がん検診

COPDで肺がんになる?|喫煙者は要注意ー初期症状は風邪に似ています

螢田診療所 小澤 優樹先生

この記事の監修ドクター

螢田診療所 院長
小澤 優樹

【略歴】
1980年 昭和大学医学部 卒業

【資格】
日本循環器学会認定 循環器専門医
日本内科学会認定 総合内科専門医
日本超音波医学会認定 超音波専門医

階段の上り下りで息苦しさを感じたり、風邪が長引き咳や痰が続いたりすることはありませんか? それは単なる疲れや加齢のせいだけではないかもしれません。
息が吐き出しにくくなり咳や痰を伴う場合は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)を疑いましょう。

COPDは喫煙がもたらす疾患です。しかし喫煙者はもちろんですが、実は受動喫煙者にも注意が必要であることを知らない人は多いのではないでしょうか。この記事では、身近に潜むCOPDについて紹介します。

目次
  1. COPDってどんな疾患?
  2. COPDの主な原因は喫煙
  3. 死亡者数は増加中|COPDと肺がんを合併する恐れも
  4. 予防にはまず禁煙が大切
  5. まとめ|COPDの初期症状を見逃さないためにも健診を

COPDってどんな疾患?

COPD(chronic obstructive pulmonary disease)は慢性閉塞性肺疾患の総称。慢性気管支炎や肺気腫など、いわゆる「肺の生活習慣病」を指します。

COPDはどのような症状が現れる疾患なのでしょうか。

見逃しやすいCOPDの初期症状

あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、COPD(chronic obstructive pulmonary disease)は慢性閉塞性肺疾患の総称です。具体的には慢性気管支炎や肺気腫など、いわゆる「肺の生活習慣病」を指します。

大きな特徴は、呼吸機能の低下(呼吸がしにくくなる)です。とくに初期は風邪と似た症状のため、進行するまでに見過ごされがちです。重症になると呼吸不全に陥ったり、全身に障害が現れたりすることもあります。

COPDの主な初期症状

  • 慢性の咳や痰
  • 息切れ
  • 動悸
  • 痩せ
  • 風邪をひきやすい

COPDの主な原因は喫煙

喫煙開始時期が早い人や喫煙歴が長い人、1日に吸うタバコの本数が多い人ほどCOPDになるリスクは高い

COPDを招く最大の原因は喫煙です。くわしく見ていきましょう。

喫煙がCOPDを引き起こす理由

タバコの煙は粒子が小さく、肺の奥まで入り込みやすい有害物質です。その煙を吸い込むことによって空気の通り道である気道(気管支)の炎症や、酸素の交換を行う肺胞の破壊などが生じます。空気の出し入れがうまくいかなくなるので、いつものように呼吸ができなくなり、息切れを引き起こすのです。

とくに、喫煙開始時期が早い人や喫煙歴が長い人、1日に吸うタバコの本数が多い人ほどCOPDになるリスクは高いと考えられています。

タバコ以外の原因

COPDの危険因子の80%~90%を喫煙が占めていますが、喫煙以外の原因もありえます。さらに、喫煙に加えて以下の原因が合併している場合は重症化の恐れもあるため、より注意が必要です。

  • PM2.5などの大気汚染物質
  • 喘息
  • 乳幼時期の肺炎
  • 遺伝
  • 成長期の低栄養状態

受動喫煙でもCOPDになる?

喫煙しない人にとってタバコの副流煙は大きな危険因子です。タバコの煙は、主流煙よりも副流煙に多く含まれているため、喫煙者本人よりも、近くにいるだけでタバコの煙を吸ってしまっている人の方がCOPDになるリスクが高くなります。つまり、受動喫煙もCOPDの原因となりうるのです。

死亡者数は増加中|COPDと肺がんを合併する恐れも

厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計」によると、COPDの年間死亡者数は17,836人

厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計」によると、COPDの年間死亡者数は17,836人、平成30年までは過去最悪の値を更新していましたが、ようやくストップ。しかし死亡率は14.4%と依然として高い確率です。

また、肺がんの主な原因もCOPDと同じく喫煙であることから、合併することも多いと考えられています。具体的に、COPD患者が肺がんになる確率は、COPDでない人の5倍といわれています。

COPD、肺がんともに喫煙が進行を速め、重症化するケースもある恐ろしい疾患です。

予防にはまず禁煙が大切

喫煙者だけでなく、副流煙を吸ってしまう周りの人のためにもCOPDの予防には禁煙が欠かせません。しかし、万が一発症してしまったとしても、早期に診断して禁煙を含め早期に対応することで、病状の進行を防ぐことができます。

人間ドックや肺ドックを活用

喫煙者やCOPDの初期症状に不安を感じる人は、COPDを調べるために人間ドックや肺ドックを活用しましょう。肺ドックとは、主に胸部CT撮影を中心にした肺の精密検査(=肺に特化した人間ドック)を指す医療施設が多く、COPDに関連する検査を組み合わせ受診することができます。

COPDのリスク検査には以下のようなものがあります。

【COPDの検査】

検査項目 概要
胸部X線(レントゲン) 胸部全体にX線を照射して平面撮影し、肺に異常な影があるかどうか、心臓の形に異常があるかどうかを調べる
胸部CT 胸部を立体的に画像化し、肺気腫が進んで肺組織が壊れた部分などを調べる
喀痰 吐き出された痰を顕微鏡で調べ、痰の状態や、中の細菌やがん細胞を調べる細胞診
血液検査(シフラ) 腫瘍マーカー(シフラ)で肺がんのリスクを調べる
呼吸機能検査(スパイロメータ検査) 肺にどれだけ多くの空気を吸い込むことができ、どれだけ大量にすばやく吐き出せるかを調べる
心電図 COPDでは心臓に負担がかかることがあり、また虚血性心疾患の合併が多いため、心臓の機能、壁運動を調べる
パルスオキシメータ COPD が進行すると、慢性的な酸素不足(慢性呼吸不全)となるため、酸素濃度(酸素飽和度)を測定する

まとめ|COPDの初期症状を見逃さないためにも健診を

COPDの初期症状を見逃さないためにも健診を

COPDは、喫煙習慣を背景に発症する生活習慣病の1つです。喫煙は肺がんをはじめとするがんのリスクや、心臓病、脳血管疾患などのリスクまでをも高める恐れがあります。そのため、喫煙が最大の原因となるCOPDは肺疾患というよりも全身に関わる疾患と認識したほうがいいのかもしれません。

COPDだけの検査だけでなくそれらを含めた全身の管理が必要です。まずは定期的な検診を受け、喫煙者は禁煙を意識すること、そして人間ドックや肺ドックを受診しましょう。