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肝機能検査のASTやALTとは?肝臓の血液検査で病気を予防しよう

この記事の監修ドクター

こさか内科・内視鏡内科 院長
小坂 英和

肝臓などの細胞のダメージ度=肝臓の機能低下の程度を示す指標として、人間ドックの血液検査のうち「AST」と「ALT」は重要です。肝臓の細胞に多く含まれている酵素のことで、肝炎リスクの判断に役立つとされています。

肝炎は放置しておくと、およそ20年かけて進行し、さらに重い肝臓病(肝硬変から肝臓がんへ)に至るリスクを高めます。

今回は、肝臓の血液検査項目であるASTとALTに触れ、肝炎リスクを検査する手段について見ていきましょう。

目次
  1. 肝細胞のダメージを判断する「AST」と「ALT」
  2. 検査値が31U/L以上なら要注意、51U/Lなら異常に
  3. まとめ:血液検査により肝臓リスクをとらえ、早期発見につなげよう

肝細胞のダメージを判断する「AST」と「ALT」

AST(GOTともいう)やALT(GPTともいう)は、肝臓の細胞に多く含まれている酵素のことで、肝臓の細胞がダメージを受けると血液中に漏れ出てきます。

人間ドックの血液検査では、ASTやALTが漏れ出た分量を測定し、肝臓のダメージの程度を判断します。ダメージが大きいほどASTやALTの数値は増加し、数値が大きい場合は「急性肝炎」「慢性肝炎」「アルコール性肝炎」「脂肪肝」などにかかっている可能性があると判断されます。

リスク要因は、飲酒、肉食にかたよった食事による肥満、運動不足などがあてはまります。日常的に注意するとともに、定期的に健診を受診し、肝臓の状況をチェックしておくのが効果的です。その際に注目しておきたいのが「AST」と「ALT」の検査値です。

ASTとALTの値が増加する場合は要注意!自覚症状のない肝炎の疑いも

ASTは肝臓の細胞以外にも心臓の筋肉や手足の筋肉、血液の赤血球のなかにもあるのに対し、ALTは肝臓の細胞だけに含まれています。

そのため、心筋梗塞や激しい運動などによって筋肉もしくは赤血球がこわれた場合、ASTの値だけが上がってもALTの値が上がらないこともあります。

いっぽうで、肝炎など肝臓の細胞がこわれた場合は、ASTとALTの両方の値が増加します。言い換えれば、ASTとALTの値が両方とも増加した場合は、肝炎の疑いがあるといえます。

なお、肝炎は初期段階では自覚症状があるとは限らないことが知られています。ダメージの程度が軽ければ、何らかの病気となっても自覚症状が生じないことが多いため、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれています。

だからこそ、人間ドックの受診で血液検査を行い、ASTとALTの検査値を把握しておくことが重要なのです。

検査値が31U/L以上なら要注意、51U/Lなら異常に

では、ASTとALTの検査値はどのように判断すればよいでしょうか。

医療機関によって違いはありますが、日本人間ドック学会が定めている基準値によると、どちらも31U/L(ユニットパーリットル)以上であれば「要注意」、51U/Lを超えていれば「異常」とされています。

また、医療関係者のなかには、ASTとALTが100U/L以上であれば肝炎にかかっている可能性がとても高く、抗ウイルス薬などによる治療がすぐに必要という声もあります。

実際の人間ドックでは、ASTとALT以外に「腹部超音波検査(エコー検査)」や「腹部CT検査」などによって肝臓の形や内部の状況を調べたうえで、検査結果は総合的に判断されます。その結果、肝硬変や肝臓がんのリスクが発見されるケースもあります。

まとめ:血液検査により肝臓リスクをとらえ、早期発見につなげよう

ASTとALTは、血液検査で調べる項目の一部にすぎませんが、必須の項目として必ず設定されています。自覚症状に乏しいために気づかないことも多い肝炎のリスクをとらえ、肝硬変や肝臓がんという生命の危機にさらされる疾患リスクをかなり前段階で発見することにつながります

さらに、年に1度は人間ドック受診を続けていけば、長い期間にわたる検査データが蓄積され、変化が起きたときに気づきやすくなります。つまり、肝硬変・肝臓がんといった重い肝臓病を予防する指針となり、改善の第一歩にもなるのです。

検査は採血のみという、受診者への負担が少ない検査です。受診費用が2~4万円のスタンダードな人間ドックに必ず含まれているため、決してその意味は小さくありません。

まずはお近くのエリアで人間ドックが受診できる医療機関を探してみましょう。検査項目や費用は施設により異なるため、比較しながらご自身に適したプランを選択・予約してみてください。

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