PET検査の費用は?|検査の内容やメリットも解説します

PET検査

この記事の監修ドクター

AIC画像検査センター 理事長
澤野 誠志

【略歴】 日本医科大学卒 日本医科大学付属第一病院 放射線医局長 癌研究会付属病院 放射線診断科副部長 癌研究会付属病院 放射線治療科副部長 二番町インタークリニック院長 医療法人社団 豊智会(AIC八重洲クリニック、AIC画像検査センター) 理事長 AIC八重洲クリニック 院長

目次
  1. そもそも、PET検査とは?
  2. PET検査の5つのメリット
  3. PET検査の5つのデメリット・注意点
  4. PET検査で見つけられるがんと、見つけにくいがん
  5. PET検査にかかる費用・検査時間について
  6. まとめ:がんへの不安が少しでもある方はPET検査を視野に入れてみて

いまやがんは日本人の2人に1人がかかるといわれています。30代後半以降になると、「健康診断だけではなく、がんの検査も受けた方がいいのかな……」と気になるものです。

がんを調べるための検査にはいくつか種類があります。その一つが今回取り上げるPET検査です。一回の検査でほぼ全身のがんリスクをチェックできます。

PET検査とはいったいどのような検査なのか?すべてのがんを見つけることができるの?費用や検査の流れは? など、PET検査の基本をわかりやすく解説していきます。

そもそも、PET検査とは?

がん検診というと胸のX線写真、胃バリウム検査、内視鏡検査、最近は、CTやMRIが使われています。これらは形を見ていく検査です。がんが大きくなると周囲を圧迫したり、周りを引っ張ったり、色つやが変わったりします。

医師は頭の中にある臓器の解剖情報を参考に、微妙な形態変化を見つけていきます。例えば、CTで胸とお腹を撮影したとすると、大体100cmの長さを5mmごとに撮影するため、200枚の画像から小さながんを見つけていきます。これが一日10人だったら簡単ですが、50人、100人と診断しようとすると疲れ果て、集中力も低下していきます。

そこでPET検査(Positron Emission Tomography。ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)の出番です。PET検査は、がん細胞がブドウ糖をたくさん取り込むという特性を利用した検査です。微量の放射性物質(18F-FDG)をブドウ糖にくっつけることで、がん細胞が18F-FDGを取り込むとコンピューターの画像の上でがんが光ります。

一度の検査で全身を調べることができるため、がんの早期発見や初期診断の他、がんの再発や他の臓器への転移も調べることができます。

「PET-CT検査」とPET検査は同じもの?違うもの?

PET検査は、がんでない部分は良く見えないので、CTを組み合わた「PET-CT検査」と呼ばれるタイプがあります(CT検査=エックス線で体の断面を撮影する検査)。診断精度の向上に伴い、PET検査の主流はこのPET-CT検査になっています。「PET検査」と呼ばれる検査の大半は、PET-CT検査のことを指していると捉えてください。

PET検査の5つのメリット

PET検査のメリットには、主に以下のものがあります。

  • 一度に全身のがんを調べることができる
  • 小さな(1cm程度)がんも見つけることができる
  • 良性の腫瘍なのか、がんなのかの判別に役立つ
  • 体への負担が少ない
  • 他の検診で利用される画像診断でわからないがんを見つけることができる

先ほど触れたように、PET検査は一度に全身のがんを調べることができます。そのため、がんの早期発見だけではなく、がんの転移や再発がないかを調べることにも役立ちます。

同時に、今までは見つけにくかった小さながんを見つけることも可能です。どのくらい小さいがんを見つけられるのかというと、がんが1cm程度になればPET検査で発見できるといわれています。最近の装置では、8mm程度と言われています。

がんが小さい段階で見つけられ、早いうちから治療が始められるのは、大きなメリットといえるでしょう。

PET検査では、見つかった腫瘍が良性か悪性(がん)か、判別することができます。良性か悪性かは、細胞が18F-FDGの取り込む力が高いか低いかで、決まります。

また、一般的な検診で用いられるレントゲンや、単純CT、単純MRIでは鑑別の難しい領域でのがん(頚部がん、膵臓、肝臓などのがん、大腸のがんなど)を、より早く発見する事に役立ちます。前述のがんの中には、無症状で進行し、症状が出て発見された頃にはステージが進んでしまって手がつけられない、ということもあるので、早めの発見が重要です。

