PET検査
PET-CTとDWIBS比較|全身がん検査はどう選択する?
PET-CTとDWIBS(ドゥイブス)は、どちらも全身のがん検査を一度に行う検査として注目されています。でも、いったいどっちを選べばいいの?自分はどちらを受診すべき?という声も聞かれます。
この記事ではそんな2つの全身がん検査をしっかり比較。人間ドックなび編集部が考える「検査の選び方」と共にお伝えします。
PETーCT検査とDWIBSの特徴を解説
大きなドーナツ型のスキャナーに横たわり、ほぼ全身を一度に撮影するという検査イメージまでは、どちらも同じです。しかしPET-CTとDWIBSは撮影の仕組みが大きく違います。
検査種類 | 検査の仕組み |
---|---|
PET-CT *1 |
FDGという検査薬を体内に投与し、全身を撮影します。正常な細胞と比べ、がん細胞がブドウ糖をたくさん取り込む(糖代謝が高い)という特性を利用した検査です。撮影した画像からFDGの集まる部位を確認します。 |
DWIBS *2 |
電磁気を受診者の体に照射し、全身を撮影します。正常な細胞は細胞同士の間隔が広いために水の動きが速いですが、がん細胞は間隔が狭いため水の動きが遅くなります。撮影した画像からこの水の動きを見てがん細胞を探します。 |
*1参考:仙台画像検診クリニック/伊藤正敏院長監修「PET検査の費用は?|検査の内容やメリットも解説します」
*2参考:八王子クリニック/井藤尚文理事長監修「全身MRI検査(ドゥイブス)とは|全身のがんリスクを調べる検査について」
所要時間や体への負担は?比較一覧表
PET-CT、DWIBSはどちらも横になっているだけで終わるため、体への負担はとても少ないといわれる検査です。検査の特性から、大きな違いは所用時間にあります。またそれぞれにがんの発見が不得意な部位がありますので、この比較一覧を参考にしてください。
※得意・不得意な部位に関しては、医療機関によって見解が異なる場合があります。受診予定の医療機関での事前確認をおすすめします。
比較項目 | PET-CT *1 | DWIBS *2 |
---|---|---|
検査前の食事制限 | 検査時間の約5時間前から絶食。ジュースや牛乳など糖分を含む飲料、お酒は飲めない | 特になし |
注射 | 検査薬FDGを投与 | なし |
医療被ばく | あり(副作用が心配される量ではない) | なし |
撮影時間 | 30分前後 | 30分前後 |
安静時間 | 検査前:検査薬が全身に渡るまでの約1時間/検査後:放射線物質を減衰させるために約30分~1時間 | なし |
受診可否条件 | 妊娠中の方、腎臓疾患がある方は受診不可 血糖値が高い方、糖尿病治療中の場合は要相談(検査結果が正しく出ない恐れあり) |
体内に金属プレートがある、ペースメーカー利用者、タトゥーがある場合などは受診不可 |
受付~終了までの所要時間 | 2~3時間 | 1~2時間 |
苦手な部位 | 胃、尿路系など | 大腸、肺など |
*1参考:西台クリニック/済陽高穂院長監修「がんリスクを調べるPET-CT検査の基礎知識|PET検査との違いとは」
仙台画像検診クリニック/伊藤正敏院長監修「PET検査の費用は?|検査の内容やメリットも解説します」
*2参考:八王子クリニック/井藤尚文理事長監修「全身MRI検査(ドゥイブス)とは|全身のがんリスクを調べる検査について」
【タイプ別】PETとDWIBSどっちを選ぶ?
それぞれの特徴と違いは理解できたけど、結局のところ自分にはどっちがいいの? 編集部全員が知れば知るほど迷ってしまったため、4つのポイントから選び方を考えてみました。ご自身に近いタイプはあるでしょうか、ぜひチェックを!
※あくまで編集部による独断ですので、迷う場合には受診医療機関に相談しましょう。
検査時間は最小限にしたい!時短希望タイプ>DWIBS
全身を一度に効率よく検査したいと思っているということは、日頃から時間を大切にしたいと考えているのでは。そんな方には圧倒的に短時間で終わるDWIBSをおすすめします。とはいえ、PET-CTもほぼ横になっているだけで2~3時間で終了するので、気にならない方は他のタイプもチェックしてみてください。
体から外せないピアスやタトゥーがある場合>PET-CT
ここで本来語るべきは、心臓ペースメーカーや人工内耳の装着、怪我などで金属が埋め込まれている方はPET-CTを選択してください、という内容です。DWIBSは磁気を使うMRIでの検査となるため、金属装置が体内にある場合は受診できません。
そしてレアケースですが、アクセサリとして体にピアスを埋め込んでいたり、タトゥーをしている方も、DWIBSは避けてください。ネイルのパーツに金属が含まれている場合もあります。少しでも気になる方は受診する医療機関に事前に相談しましょう。
血糖値が高い方、尿路系部位が不安な方>DWIBS
PET-CTの特性である、細胞の糖代謝を見るということはつまり、血糖値が高い方は診断制度が低くなることが考えられますので、DWIBSを選びましょう。そして活発に動く臓器のがん診断が不得意なので、前立腺を含む尿路系のがんが不安な場合にはDWIBSを選択してください。
甲状腺がん、大腸がんが不安な方>PET-CT
PET-CT検査は甲状腺がん、大腸がんの発見が得意とされています。2020年7月6日に更新された、国立がん研究センター「最新がん統計」によれば、2018年の女性のがん死亡者数でもっとも多いのが大腸がん(男女合計でも肺がんに次いで2番目)。がん発見の確度を高めるために他の検査と組み合わせた検査コースを設定する医療機関もありますので、事前に相談をしたうえで検査項目を検討すると良いでしょう。
※出典:国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
まとめ|メリット・デメリットを把握し、全身がん検査を効率的に
PET-CTとDWIBS(ドゥイブス)は、どちらもほぼ全身のがん検査を一度に行うことのできる検査です。それぞれの検査特性や禁忌事項を確認したうえで、自身にあった検査を選択し、健康管理に役立ててください。