人間ドック

人間ドックは何歳から受診すべき?年代別のリスクと検査したい項目を解説

三愛総合健診センター 中山 尚登 医師

この記事の監修ドクター

三愛総合健診センター 副院長 脳卒中センター長
中山 尚登

人間ドックは何歳からでも受けられる

厚生労働省の特定健診(メタボ健診)は、40歳以上が受診対象となっていますが、若いうちから定期的な検査を受けることが健康の維持と予防に欠かせないことは、明白です。

人間ドックは、病気を未然に防ぐことが目的です。体の衰えを感じ始める40代からの受診でも問題はありませんが、自覚症状がない疾患や体の異常を発見するという意味では、体調の変化の有無や年代にかかわらず、早めに人間ドックを受診して、自分の体の健康状態をチェックしていきましょう。

目次
  1. 人間ドックは何歳からでも受けられる
  2. 【年齢別】人間ドックで受診しておきたい検査項目
  3. まとめ:人間ドックは自分への投資。必要なときには必要な検診を受診しよう

【年齢別】人間ドックで受診しておきたい検査項目

30代|将来の異常に備えた検診を受けよう

企業健診で目立った指摘がなく、自覚症状も現れにくい30代。病気の発症率はそれほど高くありませんが、アルコールの摂取量や食生活が20代のときと変わらないままの方も多い30代は、将来の疾患リスクに備えておくことが重要です。

また、30代は健康意識に差が出てくる年代ともいえるでしょう。例えば、健康上、不自由がないために「まだ受診しなくても良い」と考える方と、結婚などのライフイベントをきっかけに「健康状態をチェックしておこう」と人間ドックを受診する方に分かれていきます。

仕事面では20代のときよりも責任のある立場に就き、大きな案件を任されることも多くなるはずです。毎日のスケジュールが過密で生活習慣も乱れやすい年代だからこそ、今健康であることに安心せずに、人間ドックを受診する習慣をつけておくことが大切です。

30代に望まれる検査項目

現在気になる症状や自覚症状などがない場合は、スタンダードな人間ドックで全身の健康チェックを行いましょう。今は健康でも、将来発症する可能性が高い「生活習慣病」や「消化器系がん」のリスクを考慮して、血液検査(空腹時血糖・脂質・γ-GTP)や胃カメラ・便潜血反応検査を中心とした内容のコースを受診しておくことをおすすめします。

女性は30代からの受診が望ましい

女性特有の疾患である「乳がん」は、罹患(りかん)率が非常に高く、現在は増加の一途であるといわれています。発症のピークは40代後半からですが、増加し始めるのは30代からと、比較的若い年代の発症が目立つようになってきました。早期発見のためには30代から乳腺超音波検査や視触診で定期的な検査を怠らないことが重要です。

子宮頸(けい)がんの発症も若年化しつつあり、公益社団法人日本産科婦人科学会によると、20~30代での発生率が増えてきているそうです。年齢が若いと「がんにかかる」という危機感が乏しくなりやすいですが、早い年代からレディースドックや婦人科健診で、乳がん検診・子宮がん検診(子宮頸部細胞診など)を受ける習慣をつけておきましょう。

※公益社団法人日本産科婦人科学会より。

「30代で人間ドックを受けるべき?年齢別リスクに見る、人間ドックの必要性」

40代|がん・心臓病・脳卒中リスクを重視して受診しよう

40代は、本格的な定期受診が必要な年齢となります。中でも各種がん・心臓病・脳卒中リスクのチェックを重視するようにしましょう。病気のリスクが一気に高まるため、30代で定期的な健診を受けてこなかった方は、40代になったこと機に、しっかりと検査をしてください。

40代に望まれる検査項目

受診が推奨される主な検査には、肝臓・すい臓・腎臓など内臓系疾患を調べる腹部超音波検査、肺がんをはじめ気管支疾患を調べる胸部CT検査、脳卒中リスクを調べる頭部MRI検査、心臓病などの心疾患リスクをチェックする心臓MRI検査、全身のがんをスクリーニングするPET-CT検査が挙げられます。気になる症状が具体的に体に現れ始める年代のため、少しでも気掛かりなことがあれば、早めに検査を受けることをおすすめします。

女性は40代で疾患リスクがピークになる

乳がん・子宮頸がんリスクがピークになる年代です。レディースドックや婦人科健診で乳房エックス線検査と併せて乳腺超音波検査も行い、疾患リスクの早期発見の確率を高めてください。

(詳細は「40〜50代の人間ドック|受診すべき検査項目や費用、頻度とは?」を参照してください)

50代|オプションを追加してピンポイントで症状をチェック

40代よりもさらに病気のリスクが高まる50代は、これまでにも増して、定期的に人間ドックを受けた方がよいでしょう。全身の健康状態をチェックすることも大切ですが、より要点を絞って検査を受けるようにしてください。年代が早いうちから定期的な検査を受けていれば経年で健康状態を追っていくことができるため、自分がどのような検査を受けるべきか、体のウィークポイントがある程度把握できているはずです。

50代に望まれる検査項目

現代社会では、50代はまだまだ現役で活躍している年代です。生活習慣病やがん以外にも、不整脈や狭心症に注意しながら、調子を崩しやすい体の部位や現れやすい症状に対するオプション検査を追加しましょう。重点的に体の状態を調べ、病気のリスクに備えていく必要があります。

女性は50代で更年期に突入する

女性は更年期を迎える年代のため、体が不調に陥りやすくなります。例えば、骨粗しょう症(こつそしょうしょう)の危険性など、体の変化には気を配るようにしてください。

※詳細は「40〜50代の人間ドック|受診すべき検査項目や費用、頻度とは?」を参照してください。

60代|早期発見・早期治療と日常的な健康ケアを重視する

60代からは、人間ドックで早期発見された病気の治療が始まる可能性もあります。その場合、治療をしながら同時に、ほかの病気を併発しないよう予防していくことも必要となっていきます。

60代に望まれる検査項目

必要に応じて年に数回は人間ドックを受診しながら、気になる部位やすでに現れている症状については、通常診療を交えながら検査を進めるようにしていきましょう。日常的に体のメンテナンスを行うことが予防にもつながっていくことを理解し、三大疾病のがん・心臓病・脳卒中の発症を防ぐように意識して健診を受けるようにします。

男性は60代で前立腺がんに注意が必要

男性は前立腺がんを発症する確率が高くなるのが60代といわれており、認知症などの不安要素が高まる年代でもあります。定期的な検査を継続して受診していくことが、これからの疾患リスクを抑えるための要となっていきます。

まとめ:人間ドックは自分への投資。必要なときには必要な検診を受診しよう

人間ドックは20歳から受診することができ、年間300万人以上が検査を受けています。受診のきっかけはそれぞれ異なると思いますが、代謝が落ちてやせにくくなったり、体力の回復が遅くなったりと感じる場合、その衰えは必ず数値に現れてきます。

年に一度の企業健診で異常値、基準数値内でも去年より結果が悪くなっているようなときは、自覚症状がなくても人間ドックを受けるタイミングとして捉えましょう。初めての人間ドックでは全身の健康状態を把握するため、スタンダードなコース受診から始め、その結果や医師からの所見を踏まえて、年齢に関わらず自分にとって必要な検診を受けていくことが大切です。

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