
人間ドック
40歳になったら特定健診|検査項目と人間ドックとの違い

40歳以上の国民健康保険の加入者に郵送される「特定健診のご案内」は、生活習慣病を予防するための健康診断受診の通知です。近年、生活習慣の変化等により生活習慣病予備軍が急増しており、発病しないための予防に対する重要性がますます高まっています。
この記事では、特定健診がどんな検査内容なのか、一般的な健診や人間ドックとはどう違うのか解説します。健康管理のひとつとして知識を深め、活用していきましょう。
- 目次
特定健診とは|生活習慣病の不安が高まる世代の健康診断
生活習慣病の予防や早期発見のためには、自身の健康状態の把握が欠かせません。健康を維持するために役立つ特定健診はどんな健診なのでしょうか。
目的はメタボリックシンドロームの予防・改善
特定健診の正式名称は「特定健康診査・特定保健指導」です。40歳以上の被保険者・被扶養者が対象となる健康診断です。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防と改善を目的に、各地方自治体の管轄で実施されています。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積により脂質異常症(高脂血症)、高血圧、高血糖などの生活習慣病が集積している状態をいいます。自覚症状がなくとも放置していると動脈硬化が進行し、心臓病や脳卒中などを引き起こす危険因子となるため、不安の高まる世代に向けた健診制度が2008年4月より整えられました。
対象は40~74歳の国保加入者
- 実施年度において国民健康保険に加入する40~74歳の被保険者・被扶養者が対象(4月1日現在で国民健康保険に加入していることが前提)
- 75歳を迎える誕生日前日まで
- 受診年度内に40歳を迎える人は4月1日から受診可能
費用は自治体によって異なる
自己負担額は各地方自治体また補助金によって異なりますが、無料から数千円程度です。検査項目やオプションの有無によって幅広い設定のため、確認のうえ受診ください。
なお、特定健診の費用には10%の消費税率が適用されます。あらかじめこの点も留意しておきましょう。
(参考:消費税率変更に伴う特定健康診査・特定保健指導 に係る費用の取り扱い/厚生労働省より)
特定健診の検査項目
特定健診の検査項目は、「基本的な項目」と「医師の判断により追加となる項目」があります。それぞれの検査項目を確認しましょう。
基本的な項目と概要
検査項目 | 概要 |
---|---|
質問票 | 現在の健康状態の確認、服薬歴・喫煙歴等など生活習慣に答える |
身体計測 | 身長、体重、腹囲を測定し、肥満度の指標であるBMIを計算 |
血圧測定 | 血圧を測り、循環器系の状態を調べる |
理学的検査 | 身体診察で視診、触診、聴打診などを行う |
検尿 | 尿糖、尿蛋白を測定し、腎臓、尿路の状態や糖尿病リスクなどを調べる |
脂質検査(血液検査) | 中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロールを測定し、動脈硬化リスクを調べる |
血糖検査(血液検査) | 空腹時血糖またはHbA1cを測定し、糖尿病リスクを調べる |
肝機能検査(血液検査) | GOT/GTP/γ-GTPなど肝細胞の酵素を測定し、肝機能などの状態を調べる |
医師の判断により追加となる項目
基本項目のほか、血糖・脂質・血圧及び肥満の健診結果など一定基準をもとに、医師の判断により受診しなければならない項目があります。以下、医師の判断により説明を受けてからの受診となります。
検査項目 | 概要 |
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貧血検査 | 赤血球、血色素量、ヘマトクリット値を測定し、貧血などの血液の病気を調べる |
心電図 | 不整脈や狭心症などの心臓に関わる病気を調べる |
眼底 | 眼底の血管を観察し、糖尿病による目の病気や動脈硬化の状態などを調べる |
血清クレアチニン | 血清クレアニチンと年齢及び性別から推算糸球体濾過量(eGFR)を計算し、腎機能の状態を評価 |
他の健診との違い|多角的に検査をしたいなら人間ドックを受診
これまで紹介した検査内容から見ても、健診だけで十分だと思っている人が多いかもしれません。しかし、より広い範囲の検査項目をカバーしたい人には人間ドックがおすすめです。
人間ドックは、あらゆる病気の予防や早期発見のために全身を対象に行われる検査です。検査の範囲が広いので、従来の健診では見つけることが難しい病気の早期発見や予防に貢献してくれます。
医療施設によって人間ドックの検査項目は異なりますが、特定健診で実施される検査項目は人間ドックにすべて含まれています。さらに、胃がんが気になる人におすすめの上部消化管内視鏡など、特定健診に含まれない検査項目も多くあります。
人間ドックの検査項目(一例)
身体計測、血圧、心電図、胸部X線、胸部CT、上部消化管内視鏡、大腸内視鏡検査、腹部超音波、血液検査、乳腺超音波検査、マンモグラフィー、子宮頸がん細胞診など
このように、特定健診の項目は人間ドックでカバーできることを考えると、よりしっかりと疾患リスクを検査してもらえる人間ドックで得る健康上のメリットは大きいです。また、オプションで特定の疾患の検査なども用意されていますので、特に近親者に大きな疾患になった人がいる場合や、具体的に気になる疾患がある人は、一度の受診で多くの疾患リスクの発見に役立つ人間ドックが有用と言えるでしょう。
まとめ|人間ドックも含めた健康管理を積極的に利用し、生活習慣の見直しにつなげよう
特定健診はメタボリックシンドロームの予防・改善を目的に実施されています。しかし生活習慣病は日頃の生活習慣と限られた検査項目だけでは発見できない様々な疾患リスクが重なり合い発症するものなので、特定健診を受けたからと安心はできません。
これからは特定健診を含め、検査範囲の広い人間ドックも視野に入れて自身の健康管理に活用していきましょう。