心臓の検査を徹底解説|専門ドックで行われる検査項目について

心臓ドック

心臓の検査を徹底解説|専門ドックで行われる検査項目について

東京シーサイドクリニック 中川敬一先生

この記事の監修ドクター

東京シーサイドクリニック 院長
中川 敬一

【略歴】
1985年 千葉大学医学部 卒業
1985年 千葉大学医学部第三内科入局
1994年 米国テキサス大学ヒューストン校医学部循環器内科
1997年 帝京大学医学部附属市原病院心臓血管センター 助手
2000年 西台クリニック 副院長
2002年 千葉大学大学院循環病態医学科 助教
2008年 東京シーサイドクリニック 開設
【資格】
日本循環器学会認定 循環器専門医

高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満などの生活習慣病が引き金となって動脈硬化が進行し、虚血性心疾患を発症するケースが増えています。ご自身の心臓について、その不安がないかを知っておくためにも心臓の検査を受診しておくことは重要です。

心臓病(心疾患)のリスクを調べる専門検査コースのことを心臓ドックといいます。この記事では、心臓専門ドックで行われる検査内容について詳しく解説します。

目次
  1. 心臓ドックで行われる検査
  2. 心臓ドックで調べられる疾患
  3. まとめ:心臓疾患の不安解消は専門ドックの受診から

心臓ドックで行われる検査

心臓超音波検査イメージ

心臓ドックで実施される検査は医療機関によっても異なりますが、以下に代表的なものを解説します。

心電図検査|心臓の動きを電気の波形で把握する

安静時心電図

安静に横になった状態で撮る心電図では、心肥大の疑い、心筋梗塞の既往、心筋虚血の疑い、伝導障害、不整脈などが見つかります。狭心症は発作時にしか心電図異常が見られないことがほとんどのため、安静時心電図だけでは診断が困難です。また致死性不整脈の原因となることがあるBrugada症候群が疑われることもあります。

運動負荷心電図

トレッドミルやエルゴメーターを使い運動をしながら、目標心拍数まで心臓に負荷をかけて心電図変化を調べます。労作性狭心症や不整脈の診断に用います。

ただし冠動脈が75%以上詰まると、胸痛などの症状生じる労作性狭心症の本検査による診断精度(陽性的中率)は60-70%にとどまるため、検査結果が陰性であっても完全に否定することはできません。
また心筋梗塞のほとんどは50%程度の冠動脈の詰まりから発症しますので、本検査で陰性であっても将来の心筋梗塞発症リスクが低いとは言えません。

ホルター心電図

携帯型の心電計を体表に取り付け、日常生活を過ごしながら心電図を24時間計測する検査です。日常生活で胸部症状を頻繁に認める人や不整脈を感じる人に適した検査です。

また不整脈が出ていても自覚症状がない方もしばしばいますので、安静時心電図で不整脈を指摘された場合やBrugada型心電図を認めた場合にはホルター心電図検査が有用です。

超音波検査|超音波で心臓の動きや血液の流れを映し出す

心臓超音波

心臓用の超音波装置を用い、心臓の大きさや形、心筋の動き、4つの弁の形態や機能などを評価できるとても重要かつ基本的な検査です。腹部などに使用する超音波装置では静止画が中心ですが、心臓用の超音波装置には動画撮影と心臓機能の計測をするアプリケーションが必要です。

心電図や胸部X線で心臓肥大が疑われた場合は、超音波検査による診断が必要となります。また聴診で心雑音が聴取された時にも、心臓弁膜症などがないかを超音波検査にて調べることになります。

頚動脈超音波

超音波装置により、左右の頚動脈に内中膜複合体肥厚やプラーク(粥腫)がないか調べます。プラークが大きく頚動脈(けいどうみゃく)の内腔を狭めるような場合には、血管の詰まり具合(狭窄率)や血流速度などを計測します。

頚動脈の動脈硬化の進み具合は、心臓の機能や冠動脈の動脈硬化を診るものではありません。動脈硬化の進み具合を知る上で参考にはなりますが、頚動脈硬化症が進行していたとしても、必ずしも心臓の冠動脈や四肢の動脈の動脈硬化が進行しているとは限りませんので注意が必要です。

CT検査|X線を照射して血管や心臓の状態を把握する

冠動脈造影CT

造影剤を点滴しながら心臓をCTで撮像する検査です。冠動脈内を流れる造影剤を画像化することで、カテーテルによる冠動脈造影検査と同じ様な冠動脈の三次元画像を得ることができます。造影剤の心筋への染まり具合から、心筋の性状も評価ができます。また造影剤を使う前の画像では冠動脈壁に形成された石灰化を描出することもできます。

