頸動脈エコーでわかることは?|動脈硬化を調べる超音波検査について

人間ドック

頸動脈エコーでわかることは?|動脈硬化を調べる超音波検査について

この記事の監修ドクター

西横浜国際総合病院 健康管理センター 医師
酒井 亜希子

【略歴】
2001年 産業医科大学医学部 卒業

【資格】
日本耳鼻咽喉科学会 耳鼻咽喉科専門医

頸動脈(けいどうみゃく)は脳に血液を送る大切な血管です。偏った食生活、運動不足、タバコを吸うなど、生活習慣の乱れによって動脈硬化が起こります。

また、動脈硬化を放っておくと脳卒中(脳梗塞・脳出血)や心臓病(心筋梗塞・狭心症)など、重い病気を引き起こす恐れがあります。

そんな危険な動脈硬化を調べる検査として頸動脈エコー(頸動脈超音波)があります。こちらでは、頸動脈エコーや動脈硬化について詳しく説明しているので、参考にしてください。

目次
  1. 頸動脈(けいどうみゃく)エコー検査について
  2. 動脈硬化とは
  3. ほかにもある動脈硬化を調べる各種検査
  4. まとめ|まず頸動脈エコーで動脈硬化の程度を調べましょう

頸動脈(けいどうみゃく)エコー検査について

頸動脈エコー検査は、超音波が頸動脈(大動脈から頭部へ血液を送る血管)まで届き、反射した波(反射波)から動脈硬化の程度を調べる検査です。

エコーゼリーを首に塗り、プローブと呼ばれるこぶしほどの大きさの医療機器を当てながら動かしていきます。プローブを通してモニターに頸動脈が映し出されるので映像を確認しながら動脈硬化の程度を測定します。

また、エコーゼリーが冷たくて冷やっとしますが、それ以外はベッドにあお向けの状態でいるだけなので身体に負担がかかりません。

頸動脈エコー検査でわかることは?

頸動脈エコーによって血管壁の厚さと血管の内側の状態がわかる

頸動脈エコーによって断層撮影(物体の内部画像を構成する技術)された画像によって、血管壁の厚さと血管の内側の状態がわかります。

具体的には、動脈硬化によって厚くなった血管壁やこびりついたプラーク(脂肪などの線維など)や血栓などを確認することができます。

また、血管の狭窄(だんだん狭くなる)率評価をすることができます。壁にこびりついたプラーク部分の面積と、血液の流れる部分の面積の比率を計算して出します。

頸動脈エコー検査費用と内容

検査費用
1,000~5,000円 程度
検査時間
10~15分 程度

検査内容

首にエコーを当て、頸動脈の詰まりや狭窄の有無を調べます。被ばくもなく、身体への負担が少ないです。

また、頸動脈エコー検査のみであれば、健康診断や人間ドックと違い、飲食の時間制限がありません。しっかりと首がでる、検査しやすい格好で行くだけで問題ありません。

結果
医師からの結果報告 検査結果送付 医療機関により違いあり

動脈硬化とは

血管の弾力性イメージ

動脈硬化(どうみゃくこうか)は、名前の通り、動脈が硬くなることです。本来、血管には弾力性がありますが、年齢や生活習慣が原因で血管の内側にコレステロールや線維など、プラークがたまって血管が狭くなったり、弾力がなくなったりします。

そして、たまったプラークが突然破裂すると血栓(血管の中で血液が固まったもの)ができてしまいます。血栓が血管につまってしまうと、心筋梗塞や脳梗塞の恐れがあります。

動脈硬化の原因

偏った食事や運動不足、喫煙、ストレスなど、悪い生活習慣は動脈硬化の原因に

動脈硬化は、偏った食事や運動不足、喫煙、ストレスなど、悪い生活習慣が影響しています。生活習慣の乱れは、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満(メタボリックシンドロームを含む)の原因にもなり、これらが血管に負担を与えることで動脈硬化が進行していきます。

動脈硬化を放っておくとどうなる?

生活習慣をあらためず、動脈硬化の進行を放っておくと、将来、脳卒中や心臓病にかかる恐れがあります。例えば、コレステロールが高いと、血液中の余分な脂質によって血管内にプラークと呼ばれる異常な組織が作られます。そのプラークが破裂することで血栓ができてしまい、詰まることで脳梗塞を発症してしまいます。

コレステロールが血管に与える影響を知りたい場合は、関連記事を参考にしてください。

▼関連記事

善玉・悪玉コレステロール数値表|あなたのLDLは高い?低い?

ほかにもある動脈硬化を調べる各種検査

頸動脈エコー以外にも、動脈硬化を調べる検査はいくつかあります。頸動脈エコーもそうですが、脳ドックや心臓ドックなどで組み合わせて検査することが多いです。

組み合わせることで多角的に調べることができるので、動脈硬化やそれに起因する病気を詳しく調べることができます。

頸動脈(頸部)MRA検査

MRA検査イメージ
頸動脈の血管構造を調べる検査です。脳ドックで提供されることが多く、頭部MRI・頭部MRAと一緒に実施される場合が多いです。

血圧脈波検査(CAVI、PWV、ABI)

両腕・両足首の血圧と心電図(両手首)、心音図(心臓の音)から動脈硬化や血管年齢の程度を調べる検査です。CAVIとPWVは血管の固さを、ABIは血管の詰まり具合を表します。

眼底検査

眼底検査イメージ

眼の毛細血管を観察して動脈硬化を調べる検査です。眼底の血管は脳の血管と似た状態を表すので動脈効果の程度をしらべることに役立ちます。また、身体の中で唯一、血管を直接観察できる部位です。

脳ドックや心臓ドックについて詳しく知りたい場合は、関連記事を参考にしてください。

▼関連記事

脳ドックはどんな人に必要?脳卒中リスクから見る検査項目や目的とは

心筋梗塞・狭心症の検査方法や費用|心臓ドックは50歳が受診の目安

 

まとめ|まず頸動脈エコーで動脈硬化の程度を調べましょう

年齢問わず、身体に悪い生活を送っている場合は、頸動脈エコー検査を受けてみましょう。脳ドックや心臓ドックのような検査を受ける前段階として、病気リスクを事前に予想することができます。

頸動脈のプラーク発見をきっかけに、生活習慣の改善や健康意識を持つことができるかもしれません。