PET検査

PETとMRIの違いとは?|がんリスクを調べる2つの検査目的と費用感

仙台画像検診クリニック 院長 伊藤 正敏(医学博士)東北大学名誉教授

この記事の監修ドクター

仙台画像検診クリニック 院長
伊藤 正敏(医学博士)東北大学名誉教授

【略歴】
1972年 信州大学医学部 卒業
2007年 仙台画像検診クリニック 院長就任

日本人の死因として1981年から第1位であり、日本人男性の2人に1人が罹患するといわれている「がん」。今回取り上げるPETとMRIは、どちらもがんのリスクを発見できる検査で、現在多くの医療機関で導入されています。

どのような検査をするの?どのくらいの費用がかかる?2つの検査の違いは?など、PETとMRIに関する疑問にまとめてお答えします。

目次
  1. PET検査とは|ブドウ糖とがん細胞の特性を利用した断層撮影
  2. MRI検査とは|磁石と電磁波を使う断面撮影
  3. 【比較】発見が得意な病気、不得意な病気
  4. 【比較】検査にかかる費用
  5. 【比較】検査の流れと所要時間
  6. まとめ:PET検査とMRI検査の違いを理解し、自分に合った検査を選ぼう

PET検査とは|ブドウ糖とがん細胞の特性を利用した断層撮影

PET検査とは、ごくわずかな放射線を放出するPET検査薬を受診者に投与し、受診者体内の放射線をPET装置(陽電子放射断層撮影装置)で撮影する検査で、がん、脳、心臓などの病気を早期発見するために有効な検査方法です。

PET検査で使用するPET検査薬はさまざまな種類がありますが、がんの発見を目的としたPET検査では、ブドウ糖とほぼ同じ性質の18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)と呼ばれるものが使われます。その理由は、正常な細胞に比べると、がん細胞が3~8倍のブドウ糖を取り込むためです(ブドウ糖〈18F-FDG〉が集まっているところ=がんの疑いがある)。

ちなみに、PET検査にCTの機能が追加された検査は「PET-CT検査」といいます。CT装置ではエックス線を用いて体の断層撮影を行い、PET画像とCT画像を組み合わせたPET-CT画像を撮影します。

PET検査についての詳細は「PET検査とは?メリットや費用、検査内容、受診できる施設を解説」の記事で解説しています。

MRI検査とは|磁石と電磁波を使う断面撮影

MRI検査は磁石と電磁波を使って、体内を断面的に描写する検査です。CT装置で用いたエックス線ではなく、強力な磁石と電磁波を用いることで、骨盤内の病変や頭部、腹部などの状態を詳細に検出することができます。

また、PET検査とMRI検査を複合したPET-MRIという検査もあります。PET-MRI装置を用いた検査で、PET検査単体よりも取得できる情報量が多く、より細かく正確に疾患リスクを調べることができます。

【比較】発見が得意な病気、不得意な病気

PET検査とMRI検査には、それぞれ発見を得意とする病気、不得意とする病気があります。医師と相談の上、どの病気を調べたいか、その内容によって検査方法を選ぶとよいでしょう。

PET検査

得意
すい臓がん、結腸がん、直腸がん、子宮がん、リンパ腫、胆道がん、頭頚部がん、肺がん、乳がん、食道がん、黒色腫(こくしょくしゅ) など
不得意
胃がん、膀胱がん、幹細胞がん、腎がん、尿管がん、白血病 など

MRI検査

得意
脳動脈瘤、脳腫瘍、頚椎症、脊椎腫瘍、腰椎のヘルニア、脊椎奇形 など
不得意
くも膜下出血、肺がん など

【比較】検査にかかる費用

PET検査とMRI検査にかかる費用は、同額ではありません。いろいろな条件によって、異なります。

PET検査

医療機関によって、異なります。全身の検査を含むものであれば、60,000~120,000円程度になるでしょう。また、医療機関が18F-FDGを院内で製造するか、外部から購入するかによっても、変わってきます。

MRI検査

画像診断の精度を上げる薬剤である造影剤の使用有無によって、異なります。造影剤を使用した場合は通常費用2,000~4,000円程度が一般的で、単体の検査であれば費用は20,000~30,000円程度で設定されていることが多くなります。

検査に保険は適用される?

PET検査やMRI検査は予防を目的としている場合、健康保険の適用対象外です。しかし、治療の一環として受診するのであれば、適用となります。


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【比較】検査の流れと所要時間

それぞれの検査の流れと所要時間について、見ていきましょう。

PET検査の基本的な流れ

  1. 検査前の絶食 検査の5~6時間前は絶食する
  2. 静脈注射 18F-FDGなどの検査薬を注射する
  3. 安静時間 1~2時間程度、安静に過ごす
  4. 撮影開始 ベッドに横になり、PET装置で撮影する
  • 受診費用 60,000~120,000円程度
  • 検査時間 全身の断面の撮影に要する時間は、30分程度
  • 検査結果 基本、後日郵送(医療機関によっては、希望すれば当日中に説明を受けることができる場合も)

MRI検査の基本的な流れ

  1. 着替え MRI検査を受診しやすい服装に着替える
  2. 測定の実施 体重、身長、血圧、心電図を測定する
  3. 問診&検査説明 担当医師から検査の説明が行われ、問診・聴診も行う(造影剤の使用についての判断も)
    ※造影剤を使うことになった場合、造影剤を点滴する
  4. 撮影開始 ベッドに横になり、MRI装置で撮影する
  • 受診費用 20,000円~30,000円程度
  • 検査時間 30分程度 特殊な検査の場合は、60分を越えることも
  • 検査結果 基本、後日郵送(医療機関によっては、希望すれば当日中に説明を受けることができる場合も)

まとめ:PET検査とMRI検査の違いを理解し、自分に合った検査を選ぼう

PET検査とMRI検査は検査方法や費用が異なるだけではなく、発見しやすい病気、発見しにくい病気も異なります。PET検査は泥棒にカラーボールを投げつけて発見するように思わぬがんの発生や広がりを診断でき、MRIは、他検査でがんがこのあたりにありそうとなったとき、高い分解能(識別能力)で威力を発揮します。

どの病気を発見したいのか、それぞれの検査特徴を理解して、目的に合わせた検査を選びましょう。PET検査とMRI検査が受けられる施設は、下記のエリアなどから探してみてください。

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