がん検診
この記事の監修ドクター
【略歴】 1987年 慶応義塾大学医学部卒業 2004年 みなみ野レディースクリニック開設 【資格】 日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医
一般的に子宮頸がんの検査では、ブラシやヘラで子宮頸部をこすり、細胞を採取する「子宮頸部細胞診」と呼ばれる検査を行います。その採取方法として、医師が直接子宮を見ながら頸部の細胞を採取する「医師採取」が一般的ですが、自分自身で子宮入口(頸部)の細胞を採る「自己採取」による検査方法もあります。
20代で増加傾向がみられる子宮頸がんは、検査によって早期発見と予防が可能ながんと言われています。この記事では、自宅でできる子宮頸がんの自己採取法について説明しています。
子宮頸がん自己採取法について
子宮頸がんは、子宮入り口付近に発生する女性特有のがんです。初期には全く症状がなく、20代で急増します。「子宮頸がん検診」は女性であれば必ず検査すべきと言っても過言ではありません。
厚生労働省の指針では20歳以上の女性を対象に、2年に1回の頻度で子宮頸がん検診を受診するよう推奨しています。は、医師が子宮頸部の細胞を採取し、顕微鏡で観察する細胞診(子宮頸部細胞診)を、自治体や人間ドックで経験したことがある方も多いでしょう。
一方で、医療施設へ足を運ぶことなく自宅で子宮頸がんを検査する方法として、検査キットを活用する選択肢もあります。検査キットはネット通販やドラックストアで購入することができます。
自分で採取する方法
子宮頸がん検査の自己採取について、以下にまとめます。
目的 | 子宮頸がんの早期発見 |
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検査のやり方 |
※キットによって使用方法は異なります。 |
検査結果 |
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メリット |
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注意点
キットを使用して子宮頸がん検査のための自己採取をする際は、以下の点に注意してください。
- 十分な検査ができないため生理中は避ける
- 月経終了後3~7日の受診が望ましい(ただし使用するキットにより日数は異なる)
- キットは1回限りの使用で、使い回しはしない
- 妊娠中や出血時は使用不可
- キットには細胞診だけでなく、子宮頸がんになる可能性のあるHPV(ヒトパピローマウイルス)の検査を含む場合があるので確認のうえ選択する
医師採取法の方が検査の精度は高い
自己採取法は手軽ではありますが、膣の奥にある子宮頸部を目で見ながら適切な場所をこすって採取することは、一般の人にはなかなか困難です。誤った場所の細胞を提出してしまって正しい判定がされない可能性があります。
自己採取では偽陰性(疾患リスクがあるにもかかわらず異常なしの結果になること)が多くなることが分かっています。また、細胞採取用具も様々あり、使い方も様々です。
医師による検査に抵抗があったり、時間もない人にとって自己採取法は一つの選択肢ではありますが、検査精度に不安がある人は医師採取を選択しましょう。
子宮頸がん検診の医師採取について以下にまとめます。
メリット |
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まとめ:自分に合った検診スタイルを選択して受診しよう
羞恥心や手間がかかるといったことから子宮頸がん検査を受診せず、感染を見過ごしてしまう人も少なくありません。自己採取法には、若年層に増加傾向にある子宮頸がんの発症リスクを低下へと導く目的があります。子宮頸がんの検査機会の拡大を図ると言っても過言ではありません。
しかし、検査精度の点をとれば、子宮頸がんリスクの早期発見につながるのはやはり医師による検査です。自己採取を選択する場合は、たとえ「異常なし」の結果が出たとしても、うまく細胞の採取ができていない可能性があることも十分に理解しておきましょう。