がん検診
全身MRI検査(ドゥイブス)とは|全身のがんリスクを調べる検査について
この記事の監修ドクター
【略歴】
1986年 帝京大学医学部 卒業
〜1990年 帝京大学医学部付属病院 第二外科勤務
〜1994年 板橋中央総合病院 勤務
1994年 医療法人社団斗南堂八王子クリニック開院
2005年 シルバーヒルズ八王子開設 八王子クリニック新町開院
ほぼ全身のがんリスクを一度の検査で調べることができる「全身MRI検査」(ドゥイブス)が注目されています。その理由は、受診者にとって「検査薬の注射が必要ない」「検査時間が短い」などのメリットがあるためです。
近年では人間ドックの検査コースとしても増えつつある全身MRI(ドゥイブス)検査は、がんリスクが気になる人ならぜひとも知っておくべき検査です。詳しく解説します。
- 目次
全身MRI検査(ドゥイブス)|ほぼ全身のがんリスクを1度でチェック
全身MRI検査は「DWIBS」「DWI」「ドゥイブス検査」とも呼ばれます。電磁気を利用して身体の内部を調べるMRI装置を用いて、頸部〜胸部・腹部・骨盤を1度の検査で撮影し、がんリスクを調べる検査です。
検査の受診風景は通常のMRI検査ととくに変わりませんが、撮影範囲が違います。たとえば、頭部MRI検査では頭部のみを撮影しますが、全身MRI検査では、目の下から足の付け根付近(頸部〜胸部・腹部・骨盤)までを撮影します。
このように撮影範囲が広いため、実際に全身MRI検査を提供している人間ドックでは、「全身がんドック」「全身がん検査DWI」などの名称にしている例もあります。検査コース名に「全身」や「がん」が付くあたりもPET-CT検査と似ているといえるでしょう。
全身MRIとPET-CT|検査の違いと共通点
全身MRI検査(ドゥイブス)で発見が得意ながんリスクは、PET-CT検査とほぼ共通です。具体的には、すい臓がん・乳がん・子宮がん・甲状腺がん・肺がんなどがあります。また、初期の胃がんの発見が不得意な点もPET-CT検査と共通していますが、PET-CT検査が不得意とする前立腺がんリスクの発見を、全身MRI検査は得意としています。
PET-CT検査との大きな違いは撮影の仕組みです。全身MRI検査は、電磁気を受診者の身体に照射し、細胞の間の水の動き(速度)を撮影して、それをもとにしてがん細胞を探します。
正常細胞では、細胞同士の間隔が広いために水の動きが速いのですが、がん細胞は間隔が狭いため、水の動きが遅くなります。この水のスピードの違いによって、がん細胞を探す仕組みです。
PET-CT検査は、ブドウ糖に似た検査薬を受診者に注射し、がん細胞にブドウ糖が集まりやすい性質を利用してがん細胞を探しますが、全身MRI検査は検査薬を用いません。そのため、糖尿病の人でも受診できるのも全身MRI検査の特徴です。
全身MRI検査のメリット|注射なし、絶食の必要なし、待機時間なし
受診者にとっても、全身MRI検査とPET-CT検査では違いがあります。撮影の仕組みが異なるため、撮影前に検査薬の注射を受ける必要がありません。
健康への害はないものの、PET-CT検査の検査薬には放射性物質が含まれています。多少の被ばくは避けられませんが、全身MRI検査は検査薬を使用しないためその恐れがありません。
また、PET-CT検査の検査薬はブドウ糖に似た性質を持つため、全身MRI検査は糖尿病の方でも受診できます。さらに、CT検査などで用いられる造影剤も必要ないため、造影剤へのアレルギーがある体質の人や腎不全の人も受診が可能です。
【全身MRI検査のメリット・デメリット】
- メリット
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- 注射なし、検査前絶食なし、待機時間なし
- 糖尿病の人・腎不全の人でも受診できる
- 撮影時間は30分
- デメリット
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- 体内に金属プレートが埋め込まれていると、受診できない。
- タトゥーありの場合、受診できない(塗料に金属が含まれる)
加えて、全身MRI検査では、検査前の絶食や、放射性物質を減衰させるための検査後の待機時間も、必要ありません。そのため、健診施設に来院してすぐに受診できます。撮影時間は30分ほどで、受付から受診費用の清算まで1時間ほどなので、PET-CT検査の約2時間よりも短いのです。
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まとめ|ドゥイブスは受診者の負担が軽い「がんリスク検査」のひとつ
全身MRI検査では、1度の検査でほぼ全身のがんリスクを調べることができます。そして、注射や絶食などがないため、受診者への負担も軽く、検査時間も短いことが特徴です。
【全身MRI検査】
■検査時間 1時間以内
■検査結果 数週後に郵送される場合がほとんど
全身MRI検査の人間ドックでの本格的な普及は、これからかもしれません。しかし、がんリスクが気になる人は知っておいて損はない、新たな検査項目だといえるでしょう。