子宮がん検査痛い

がん検診

子宮頸がん検診は痛い?|検査の重要性と安心して受診するために

栄エンゼルクリニック 水野芳樹 医師

この記事の監修ドクター

栄エンゼルクリニック 院長
水野芳樹

【略歴】
1985年 名古屋市立大学医学部 卒業
2010年 医療法人士正会 理事就任

【資格】
日本消化器病学会認定 消化器病専門医

子宮は、受精卵を着床し新しい命を育む女性にしかない大切な器官です。子宮頸がんとは、その子宮の入り口、子宮頸部と呼ばれる膣につながる部分に発生する女性特有の疾患のことをいいます。そんな子宮頸がんリスクを調べる検診には痛みがあると耳にし、抵抗や不安を感じたことや、検査を後回しにしたり、身体の不調から目をそらしていることはないでしょうか。
 
20歳を過ぎると、子宮頸(けい)がん検診は2年に1回の受診が推奨されます。子宮頸がん検診の内診で、検査器具を挿入する際の違和感や不快感、羞恥心を感じる人も多いですが、痛みに関してはないことがほとんどです。
 
この記事では、子宮頸がん検診の検査方法と痛み、検診を受けるべき理由について説明しています。
目次
  1. 子宮頸がん検診の種類と痛みの関連性
  2. 子宮頸がん検診の受診方法
  3. 20代からの子宮頸がん検診の重要性
  4. 女性らしい豊かなライフステージを歩むためにも子宮頸がん検診を

子宮頸がん検診の種類と痛みの関連性

安心して子宮頸がん検診を受診できるよう、子宮頸がん検診の種類ごとに考えられる痛みについて確認します。

子宮頸部細胞診

子宮学部細胞診

腟鏡(クスコ)で膣を広げ、綿棒やブラシなどで頸部の細胞を軽くこすり、顕微鏡で確認する細胞診です。子宮の入口部分は痛みの感覚が弱いため、基本的に痛みはほとんどないと言われています。腟鏡の大きさが合わない場合には、綿棒や柔らかいブラシで子宮の先(腟部、頸管)を擦るときだけ、少し痛みを感じたり、出血がある場合もありますが、恐怖心を持つ程ではありません。

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経腟超音波(経腟エコー)

経膣エコー検査

腟の中から超音波を当てて調べる検査です。基本的に痛みはありませんが、腟専用の細長い棒状の形をしたプローブ(探触子)と呼ばれるセンサーを腟内に挿入する際に痛みを感じる人もまれにいるようです。超音波検査はX線を使用しないのでもちろん子宮にも無害です。検査は子宮内や卵巣の様子を近くから観察するため、膣内に挿入しやすい親指の太さのプローブが用いられています。しかし挿入の際、痛みを強く感じる方や性交渉の経験のない女性の場合は、医師への相談次第では経直腸(肛門からプローブを挿入する)方法で検査を受けることも可能です。不安があれば医師に相談してみましょう。

HPV検査

子宮頸部の細胞を採取し、子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染しているかどうかを調べる検査です。採取方法は子宮頸部細胞診と同様の流れで、子宮の入り口をブラシや綿棒でこするだけです。腟を開く腟鏡(クスコ)の大きさが合わない場合には、わずかに痛みを感じたり、少量の出血がある場合もあります。

精密検査のコルポスコープ(コルポスコープ診)

コルポスコープと呼ばれる拡大鏡で、肉眼では見ることのできない子宮頸部の細かい部分を観察する組織検査です。子宮頸がん検診で異常が確認された場合に精密検査として行われます。まれではありますが、拡大鏡を挿入する際に、痛みと病変部位からの細胞の一部を採取する時にチクッとした痛みを感じる人もいます。検査後に弱い生理痛のような痛みがある場合や、痛みが長時間強く感じる場合は、痛み止め薬の処方があります。

検診後に痛みや出血が続いたときの対応

子宮頸がん検診を受診した後、にじむような少量の出血や痛みを感じる人がいます。月経時以外に腟から排出される出血は不正出血と呼ばれ、子宮頸がんの症状の1つとしても考えられていますが、検診に伴う出血や痛みの多くは数日で治まります。ただし、痛みや出血が続く、いつもの生理とは異なる腹痛や出血が起きるなどの症状があれば、早めに医療機関を受診し、医師に相談をすることが大切です。

