骨密度

人間ドック

骨密度検査について|40代も意識したい骨粗しょう症予防のための検査

この記事の監修ドクター

こさか内科・内視鏡内科 院長
小坂 英和

骨粗しょう症は骨の密度が低下する病気で、腰痛や股関節の骨折などにより歩行困難や要介護となってしまう高齢者も少なくありません。また、女性ホルモンと深く関係しているため、閉経後の女性に多いといわれています。

昨今、50代だけでなく40代のうちから「骨密度検査」を受診し、骨粗しょう症の予防を意識することの重要性が高まっています。

目次
  1. 骨密度検査の主目的は骨粗しょう症リスクの判断
  2. 主な検査方法は「超音波法」と「DXA法」
  3. 骨粗しょう症を予防するには食事と運動が大切
  4. まとめ:40代のうちから定期受診を意識するのがおすすめ

骨密度検査の主目的は骨粗しょう症リスクの判断

骨粗しょう症を予防するための第一歩ともいえる骨密度検査は、X線や超音波を用いて骨密度を測定します。主な目的は、骨粗しょう症と、それによって生じやすくなる腰骨や太ももの骨の骨折リスクを判断することです。

骨密度は、骨のなかにカルシウムやミネラルがどれほどあるかを示す数値です。成人(20~44歳)の平均値が基準となっており、これを100%として、骨密度検査では骨密度が何%であるかを示します。基準値より骨密度が低いのであれば、100%より小さい数値となります。

骨では常に古い骨細胞が壊され(骨吸収)、新しい細胞が生まれる(骨形成)新陳代謝のサイクルを繰り返しています。女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、骨の新陳代謝に際して骨吸収をゆるやかにし、骨からカルシウムが溶けだすことを抑制します。

そうした新陳代謝のバランスが崩れて骨粗しょう症にかかると、つまずいて地面に手やひじをついたり、くしゃみなどのわずかな衝撃で骨折したりすることがあるのです。

閉経後の女性に骨粗しょう症が多い理由

骨の新陳代謝には女性ホルモンが大きく関係しています。そのため、閉経期を迎えて女性ホルモンの分泌が低下すると急激に骨密度が低下し、同年代の男性にくらべると、骨密度が低くなるスピードが速い傾向が顕著です。

骨密度の低下(100%より低い数値)は、骨粗しょう症の主な原因です。これが、女性に骨粗しょう症が多くみられる主な理由なのです。

【女性の骨粗しょう症の主なリスク要因】

  • 45歳以前に閉経する
  • 妊娠期・閉経などをのぞいて12カ月以上、生理が止まった期間がある
  • 卵巣摘出やホルモン補充療法を受けている

骨折・転倒は寝たきり(要介護5)の原因で3位

厚生労働省の基準で介護の程度は5段階で示されます。一般的に寝たきりといわれるのが「要介護5」です。厚労省が2017年に発表した『国民生活基礎調査2016』では、要介護5の原因として骨折・転倒は10.2%と3位になっています(1位は脳卒中の30.8%、2位は認知症の20.4%)。

たしかに、骨密度の低下や骨粗しょう症は、脳卒中のように直接・突発的に生命に危険を及ぼすわけではありませんし、認知症のように家族や周囲がすぐに気づく状態にもなりません。しかし、介護が必要となる骨折・転倒の原因として少なくない以上、健康に対するリスクとして意識しておくべきです。

それは結果として、健康でいることができる期間(健康寿命)を伸ばし、介護を受けるリスクを減らすことにつながります。とくに、家族や身近な人に女性がいる場合は周囲も注意し、40代のうちから骨密度検査の受診をすすめることがおすすめです。

主な検査方法は「超音波法」と「DXA法」

骨密度検査

人間ドックで提供されている主な骨密度検査には、「超音波法」とX線を用いる「DXA(デキサ)法」の2種類があり、ともに全身の骨密度の把握に適した部分の骨密度を測定します。

測定する場所は、超音波法の場合は主にかかと、DXA法の場合は主に腰の骨(腰椎)や足のつけ根(大腿骨近位部)です。

骨密度検査

骨密度検査は、スタンダードな人間ドックの検査項目に含まれているケースや、オプションとして設定されている場合が多く、「骨粗しょう症検査」と呼ばれる場合もあります。

また、要介護人口を減らす観点から、自治体が実施している骨密度検査もあります。自治体の検査は5歳きざみで、40・45・50・55・60・65・70歳の節目で受診できるケースが一般的です。

骨密度検査の概要はこちら。

受診費用 単独で受診する場合は3,000円ほど
(人間ドックの検査項目に含まれているケースが多い)
検査時間 数分~15分ほど(測定部位による)
検査結果 数週後に郵送される場合がほとんど

骨粗しょう症を予防するには食事と運動が大切

まずは日常的に食事と運動に気をつけることが大切です。カルシウムやビタミンD、ビタミンKを含む食材を多く摂り骨を強くする(骨密度を低下させない)ことが、骨粗しょう症の予防に役立ちます。

具体的な食材としては、次のものなどがあげられます。

食材

カルシウム 牛乳・乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、大豆製品 など
ビタミンD サケ、ウナギ、シイタケ、キクラゲ、卵 など
ビタミンK 納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、サニーレタス、キャベツ など

骨を強くする運動としては、ウォーキング、ジョギング、エアロビクスなどがあります。ほかに室内でもできる運動として、次のものがあります。

<開眼片脚立ち(ダイナミック・フラミンゴ体操)>

片足立ち

フラミンゴのように片脚で立ちます。不安な方は壁やテーブルにつかまりながら行っても、かまいません。体重を片脚に乗せることで、両脚立ちの倍の負荷を与えることができ、骨を強くする効果があります。バランス感覚が鍛えられるため、転倒予防にもなります。

<ふくらはぎとアキレス腱のストレッチ>

壁に手をついて、体を支えながらふくらはぎとアキレス腱を伸ばし、 前に出した方の脚の膝を曲げて体重をかけていって、後ろの方の脚のふくらはぎを伸ばしていきます。そして、後ろの方の脚の膝を曲げ、アキレス腱を伸ばします。片脚30~40秒ずつを左右交互に行いましょう。

まとめ:40代のうちから定期受診を意識するのがおすすめ

女性の場合、骨密度は18歳くらいがピークで、その後、40代半ばまではほぼ一定を維持し、50歳前後から低下します。人生80歳の時代にあって高齢者とはいえない40代のうちから意識し、骨密度検査を定期的に受けたほうがよいでしょう。

もちろん、全身の健康をチェックするスタンダードな人間ドックや、各部位を調べる検診と合わせて受診してこそ、効果は高まります。

まずはお近くのエリアから、骨密度検査を実施している医療機関を探してみましょう。

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