人間ドック
生活習慣病の予防方法|危険度セルフチェックで生活を見直そう
運動不足やバランスの偏った食生活、喫煙、飲酒など、普段の生活が起因となり発症する疾患を「生活習慣病」と言います。生活習慣病は狭心症や心筋梗塞、脳卒中など命に関わる疾患を引き起こすリスクを高める一方、はじめは自覚症状がほとんどない場合が多いため「サイレントキラー」と呼ばれています。
そうしたリスクの予防には日々の生活の見直しと改善が大切です。この記事では、生活習慣病とその予防方法について説明します。
- 目次
生活習慣病とは?その種類と危険性について
生活習慣病とは、名前が示す通り、偏った食事や運動不足、過度の飲酒、喫煙、ストレスなどの不健康な生活習慣が原因で発症リスクが高まる疾患のことです。重症化すると合併症を招く恐れがあります。
生活習慣病と呼ばれる代表的な疾患
- 高血圧
- 血管の中を血液が流れる際に、血管の壁にかかる圧力が常に正常範囲を超えた状態になること。ある程度の圧力は必要ですが、何らかの原因で高くなりすぎと様々な疾患を引き起こす。
- 脂質異常症
- 血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールが基準より高い、または善玉コレステロールが基準より低い状態のように、血液中の脂質のバランスが乱れていること。
- 糖尿病
- 血糖を血液中に取り込むためのホルモンである「インスリン」がうまく分泌されなくなり、本来はエネルギーとして消費されるはずの血糖が吸収されず血糖値が上がったままの状態(高血糖)になること。
- 肥満
- 正常範囲を超えて脂肪が蓄積している状態のこと。一般的に、正常な体重より多い場合が多い。
三大生活習慣病と呼ばれるがん・脳卒中・心臓病に注意
生活習慣病が重症化することによって、三大疾病(三大疾患)と呼ばれているがん・脳卒中・心臓病を招く恐れがあります。厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計」によると、日本人の死因順位の第1位はがんで全体の27.6%、第2位は心疾患で15.0%、第4位は脳血管疾患で7.5%となっています。つまり、三大疾病だけで日本人の死因総数の約50.1%を占めていることになります。生活習慣病の重症化予防に向けた対策は深刻な状況です。
参考:厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計」第5表:性別にみた死因順位(第10位まで)別死亡数・構成割合
これらは特に生活に大きな影響を与える恐れがあるとして、日頃から意識したい疾患といえるでしょう。
生活習慣病のリスクをセルフチェック
まずは普段の生活を振り返り、自分の気になる体調や生活習慣をチェックしてみましょう。当てはまる項目が多いほど、生活習慣病の発症リスクに注意が必要です。
生活
該当する項目が5つ以上の人は要注意
- □ タバコを吸う
- □ お酒を飲む機会が多い
- □ ストレスがたまっている
- □ 20歳の時より体重が10キロ以上増加している
- □ 多忙で睡眠不足である
- □ お腹周りが出ている
食事
該当する項目が5つ以上の人は要注意
- □ 野菜は食べない
- □ 揚げ物が好き
- □ ご飯やパンなど炭水化物の摂取量が多い
- □ 濃い味のものばかり食べる
- □ 外食やファストフードの機会が多い
- □ 夜遅い時間に夕食や夜食をする
- □ 早食い
運動
該当する項目が5つ以上の人は要注意
- □ 仕事はデスクワークである
- □ 短い距離でも移動に車を使用する
- □ 階段での移動を避け、エスカレーターやエレベーターを使ってしまう
- □ 運動をする機会がない
- □ 1日の歩数は7,000歩未満が多い
- □ 休日は外出せず、家でゴロゴロしている
- □ バスや電車ではできるだけ座る
なお、「生活」「食事」「運動」のうち2つ以上のカテゴリで「要注意」となった人は、すでに生活習慣病の予備軍の恐れがあります。私たちが健康で快適な日々を送るためには、バランスの取れた「生活」「食事」「運動」習慣を日常に取り入れることが大切です。
生活習慣病を予防するには?|食事・運動など改善ポイント
生活習慣病は、食生活の見直しや適度な運動によって予防することができます。健康で快適な生涯づくりのために、日頃から健康に対する意識を高め、改善に向けた行動に取り組んでいきましょう。
■日常生活のポイント
適正体重を維持する | 自分の適正体重を知り、維持することが大切。BMI(体格指数=体重と身長の関係から算出した肥満度を表す指数)で把握する。 |
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喫煙や飲酒を控える | 喫煙は動脈硬化を促進し、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患リスクを高めます。また、肝臓に負担をかけるアルコールは適度な量を守る。 |
睡眠をとる | 睡眠は心と体の癒し。疲労回復と心身の安定には、しっかり休養をとることで生活の質を改善。 |
■食生活のポイント
脂肪を摂りすぎない | 脂肪は体のエネルギーとなる大切な栄養素。しかし、摂り過ぎは肥満を招き、体に悪影響を及ぼす。 |
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野菜を1日に350グラム以上摂取 | 野菜に含まれる食物繊維が満腹感を与える。野菜は食べ過ぎを防ぐだけでなく、ビタミンやミネラルの摂取にも良い。 |
食事の時間・間隔は規則正しく、1日3食 | 食事の回数を減らし、間隔を開けすぎた場合、脳へのエネルギー不足になるだけでなく、エネルギーをためこもうと食べ過ぎや太りやすい体質に。規則正しく、1日3回の食事を心がける。 |
■運動のポイント
運動習慣をつける | ストレッチやウォーキングを取り入れ、運動を継続する。毎日続けられるような自分に合った運動を選択。適度な運動は良質な睡眠にもつながる。 |
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生活の中で無理なく身体を動かす | エレベーターやエスカレーターではなく、階段の利用や、短距離の移動は極力徒歩にするなど、生活の中で積極的に身体を動かす。 |
外出する | 休日は家の中ではなく、外出することで身体を少しでも動かすようにする。家族や友人との外出が気分転換にもなる。 |
心臓病や脳血管疾患リスクの早期発見は専門ドックを役立てよう
生活習慣病のうち高血圧、脂質異常などのリスクは健康診断で調べることができます。しかし、生活習慣病の中でもとくに自覚症状がないものの、命にかかわる恐れのある心臓病や脳血管疾患のリスクは一般の健診で見つかることはありません。早期発見のためには、心臓ドックや脳ドックを活用することをおすすめします。
心臓ドックとは
心臓ドックは「狭心症」や「心筋梗塞」など、通常の健診では見つけにくい心臓病リスクの早期発見・早期予防を目的としています。心臓病リスクを高める高血圧の人や喫煙習慣のある人は、特に受診が推奨されています。
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脳ドックとは
脳ドックは「脳卒中」など、通常の健診では見つけにくい脳血管疾患リスクの早期発見・早期予防が目的です。高血圧や脂質異常症などの生活習慣病が引き金となって動脈硬化を発症し、この症状が脳血管に起きたときに脳卒中が発症します。生活習慣病の危険因子を持つ人はとくに受診が推奨されています。
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まとめ:生活習慣病の予防にはライフスタイルの見直しを
仕事に育児に多忙な毎日を送り、自身の健康が後回しになっている人も少なくないでしょう。バランスの偏った食事や喫煙、飲酒、睡眠不足、運動不足など、私たちの身の周りには様々な生活習慣病の発症リスクがあふれています。しかし、食生活の改善や適度な運動によって生活習慣病を予防し、これからの人生を健康で快適に過ごしていけるのです。
まずは、病気になる前段階の予防に向けて、自身のライフスタイルを把握・見直し、改善につなげる行動を起こしていきましょう。