痛みの不安や抵抗がある人には骨盤腔MRI検査

痛みに対しどうしても耐えられない恐怖心や抵抗がある人には、「骨盤腔MRI検査」というMRIを使用した子宮頸がん検査という選択肢もあります。

骨盤腔MRI検査とは、子宮頸がんだけではなく、卵巣や子宮、その周辺に生じる婦人科の疾患の発見を目的に、磁気を用いて骨盤内を全方位的に断層画像として撮影する検査です。放射線の心配や検査に伴う痛みは一切ありません。

子宮や卵巣の状態や大きさなどがひと目で分かると言われる骨盤腔MRI検査ですが、まだまだ一般的ではありません。造影剤なしの場合は約8,000円~10,000円程度、造影剤ありの場合でも約12,000円~15,000円程度の費用が必要となります。しかし痛みがないことに加え、医師による内診なしで子宮がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮筋腫の発見にも役立つことから、検診の痛みが不安な人には受診を検討してもよい検査といえるでしょう。

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痛みをやわらげるコツはリラックスをすること

ここまででご紹介したどの検診も、身体に力を入れずリラックスした状態で受診することが最も大切です。全身の力を抜き、ゆっくりと長い息を吐くことを意識して受診に臨むことで恐怖心や痛みを和らげ、子宮がんリスクを見逃すことのないように定期的な検診に取り組みましょう。

子宮頸がん検診の受診方法

子宮がん検査受診方法

子宮頸がん検診を受診する際にはまず、各自治体が実施する検診と、人間ドックなど検診目的の自由診療のどちらを利用するか選択する必要があります。

各自治体で受診する場合、20歳以上であれば多くの自治体で、安価または無料で子宮頸部細胞診を検査項目とする子宮頸がん検診を受診することが可能です。

一方、自由診療(全額自己負担)の場合は子宮頸部細胞診を基本とし、さらにHPV検査、経腟超音波(経腟エコー)などを合わせてた検査項目を自身のタイミングで受診することができます。

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20代からの子宮頸がん検診の重要性

国立がん研究がん対策情報センター「がん登録・統計2014」子宮頸がん年齢別罹患率によると、子宮頸がんの発症は20代から目立ち始め、30代後半から40代前半という若い年代にピークを迎えます。

子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因と考えられており、感染には性交渉が関連していると言われています。近年では性交渉の低年齢化により、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が若年層で増加傾向、子宮頸がんの若年化も進行しています。

子宮頸がんは子宮の入り口の付近で発生します。ウイルスに感染してしまったとしても検査で発見しやすく、早期発見により治療へとつなげられるため、子宮頸がんの発症まで進行することなく完治を目指すことができます。

また、初期に自覚症状がほとんどなく、子宮がん検診の際に発見されることがほとんどです。そのため、子宮頸がん検診は痛みなどへの不安よりも検診によって得られる安心感の方が多いと、有効性が評価されています。子宮頸がんの原因となるウイルスを早期に発見し、未病の段階で防ぐために、子宮頸がん検診の受診は必要不可欠です。

女性らしい豊かなライフステージを歩むためにも子宮頸がん検診を

女性には結婚・妊娠・出産など様々なライフイベントが待っています。子宮頸がんは初期症状がほとんどないため、妊娠時の子宮がん検診の際に発症が発覚することも少なくありません。ようやくの想いで妊娠できたとしても、がんが進行している場合は治療に専念が必要となったり、早産、流産の恐れも少なからずあります。出産を諦めざるを得ない状況も考えられます。

子宮頸がんは30・40代と若い年代で発症する特徴を持ちますが、近年は若年層にも発症リスクが広がっています。しかし、子宮頸がんは早期発見により完治を目指せる疾患の一つです。痛みがほとんどない子宮頸がん検診ではありますが、多少の痛みを我慢してでも受診するという気持ちを持つことが、これから待ち受ける女性のライフイベントを豊かにすることへとつながるでしょう。

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