労作性狭心症が疑われる人において、75%以上の有意な狭窄があるか診断するのに有用です。まれに労作性狭心症による心筋虚血があるにも関わらず胸痛などの症状がない人がいますが、この検査により偶然高度な冠動脈狭窄が発見されることがあります。

しかし前述したように、冠動脈の狭窄の程度(詰まり具合)からは将来の心筋梗塞発症の予測はできませんので、この検査により心筋梗塞のリスクを推し量ることはできません。

尚、造影剤アレルギーのある人や腎機能の悪い人にはこの検査はできません。また、これらの異常がない人でも造影剤は腎臓に負担をかけ、また放射線被曝量も少なくありませんので、症状がない方への定期的な検査には用いられるべきではありません。

心臓MRI検査|体に負担の少ない高度な画像診断

冠動脈造影CTと同じ様に、冠動脈の三次元画像から冠動脈の詰まり具合をみることができますが、画像の解像度はCTに劣ります。また心筋の性状や機能を評価することも可能です。

放射線被ばくがない点や、造影剤を使用しなくてもある程度冠動脈を描出できる点においては冠動脈造影CTよりも検診に適していると言えます。しかし、冠動脈の詰まり具合(狭窄度)と心筋梗塞の発症には相関はありませんので、本検査にて心筋梗塞の発症リスクを予測することはできないという点においては、冠動脈造影CTと同じです。

したがって本検査の有用性は労作性狭心症が疑われる人において、その原因となる高度な冠動脈の詰まりがあるかどうかを評価する際に有用と考えられます。

心筋シンチグラム

静脈に放射性同位元素(アイソトープ)を注射したうえで、放出される放射線をシンチカメラという装置で撮影して画像化し、心筋の血流やエネルギー代謝を調べる検査です。

心筋血流を調べる場合にはタリウムもしくはテクネチウムというアイソトープが使われ、エルゴメーターやトレッドミルなどのスポーツ器具による運動負荷時と、その後3〜4時間での安静時の2回撮影をします。

負荷はアデノシンやジピリダモールによる薬物で行う場合もあります。心疾患の既往のない方の検診時、糖尿病にしばしば見られる無症候性心筋虚血の発見に有用で、前述の運動負荷心電図よりは診断制度が高くなります。

装置の特性上、心臓の後壁では虚血の診断が難しい場合もあります。この検査の負荷血流シンチグラフィで正常である場合には、心筋梗塞などの心事故が発生する確率は低いことがわかっています。

心臓PET-CT

N-13アンモニアというトレーサー(追跡物質)を静脈に点滴注射しながら、PET-CT装置にて心臓を撮影することで、冠動脈から心筋に流れる血流を画像化することができます。ここで得られる血流は冠動脈の太い血管から毛細血管までを反映していることになります。

前述の心筋シンチグラムと比べると画像解像度が高く、心臓の部位による減衰の違いがありません。また軽度の冠動脈の詰まりや、安静時の虚血を検出することもできるため、狭心症や心筋梗塞を将来生じうる冠動脈硬化を詳しく評価することが可能で、他の検査よりも優れた点となります。

ただしN-13アンモニアの合成には専用のサイクロトロン(加速器)と合成装置が必要なため、本検査を行えるPET施設は全国に数カ所に留まっており、検診を行えるのはその一部になります。

血液検査

動脈硬化を進行させる危険因子は、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙など複数あります。危険因子が多いほど動脈硬化が進行しやすく、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患を発症するリスクが高くなるため、心臓ドックの血液検査ではこうした危険因子について評価がされます。

心臓ドックで調べられる疾患

心臓に不調のある男性

心臓ドックで調べられる疾患には、(1)虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)、(2)高血圧性心疾患、(3)心筋疾患(肥大型心筋症や拡張型心筋症など)、(4)心臓弁膜症、(5)不整脈やその原因となる心電図異常(Brugada症候群など)などがあります。

通常の人間ドックでは安静時の心電図検査を調べる程度のため、心疾患スクリーニングのためには「がん」の発見を主目的とした心臓ドックを受ける必要があります。

心臓ドックの対象疾患については以下の記事にて解説しています。

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心臓ドックの検査内容についてWEBサイトを活用する夫婦

心臓病は日本人にとって大変不安のつのる疾患です。高血圧、糖尿病、肥満などの成人病から動脈硬化になる恐れがありますので、普段から注意が必要です。予防のためにも心臓の検査を受診することをおすすめしますが、そのためには検査内容について事前に認識しておくとさらに安心です。

心臓ドックは医療機関によって検査コースなどが異なります。医療機関の情報がまとめられているWEBサイトなどを活用して検討してみてください。

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