント②:女性専用フロアや女性専用施設がある

検診を受ける医療機関によっては、男性受診者と同じフロアで順番を待たなければいけないこともあります。受診する検診のコース内容によっては検査着に着替えておく必要もあるため、男性の目が気になる方もいるでしょう。また、慣れない検査で緊張しているのに、男性がいることでさらに緊張してしまうこともあるかもしれません。

精神的に落ち着かない状態では、検査中に痛みを感じやすくなるなどの影響を及ぼすことがあります。女性専用フロアや女性専用施設であれば、異性から見られることはないため、リラックスして検査に臨むことができます。

ポイント③:「日本産婦人科学会産婦人科専門医」が在籍している

日本産婦人科学会産婦人科専門医が在籍している医療機関では、産科、生殖医学のほか、婦人科腫瘍や女性医学にも見識が深い医師が検査に対応してくれます。がん疾患の早期発見だけでなく、健康の維持・増進のためのヘルスケアについてもアドバイスを受けられることがありますので心強いでしょう。

専門医とはその科目において、特別な研修を受けて資格を取得した医師のことを指します。より多くの知識と経験が求められるため、専門医が在籍している医療機関では診断の確実性が高くなると考えられます。

ポイント④:「日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医」が在籍している

日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医は、女性特有のがん疾患においてはスペシャリストです。子宮と卵巣についての見識が深く、腫瘍や筋腫など女性の疾患に関する幅広い知識で診断してもらうことができます。がんリスクの発見をメインで受ける検診であれば、婦人科腫瘍専門医が在籍していることは、検診する医療機関を決める目安の一つになるでしょう。

医療機関のホームぺージや情報がまとまったWEBサイトでチェック

すでに受診したい医療機関がある程度絞られている場合は、その医療機関のホームページを確認してみましょう。検査を対応する科の情報や使用する検査機器の詳細、医療機関によっては医師や技師のプロフィールを紹介していることもあります。

特定の医療機関ではなく、受診しやすさを考えて自宅や職場の近くなどエリアから決める場合は、その地域の医療機関が一覧できるWEBサイトでの比較が便利です。設定している検診の詳細(料金、検査内容など)、受診環境などの情報がまとまっているので、特徴をつかみやすく最終的な決定もしやすくなります。受診を決めた後に、そのまま予約ができるのもスムーズです。受診したいエリアから検索するときは活用してみてはいかがでしょうか。

まとめ:40歳代からの発症リスクを意識し、早めの子宮体がん検診を

子宮体がんの初期には不正出血が症状としてあらわれることが多いですが、更年期を迎える増える症状だからと放置する人も少なくありません。早期に発見できれば子宮を温存した治療も可能で、生存率も高まるので、発症リスクが増加する40歳代後半からは定期的な検診を受けることが重要です。「私は大丈夫」と過信せず、早めの受診で早期発見に努めて健康を維持しましょう。

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