脳ドック

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脳ドックの費用はコースや検査項目で変わる!脳卒中などに備えた検査の選び方

沼田脳神経外科循環器科病院 赤尾 法彦先生

この記事の監修ドクター

沼田脳神経外科循環器科病院 院長
赤尾 法彦

40歳を超えると、加齢や今までの生活習慣の影響によって様々な病気のリスクが上がります。脳卒中(脳梗塞、くも膜下出血、脳出血)などの脳の病気もそのひとつです。脳卒中は動脈硬化が要因になりますが、動脈硬化そのものは自覚症状がなく、自分で脳卒中のリスクに気づくことは難しいといえるでしょう。そこで、脳ドックで脳の異常がないか調べることが大切です。

脳ドックは保険適用がなく、選ぶコースや検査項目、施設によっても費用が異なります。そのため、自分に合ったコースや検査項目を知ることができれば、自分の納得のいく費用で受診をすることができます。この記事では、脳ドックの費用の目安や検査項目、自分に合った検査の選び方について説明します。

目次
  1. 脳ドックの費用はおよそ2〜5万円
  2. 受診の流れと注意点
  3. 脳ドックを受けた方がよい人や脳ドックでわかること
  4. 脳ドックの検査内容
  5. まとめ:自分に合った脳ドックの検査項目や費用は受診先に相談を

脳ドックの費用はおよそ2〜5万円

施設やコースによりますが、脳ドックの費用はおよそ2〜5万円が相場です。どの検査を選ぶかによって費用は大きく変わってくるため、どのコースが適切かは受診予定の医療機関に問い合わせてみるとよいでしょう。

基本コース(2〜3万円程度)

  • MRI/MRA検査
  • 頸動脈エコー検査
※コースの検査内容は施設により異なります。

脳ドックの主な検査は、MRI/MRA検査と頸動脈エコー検査です。MRI検査は脳実質(脳そのもの)を調べる検査で、対してMRA検査は脳血管(特に脳動脈)を調べる検査です。
頸動脈エコー検査は、頸動脈と呼ばれる脳に血液を送る首の血管が狭くなっていないかなどを調べられます。

精密検査コース(4〜5万円程度)

  • MRI/MRA検査
  • 頸動脈エコー検査
  • 血液・生化学的検査
  • 尿検査
  • 心電図検査
  • 簡易認知機能検査
  • 結果説明
※コースの検査内容は施設により異なります。

施設によっては、前述のMRI/MRA検査、頸動脈エコー検査に加えて、血液検査や心電図検査、簡易認知機能検査などを加えたコースもあります。また、検査結果を郵送ではなく、専門の医師から受けられる場合もあり、より具体的な生活指導や病気のリスクの説明などを受けることができるでしょう。

受診の流れと注意点

受診の流れは、大まかに次の通りです。

  1. 予約(電話、webなど)
  2. 検査(半日〜1日など受診先やコースによる)
  3. 結果説明(郵送、直接医師から説明)

脳ドックではMRI検査を行うことから、次に該当する人は検査が受けられないことがあります。該当する場合は、受診先の医療機関に必ず伝えましょう。

  • 妊娠中、妊娠の可能性がある人
  • 義歯や入れ歯を使用している人
  • ペースメーカーを使用している人
  • 過去に脳動脈瘤のクリップ手術を受けたことがある人
  • 手術などで金属が体内にあると言われている人
  • 刺青(タトゥー)をしている人
  • コンタクトレンズを装用している人

MRIの機器の中は狭く、暗いため、狭いところや暗いところが苦手な人も注意が必要です。検査前に受診先の医療機関にその旨を知らせてください。

脳ドックを受けた方がよい人や脳ドックでわかること

脳ドックを受けた方がよい人

以下に当てはまる場合は、一度脳ドックの受診を検討してみてもよいでしょう。

  • 40歳以上
  • 家族に、脳卒中などの脳血管疾患を発症した人がいる
  • 動脈硬化の危険因子があると言われている(高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙など

