脳ドックは30代でも受けるべき?|若い世代の脳血管疾患リスクを解説

脳ドック

脳ドックは30代でも受けるべき?|若い世代の脳血管疾患リスクを解説

三愛総合健診センター 中山 尚登 医師

この記事の監修ドクター

三愛総合健診センター 副院長 脳卒中センター長
中山 尚登

30代はまだ脳ドックは必要ないと感じている人も多いでしょう。しかし、30代でも生活習慣によっては脳血管疾患のリスクが隠れている恐れがあります。さらに、すでに生活習慣病を発症している人は脳血管疾患のリスクが高まると言われています。脳血管疾患は突然死を招く疾患です。

自覚症状の出にくい脳血管の動脈硬化や、脳動脈瘤をはじめとした脳疾患リスクの早期発見に、脳ドックが役立ちます。今回は30代にとっての脳ドックについて説明していきます。

目次
  1. 30歳を過ぎたら脳ドックの受診を
  2. 若年層にも潜む脳卒中のリスク
  3. 脳ドックの検査方法|MRI・MRAとは
  4. 30代男性、脳ドック受診者のレポート
  5. まとめ:脳血管疾患のサインを見逃さない

30歳を過ぎたら脳ドックの受診を

脳血管疾患は日本人の死亡原因の第3位で、発症すると要介護になりやすく、高齢者に多いと認識されている疾患です。中高年以上が気をつける疾患だというイメージを持つ方も多いと思いますが、実は若い年代で脳血管疾患を発症する人が増えています。

30歳を過ぎると脳血管疾患のリスクが徐々に増え、40代から50代、60代と年齢が高くなるごとに脳血管疾患は起こりやすくなります。まずは、30歳を過ぎたら脳ドック受診を検討することをおすすめします。

若年層にも潜む脳卒中のリスク

動脈硬化

若年者で脳血管疾患を発症する人が増えた背景として、危険因子となる生活習慣病が若い世代にも増え、動脈硬化そのものが若年化していることが考えられます。

一方で、若年者の脳血管疾患には、脳動脈解離(脳の動脈壁が裂けてはがれる病気)や脳動静脈奇形(脳の動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接つながっている状態)など、特殊な原因も多くなっています。

脳血管疾患には誘因となる危険因子がいくつもわかっていますが、なかでも高血圧、動脈硬化、喫煙は最大の危険因子です。そのほかにも、運動不足や多量の飲酒、ストレス、睡眠不足などの生活習慣が脳血管疾患の引き金となります。

また、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に加えて、高血圧、高血糖、脂質異常のうちいずれか2つ以上をあわせもった状態では、それぞれが軽症であっても動脈硬化を悪化させ、脳血管疾患の発症リスクを高めることもわかっています。

脳血管疾患による生活への影響

脳血管疾患の恐ろしいところは、高い死亡率のほかにもう1つあります。たとえ一命をとりとめても、手足の麻痺をはじめ、言語障害や視覚障害、感覚障害など重い後遺症を残すケースが少なくありません。どのような後遺症が現れるかは、損傷を受けた場所と程度によって異なります。後遺症の程度によっては寝たきりになったり、介護が必要になったりすることもあります。

働き盛りで家族を支える人や子育て中の女性が発症すると、本人の人生だけでなく、家族や周囲の人にも影響が及びます。社会生活における損失も大きいといえるでしょう。脳血管疾患を防ぐためには、あらかじめ不安要素を意識したうえで、適切な対策をとることが大切です。

脳ドックの検査方法|MRI・MRAとは

MRI/MRA

脳血管疾患のリスクをできる限り早期に発見し、適切な対応・早期治療へとつなげることが脳ドックの大きな役割です。

脳ドックの代表的な検査方法には、MRI検査とMRA検査があります。MRI検査は脳血管疾患の潜在を発見することを目的に、脳の断面画像を得て脳の実質を検査します。

一方、MRA検査は脳血管疾患のリスク発見を目的とし、脳血管を立体画像化し、脳の血管(動脈)および頸動脈を検査します。

多角的に調べるため、医療機関によってはMRI検査とMRA検査を組み合わせたコースやオプションとして設定されていたり、CT検査や頸動脈超音波検査が実施されるケースもあります。

30代男性、脳ドック受診者のレポート

MRI/MRA受診中

こちらの受診者レポートは、日頃から偏頭痛に悩まされ、脳血管疾患に関する不安を持っている30代の男性です。5年程前に「脳ドック」を受診した経験があるもののかなり間が空いてしまったため、あらためて受診することにより脳に関するあらゆる疾患のリスクもチェックしてみたいと思い受診を決意されました。

撮影時間はわずか20分。「もっと早く受診しておけばと思いました」「もしリスクがあるならできるだけ早めの対応が必要。仮に今回はとくにリスクが見つからなくとも、今後は年に1度は受診していこうと決めた」というコメントをくださいました。詳しくは「脳ドックの詳しい受診レポート」をご確認してください。

まとめ:脳血管疾患のサインを見逃さない

生活習慣病 原因

脳血管疾患は、発症するまで自覚症状が乏しく、「突然死」を招く恐れもある疾患です。後遺症によって生活が一変してしまうことが少なくありません。重度の要介護状態を引き起こす最大の原因ともなっています。若くして発症すれば、それだけ長く、自身の生活にも家族にも影響が及びます。

また、年齢が上がるほど脳血管疾患のリスクは高まり、高血圧、喫煙、糖尿病は脳血管疾患の原因となる動脈硬化を進行させる原因になります。20代・30代でも、高血圧、高血糖、脂質異常症など動脈硬化の危険因子を指摘されている人、喫煙する人は、脳ドックの受診を検討しましょう。

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