人間ドック

健康診断前はサプリメントを摂ってもいいの?

菊池養生園保健組合 菊池広域保健センター 芹川和志先生

この記事の監修ドクター

菊池養生園保健組合 園長
芹川 和志

健康のため、日常的にサプリメントを摂取している人は多いかと思います。しかし、サプリメントなどの健康食品は種類によって健康診断の結果に影響を及ぼすものがあることをご存知ですか。そのため、健診の数日前から摂取を控えるよう指示されることもあり注意が必要です。

では、サプリメントを摂取していることで健診結果にどのような影響があるのでしょうか。健康診断受診前のサプリメント摂取について解説します。

目次
  1. 健康診断前のサプリメントは2日前から控える
  2. 健診結果に影響するサプリメントの種類
  3. 健康診断前にサプリメントを摂ってしまったら?
  4. まとめ|健診前はサプリメントの摂取を控えましょう。

健康診断前のサプリメントは2日前から控える

健康診断前のサプリメントは2日前から控える

サプリメントは薬ではなく栄養補助食品として、足りない栄養素を補うために利用すべきものです。医薬品ではないため本来は摂取しなくても良いものではあります。健康維持のために摂取している人もいるでしょうし、嗜好品として摂取する習慣がある人もいるでしょう。

検査で正常な値を把握するために、健診の2日前からはサプリメントの摂取を控えた方が良いとされています。

控えるべき理由

サプリメントで栄養素を補っていない体の状態が、本来の健康状態です。サプリメントの影響で結果が偽陽性や偽陰性になってしまうと、病気のサインを見逃してしまう恐れもあります。病気のリスクを早期発見するためにも健診前はサプリメントを控えるようにしましょう。

健診後はすぐにサプリメントを再開していいのか

健診終了後であれば、基本的にサプリメントを摂取しても問題はありません。ただし、検査結果が当日中に判明する場合で、万が一何かしらの異常が発見された時には、サプリメントを摂取する前に医師へ確認しましょう。

また、後日に検査結果が判明する場合、再検査や二次検査が必要となった時にはしばらくサプリメントの摂取は控え、再開してもいいかは医師に相談してみることをおすすめします。

健診結果に影響するサプリメントの種類

サプリメントの中でもビタミンCは健診結果へ影響しやすいといわれます。サプリメントなどの健康食品が及ぼす影響について理解しておきましょう。

ビタミンCの尿検査への影響

ビタミンCの尿検査への影響

ビタミンCは水溶性で、さらに強い還元作用があるので、摂取し過ぎると尿の中に混ざって排出されます。普段の生活では、ビタミンCをサプリメントなどで摂り過ぎたとしても尿として排出されてしまうため、過剰摂取になることはありません。

しかし、健診で行う尿検査時には、その摂り過ぎたビタミンCによって偽陰性の結果になるケースがあります。本当は検査結果が陽性だとしても、サプリメントの摂取によって陰性となってしまえば、例えば糖尿病の疑いがあっても「異常なし」と診断されてしまい、病気の早期発見のきっかけを逃すことになってしまいます。

サプリメントの他に注意したい食べ物や飲み物

ビタミンCなど、特定の栄養成分が濃縮して含まれているものはサプリメントだけではありません。健康食品やドリンク剤など、健康管理のために普段何気なく口にしているものの中にも、健診結果に影響を及ぼす成分が多く含まれています。

女性の場合は、アミノ酸やコラーゲンドリンクなど美容のために摂取している食品には注意が必要です。また、風邪薬の中にもビタミンCが多く含まれています。尿の成分に影響が出そうな食品は身近にたくさんあるので、健診前には意識しておくと良いでしょう。

肝臓への影響

現代では、サプリメントはドラッグストアやコンビニなどでも気軽に手に入るため、健康維持や美容のために摂取する人も少なくありません。しかし、サプリメントを過剰摂取していると「薬物性肝障害」を引き起こす恐れがあります。

薬物性肝障害とは、サプリメントなどが代謝されてできた物質が原因で肝臓が炎症を起こす疾患です。サプリメントは少量であれば健康維持に繋がるものかもしれませんが、摂り過ぎることで逆に健康を損なう恐れもあります。出来れば医師の指示に従って摂取することが望ましいです。

健康診断前にサプリメントを摂ってしまったら?

健康診断前にサプリメントを摂ってしまったら検査担当者へ伝えましょう。

普段からサプリメントを摂取していると、いつもの習慣として健診前にうっかり摂ってしまうことがあるかもしれません。もし検査前にサプリメントなどの健康食品を摂取してしまったらどう対処すべきか、その方法をお伝えします。

医師など検査担当者に申し出る

健診前にサプリメントを摂取してしまった時には、検査前に医師もしくは検査担当者へ伝えましょう。その場合、尿検査のみ別日で行う可能性や再検査となる恐れもありますが、医師の判断によってはサプリメント摂取を考慮して「異常なし」と診断することもあります。 摂取したサプリメントの種類や時間によっては、検査への影響は少ないと判断される場合もあります。どのような種類のサプリメントをどのくらいの量、いつ摂取したのかを詳細に伝えましょう。

まとめ|健診前はサプリメントの摂取を控えましょう。

普段はサプリメントなどの栄養補助食品で足りない栄養素を補っていたとしても、健診前には摂取を控えて正しい検査結果がわかるようにすべきです。本来の体の状態がわからなければ、病気のサインを見逃す恐れもあり、健診を受診する意味も薄れてしまいます。病気の早期発見のためにも、検査2日前から準備を始めておきましょう。