例えば、脂質異常症の人がその症状によって脳血管にアテローム性動脈硬化を起こすと、脳血管の狭窄・閉塞が起きて脳梗塞となるリスクがあります。

脳ドックでわかること

脳ドックでは、主に脳血管疾患(脳卒中)や脳腫瘍、受ける検査項目によっては認知症のリスクがわかります。

脳ドックの検査内容

脳ドックという名前で行われる各種検査には、主に以下があります。
脳の検査 MRI 磁気を利用して、体(脳ドックの場合は脳)の断面を写し、調べる検査。
MRA MRIと同じ機器を用いて、脳の血管を調べる検査。MRIと同時に行うことができ、造影剤が不要。
頸動脈エコー検査 脳に血液を送る首の動脈を超音波で見ることで、血管の狭窄が起きていないかを調べる検査。
CT エックス線を利用して、体(脳ドックの場合は脳)の断面を写し、調べる検査。MRIと比べ、急性の虚血変化の描出力が低く、脳血管描出には造影剤を要す。
ABI/CAVI 両腕、両足の血圧を測定することで、動脈がどれくらい詰まっているか(ABI)と動脈がどれくらい硬いか(CAVI)を調べる検査。
認知症の検査 VSRAD 早期アルツハイマー病の診断を支援するためのソフト。MRI画像を使い海馬の萎縮度を通常と比較して、その数値をスコアにすることでアルツハイマー病が疑われるかを調べる。
簡易認知度検査 口頭でいくつかの質問に答えることで、認知症かどうかを調べる検査。
基本検査、脳以外の検査 身体測定 身長、体重などの検査。
血液検査 血液採取、検査によって脂質異常症などの動脈硬化のリスクとなる異常がないか調べる。
尿検査 尿の採取、検査によって糖尿病などの動脈硬化のリスクとなる異常がないか調べる。
血圧測定 血圧を測定し、動脈硬化のリスクとなる高血圧が生じていないかなどを調べる。
胸部検査 胸部X線検査、肺機能検査など
心電図検査 脳血管疾患のリスクとなる不整脈などがないか調べる検査。
血圧脈波検査 手足の血圧や脈波の伝わり方を調べることで、血管の硬さをみる検査。

不安な症状がある場合は脳ドックでなく通常の診察、検査を!

脳ドックは、早期に脳の病気や異常を見つける検査です。例えば脳梗塞の中には「無症候性脳梗塞」といって、自覚症状のない「軽い」脳梗塞を起こしていることもあります。脳ドックはそのような無症状の場合の異常を見つけることに役立ちます。

一方、頭痛やめまいなどの不安な症状がある場合は、健康診断目的の脳ドックではなく、一度脳神経外科を受診し、診断をしてもらうことをおすすめします。この場合は、保険適用のない脳ドックと異なり、通常の健康保険が使え、自己負担割合に応じた金額で受診が可能です。

脳ドックは、あくまで特段の症状を感じていない場合に健康診断のような目的で受けるものです。気になる症状がある場合は、脳ドックではなく、通常の診察をしてもらい各種検査を受けましょう。

まとめ:自分に合った脳ドックの検査項目や費用は受診先に相談を

脳ドックの費用は、コースに含まれる検査項目によって変動します。中には、人間ドックと一緒に受けられたり、がん検診と一緒に受けられたりするものもあります。「一度に全身の病気のリスクを調べたい」「がんも気になるから、脳ドックに合わせてがんのリスクも調べたい」など、自身の希望に合わせて他の検査もセットになったコースを検討してもよいでしょう。

このように、自身のニーズに合わせて適切な検査を選べば、費用も納得できるものになるでしょう。

自分に合った脳ドックのコースがわからない場合は、近くの脳ドック実施医療機関に問い合わせて相談してみることをおすすめします。

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