がん検診

子宮頸がん検診の検査内容や費用について|がん予防のために早期発見が大切

この記事の監修ドクター

高井戸東健診クリニック 院長
市毛 敬子

1981年 東京慈恵医科大学卒業
2006年 高井戸東健診クリニック 勤務開始

女性特有のがんの一つに、近年若い世代に増えている子宮頸(けい)がんがあります。

高橋メアリージュンさん(モデル、俳優)、三原じゅん子さん(俳優、政治家)、大竹しのぶさん(俳優)、和田アキ子さん(歌手)など、子宮頸がんを患ったことを公表されている有名人の方も多く、決して他人事ではない病気です。

新たな命を育む場所である大切な子宮をがんから守るためには、どうしたらいいのか?今回は、子宮頸がんについて、取り上げます。

目次
  1. 子宮にできる、2つのがん
  2. 子宮頸がんの特徴と進行具合のサイン
  3. 子宮頸がんを引き起こす、HPV
  4. 子宮頸がん検査の流れ
  5. 子宮頸がん検診の内容とその費用
  6. 子宮頸がん検査の注意点
  7. まとめ:子宮頸がんを予防するためには、一日も早く、検査を受けよう

子宮にできる、2つのがん

女性特有の臓器である子宮は骨盤内にあり、鶏の卵より少し大きい、赤ちゃんを育てるための大切な臓器です。子宮の形は、洋梨を逆さまにしたような形状を想像してください。

「子宮頸がん」とは子宮頸部(洋梨で例えれば柄が付いている側)にできるがんのことで、子宮頸部は腟の中に出っ張っています。

また、子宮の本体にできるがんを「子宮体がん」といい、大部分が子宮の内側を覆っている子宮内膜のがんです。この子宮体がんと子宮頸がんの2つを総称して、子宮がんと呼んでいます。

子宮頸がんは20歳代から発症が目立ち始め、30~40代でピークになります。ある程度病状が進行しなければ症状は現れません。子宮頸がんが進行すると、性交渉時に出血する、茶色いおりものが増えるといった症状が現れます。

一方、子宮体がんになりやすい年代は、40歳代後半から50歳代以降といわれています。ただし月経不順や不妊症があると若いうちに子宮体がんになることがあります。

子宮頸がんの特徴と進行具合のサイン

子宮頸がんにはいろいろな種類のがんが含まれていますが、代表格は8割程度を占める「扁平上皮がん」です。扁平上皮がんでは、正常な組織がいきなりがんに変わるわけではなく、「異形成」「上皮内がん」といったいわゆる前がん病変を経て数年かけてがんになっていきます。前がん病変のうちに診断することが大切です。

異形成になっても必ずがんになるわけではなく自然に治ることもあります。二番目に多い「腺がん」は、前がん病変がはっきりしないことも多くがんになってからの進行が早いです。腺がんは若い人に多いといわれています。

早期の子宮頸がんもその前がん病変も無症状のことが多いので、不正性器出血などの症状がなくても定期的に検査をすることが大切です。

子宮頸がんを引き起こす、HPV

子宮頸がんを引き起こす原因は、そのほとんどが「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の感染だといわれています。

HPVは性交渉によって感染しますが、たとえ感染しても免疫機能によって排除されることが多いです。実に「6割程度の女性が一生に一度は感染するウイルス」と考えられています。

HPVは前がん病変やがんになるきっかけとなりますが、HPVに感染しても子宮頸がんになる人はわずかです。

※HPVは100種類以上のタイプがあり、その中でがんを誘発するものは10種類ほどでハイリスクHPVと呼びます。

子宮頸がん検査の流れ

20歳以上の方には子宮頸がん検査が勧められています。性交渉の経験があれば若い人でもハイリスクHPV感染の可能性があるからです。

子宮頸がん検査は、問診から始まり、子宮頸部細胞診(子宮頸部細胞を採取して顕微鏡検査する)、内診の流れで行われるのが一般的です。

一度も婦人科に行ったことがなく、「恥ずかしい」と感じる若い世代の方もいるかもしれませんが、自覚症状が現れてからでは手遅れです。先ほど触れた通り、がんに進行する前の早期発見が鍵であること、そして20〜30歳代の若い年代の方で子宮頸がんの罹患率が高まっていることを踏まえると、早いうちから婦人科デビューをした方がよいでしょう。

子宮頸がん検診の内容とその費用

子宮頸部細胞診

腟を腟鏡(クスコ)で広げ奥にある子宮頸部から細胞をプラスチックの器具やブラシなどでこすり取り、がんや異形成の細胞がないかを顕微鏡で調べる検査です。
■受診費用 数千円ほど
■検査時間 5~10分ほど
■検査結果 細胞処理や細胞検査技師や専門医の顕微鏡での評価に時間がかかるため、約1〜2週間で、面談や郵送などで通知

HPV

子宮頸部の細胞を採取し、子宮頸がん発症のきっかけとなるHPVの感染の有無を調べる検査です。HPVのうちがんと関係のある10種類程度(ハイリスクHPV)の感染の有無を調べるのが検診では一般的です。がんや異形成があるかどうかを調べるわけではなく、子宮頸がんに罹るリスクが高いかどうか調べる検査です。HPVのうちどのタイプが感染しているかまで調べる方法(タイプ別検査)もありますが、これは異形成と診断された方に行うのが一般的です。
■受診費用 数千円〜1万円前後(タイプ別の場合は費用が異なります)
■検査時間 5~10分ほど
■検査結果 細胞を分子生物学的手法で調べるのに時間がかかるため、約1〜2週間で、面談や郵送などで報告

コルポスコープ

子宮頸部を一種の内視鏡で観察し異常所見がないかを見ます。子宮頸部細胞診と組み合わせて行われます。
■受診費用 数千円
■検査時間 5分ほど
■検査結果 その場でわかります。

子宮頸がん検査の注意点

子宮頸がん検査は、検査前と検査後に、いくつかの注意点があります。

検査前に注意すること

  • 生理中は検査を避ける
    生理中は正しい結果が出にくいため、検査は受けられません。
  • 検査日3日前から腟内洗浄や性交渉は控える
    腟洗浄や性交渉の後は、採取すべき子宮頸部の細胞が洗い流されたり擦りとれたあとなので、検査で正しい結果が得られません。産婦人科で診察を受けたり腟錠を使用した後は1週間以上あけてから検査を受けましょう。
  • 検査しやすい服装をする
    検査当日は下着を脱いで検査をします。ゆったりしたスカートで行くのがお勧めです。
  • 体調不良のときは無理をしない
    当日の体調が優れないときは検査結果を左右する場合があるので、無理はせず、検査日を変更しましょう。

検査後に注意すること

  • 出血やおりもの
    検査後数日は、少量の出血が見られたり色のついたおりものが出たりすることがあります。汚れが気になる場合はナプキンやおりものシートを使うとよいでしょう。入浴など日常生活の制限はありません。

まとめ:子宮頸がんを予防するためには、一日も早く、検査を受けよう

性交渉経験が一度でもあればハイリスクHPV感染の可能性があり、子宮頸がんが発症することもあります。子宮頸部細胞診やコルポスコープで、がんになる前の異形成の段階で発見することが大切です。特にハイリスクHPV検査で陽性だった人は定期的に検査を受けると良いでしょう。

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