体への負担が少ない点もPET検査のメリットの一つでしょう。

PET検査の5つのデメリット・注意点

また、PET検査のデメリット・注意点には、主に以下のものがあります。

  • 被ばくのリスクがある
  • PET検査で見つけにくいがんがある
  • 検査結果が陽性でも、がんではないことがある
  • 検査結果が陰性でも、がんのことがある
  • 血糖値の高い人の場合、診断の精度が低くなる

PET検査で使われる18F-FDGは微量の放射性物質を含んでいることから、ごく少量の放射線被ばくがあります。しかし、その被ばく量はCTよりも少ない量で、人体にはほとんど影響がないレベルだといわれているため、過敏になる必要はありません。被ばく低減を意識している施設もありますので、医院を選ぶ際の参考にするとよいでしょう。

また、PET検査はさまざまながんの発見のために使われるものの、全てのがんを見つけることはできません。がん以外の細胞にも反応することがあるため、たとえPET検査で陽性でも実際にはがんではなかった、ということもあり得ます。

さらに、PET検査で使われる18F-FDGは糖の代謝の具合を見ていることから、血糖値が高い人の場合は診断の精度が低くなります。

PET検査で見つけられるがんと、見つけにくいがん

PET検査で見つけられるがん
頭頚部がん(咽頭、喉頭、甲状腺、舌)、肺がん、食道がん、大腸がん、乳がん、子宮がん、卵巣がん、膵臓がん、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、転移性脳腫瘍、転移性肝がん、など
PET検査で見つけにくいがん
脳腫瘍、肺癌の一部(高分化がん、肺胞上皮がん)、1cm 未満のがん、泌尿器系悪性腫瘍※注1(腎臓、尿管、膀胱、前立腺)、表在がん※注2(食道・胃などの早期がん)、胃のスキルスがん(硬化がん)、原発性の肝がん など

※注1)泌尿器系悪性腫瘍が不得意な理由
FDG(薬剤)が尿として排泄され集積するため
※注2)表在がんとは
早期がんなど、がんの浸潤が粘膜下層までにとどまるもの(筋肉層深くまで達していない浅いがん)でリンパ節転移のないもの

なぜPET検査で見つかりにくいがんがあるのか?

PET検査で使う18F-FDGに反応しにくいがんや、18F-FDGそのものが尿として排出されてしまう腎臓や膀胱などの尿路系のがんは見つかりにくいことがあります。がんではなくても、18F-FDGが反応しやすい臓器(脳、扁桃腺、乳腺、肝臓、腸管、心臓など)を検査したい場合は、PET検査だけではなく、部位によってMRIや内視鏡など他の検査を組み合わせます。

PET検査の他にどのような検査を組み合わせるかは、医師と相談して決めましょう。

PET検査にかかる費用・検査時間について

2010年4月から、早期の胃がんを除いたがんの診断において、PET検査は保険適用の対象になりました。しかし、健康な人が健康診断を目的に検査を受ける場合は保険適用外となり、全額、自己負担になります。保険適用の条件については検査を受けたい医療機関に問い合わせてください。

■PET検査の費用

  • 保険適用の場合:健康保険の自己負担額
  • 保険適用外の場合:10万円程度(医療機関によって、異なります)

■検査時間

20分程度

■検査までの流れ

  1. 検査の6時間前は絶食する
  2. 薬剤(18F-FDG)を静脈注射する
  3. 注射後、1時間ほど安静にする
  4. PET検査の装置に横になって、撮影をする

 

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まとめ:がんへの不安が少しでもある方はPET検査を視野に入れてみて

「毎年受けている健康診断では、がんを見つけられないの?」と思う人もいるかもしれません。健康診断と併せてがん検診を受けられるケースもありますが、がん検診の範囲内で調べられるがんは限られます。

がんは男女ともに50代くらいから患う人が増えるため、「比較的高齢になってからかかる病気」と考えている人もいるでしょう。しかし、20代・30代・40代と若くしてがんを患うこともあり、その場合は高齢の場合よりもがんの進行が早く、早期発見がより重要になります。

もし、家族にがんになった人がいたり、喫煙などがんの発症リスクを高める生活習慣があったりしてがんリスクが心配なのであれば、全身のがんが調べられるPET検査を視野に入れてもよいかもしれません。必要に応じて、かかりつけの医師にも相談してみるのもよいでしょう。


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