脳ドックを20代で受診する意味|若い年代にも隠された脳疾患リスクを見つける

脳ドック

脳ドックを20代で受診する意味|若い年代にも隠された脳疾患リスクとは

この記事の監修ドクター

東京シーサイドクリニック 院長
中川 敬一

【略歴】
1985年 千葉大学医学部 卒業
1985年 千葉大学医学部第三内科入局
1994年 米国テキサス大学ヒューストン校医学部循環器内科
1997年 帝京大学医学部附属市原病院心臓血管センター 助手
2000年 西台クリニック 副院長
2002年 千葉大学大学院循環病態医学科 助教
2008年 東京シーサイドクリニック 開設
【資格】
日本循環器学会認定 循環器専門医

20代で脳ドックは大げさではないかと思っている人、そもそも関係ないと思っている人は多いのではないでしょうか? 若い世代間では健康に関する話題が上がることも少ないでしょう。

基本的に、健康であれば20代でわざわざ脳ドックは必要ないかもしれませんが、脳ドックが大いに役に立つこともあります。ここでは、20代で脳ドックは必要なのか? 必要だとしたらどういう場合なのかを説明しています。

目次
  1. 20代では脳ドックを受ける必要性は低い
  2. 若年発症も珍しくない「くも膜下出血」
  3. いきなり運動を始めずに食生活の改善から取り組もう
  4. まとめ:将来のリスク軽減のために20代でも受診の機会を

20代では脳ドックを受ける必要性は低い

脳ドックとは、頭部MRI/MRAなどを検査項目とし、(1)脳腫瘍、(2)脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患、(3)脳動脈硬化とそのリスク、(4)くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤の有無、(5)その他の脳疾患、などを調べる検査です。

これらの脳疾患の中でも脳血管疾患は最も発症頻度が高く、厚生労働省『人口動態統計の概況』によると2015年1年間の死因別死亡総数のうち11万1,973人で、全死因の上位から4番目と報告されています。脳出血や脳梗塞は加齢に生活習慣の悪化が重なることで概ね40代から発症するため、20代で脳血管疾患の有無を調べる必要性は低いでしょう。

しかし若年層でも注意しておきたい脳疾患があります。次の項で解説します。

若年発症も珍しくない「くも膜下出血」

若年発症も珍しくない「くも膜下出血」くも膜下出血は脳動脈瘤・脳動静脈奇形・頭部外傷が原因で突然発症する致死率の高い疾患で全脳血管障害の8%を占め、その約70%が脳動脈瘤の破裂によるものです。脳動脈瘤の多くは先天性であり、20代でのくも膜下出血の発症も珍しくありません。したがって脳ドックにより脳動脈瘤の有無を確認することはとても重要です。

動脈瘤はひとたび破裂すると致命的なことが多いため、動脈瘤のサイズにより慎重に経過観察するか、もしくはクリッピング手術などの外科的処置を受けることでくも膜下出血を防ぐことが可能なのです。

近年は20代でも動脈硬化の恐れあり

脳血管疾患の多くを占める脳出血や脳梗塞は動脈硬化に起因します。その動脈硬化は糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満など生活習慣病が元で進行します。

近年、食生活の欧米化や生活習慣の変化により生活習慣病のリスクが増加傾向にあります。そして以前に比べ、日本においても多くの20〜30代の若者で生活習慣病の発症と動脈硬化の進行が指摘されるようになりました。生活習慣病は過剰な塩分・糖質・動物性脂肪の摂取、飲酒・たばこなどの嗜好、運動不足などの生活習慣の積み重ねにより発症し、徐々に悪化します。

生活習慣病は、食生活の改善、適度な運動習慣、良好な睡眠、禁煙といった生活習慣の改善により予防が可能です。動脈硬化の兆候が見られたら、まず、日常生活を見直してみるところから始めましょう。

いきなり運動を始めずに食生活の改善から取り組もう

生活習慣の改善で最も重要なのは、食生活の改善と定期的な運動習慣です。

もし頚動脈や脳動脈に動脈硬化によるプラーク(脂肪のかたまり)があり、血管がかなり細くなっていても、症状はなかなか現れません。しかし比較的軽度のプラークであっても、そこに脆弱性が生じると、血管にストレスがかかったときに破れて血栓が形成され、結果として脳梗塞を発症することがあります。

そうした現象は運動中に発汗し脱水傾向になり、脆弱した血管にストレスがかかり生じることもあります。したがって頚動脈超音波や脳MRAにより脳動脈にプラークがないかあらかじめ知っておくことが重要です。

食生活の改善と薬物治療でプラークは小さくなり、安定化することも知られていますので、プラークが見つかった場合には積極的な予防改善治療が必要になります。ウォーキングなど軽度の運動は問題ありませんのでプラークがあっても推奨されます。激しい運動で体質を改善するのではなく、まず食生活の改善に徹底して取り組むことが重要なカギを握っているのです。

接触性の高いスポーツは慢性外傷性脳症の原因に

接触性の高いスポーツは慢性外傷性脳症の原因に

趣味や健康管理の目的で運動を習慣づけている人は少なくないないでしょう。しかし、スポーツの種類によっては「慢性外傷性脳症」という脳の疾患を引き起こす恐れがあります。

慢性外傷性脳症はボクシング・フットボール・アイスホッケー・レスリングなど頭部への衝撃、脳しんとうが起きるような激しい接触スポーツの選手に多いといわれています。外傷に伴い気分(抑うつ)や、行動(攻撃的なふるまいやかんしゃく)、精神(錯乱)、筋肉(四肢の筋力低下)などの変化・症状が年齢とともに顕著に見られるようになります。

MRI検査や神経心理検査で生前診断もある程度は可能になりつつありますが、通常の脳ドックでの診断は困難であり、頭部への打撃を回避することが一番の予防です。

まとめ:将来のリスク軽減のために20代でも受診の機会を

将来のリスク軽減のために20代でも受診の機会を

20代で脳ドックを受診する必要性は低いといわれています。しかし、先天性の脳動脈瘤が原因でくも膜下出血を発症する場合や、生活習慣の悪化によっては若年でも脳出血や脳梗塞を引き起こすこともあります。現状の脳血管疾患リスクを把握するという意味で、脳ドックを受けることは、将来のリスク軽減、生活改善のきっかけになるでしょう。

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