
人間ドック
人間ドックの受診料金|検査項目・コース別の平均費用や補助金制度を解説

この記事の監修ドクター
【経歴】
1992年 京都大学医学科医学部 卒業
1992年 神戸市立中央市民病院 研修医
1994年 京都大学医学部 大学院
1999年 大阪赤十字病院
2007年 大阪府済生会中津病院
2015年 大阪府済生会中津病院 総合健診センター部長 就任
【資格】
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医
企業の法定健診に比べ、人間ドックでは詳細な検査を受けられます。自由診療なので、原則全額自己負担ですが、人間ドックの受診費用がいくらかかるのかご存知でしょうか?
受診施設にもよりますが、人間ドックの平均相場はおよそ3~4万円です。しかし、自費のため、中には受診をためらっている方もいるのではないでしょうか。
体のことを考えて一度は受診しておきたい人間ドックについて、費用感に納得して受診するためのコース選びやポイント、補助金制度について紹介します。
- 目次
人間ドックと法定健診の違い
法定健診とは、労働安全衛生法で受診が義務付けられている一般健康診断のことです(会社勤めの方が年に一度受けている定期健康診断は、この法定健診に該当します)。受診する基本的な項目が決まっているため、毎年同じ検査を受けることが多いのではないでしょうか?
一方の人間ドックは、個人が自費で受ける健康診断なので、気になる症状や健康状態に合わせて検査項目を追加したり、組み合わせたりすることができます。検査できる項目数が多いため、法定健診だけでは見逃すおそれがある見つけにくい病気を早期発見できる可能性が高まります。
どんなに健康へ気を遣っている方でも、病気にかかってしまうことはあるでしょう。「法定健診を受けているから、大丈夫」と一息つくのは、危険なのです。
大病へと発展してしまう前に病気の芽を見つけて処置できるよう、人間ドックも併せて受診することがこれからの健康維持には必要です。
人間ドックの受診費用の平均は3~4万円
はじめて受診する場合はスタンダードコースをお勧め
はじめて人間ドックを受診をする場合、「どのコースを受診したらいいのか」と迷われる方も多いです。これまで一度も人間ドックを受診したことがなく、現状気になる症状や自覚症状がないのであれば、まずは全身の健康チェックができる「スタンダードコース(基本コース)」を選択するとよいでしょう。
スタンダードコースは、その医療機関で設定されている「標準的なコース」を指します。多くは法定健診の検査項目に、がんリスクを血液で検査する腫瘍マーカーや上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)、腹部エコー検査、便検査などが追加されます。
主な検査項目にかかる費用
- 身長、体重、腹囲測定 3,000円ほど
- 視力、聴力検査 3,000~4,000円ほど
- 胸部エックス線検査 3,000円ほど
- 血液検査(肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、貧血検査) 3,000円ほど
- 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査) 600円ほど
- 心電図検査 2,000円ほど
- 腫瘍マーカー(がんの種類1つに対して1,500円~3,000円)
- 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ) 4,000円ほど
- 腹部エコー検査 5,000円ほど
- 便検査 2,000円ほど
自費だからこそ、医療機関や検査項目に納得感が必要
人間ドックは医療機関によってかかる費用や受けられる検査項目が異なります。
「株式会社 ニッセイ基礎研究所」の調査報告では、検査を受ける際の施設選びのポイントとして、「学会等が認定する施設」の推奨や、「受けたい項目を受けることができる施設」を選ぶこと、また「毎年同じ施設か、もしくはいくつかの異なる施設か」など、継続して受診することを前提に施設選びを行うよう、指摘しています。
参考:ニッセイ基礎研究所「人間ドック、どこで受けても同じなの?」
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=58033&pno=2&more=1?site=nli#anka1
人間ドックは病気のための「治療」ではなく、病気になる前に「予防」として受けるものなので、保険の適用や医療費控除の対象外となります。それだけに、できる限り納得して検査を選び、受診する施設を決めたいと考えるのは、自然な流れといえるでしょう。
医療機関で違いが出る人間ドック受診のための4つのポイント
同じ「人間ドック」でも、医療機関によって、かかる費用や受けられる検査項目が異なることは前述した通りです。自分が受けたい検査項目が設定されているか、検査内容が費用感とマッチしているかなどを総合的に判断すれば、より納得して受診施設やコースを選ぶことができるでしょう。医療機関によってどのような点で違いが出てくるのか、以下4つのポイントを参考に検討してみてください。
検査項目(検査内容)
例えば「日帰り人間ドック」など、コース名が同じ、もしくは費用帯が似ていたとしても、医療機関ごとに重視している疾患や得意な科目が異なるため、設定している検査項目の内容や数には違いが出てきます。
医療機器や設備
大病院なのか、それとも町のクリニックなのか、人間ドックを受診する病院の規模でも検査機器などの設備は異なります。どのような設備を導入しているかで、検査自体に差が出てくることはあるので、設備についてもチェックしておきましょう。
検査結果のチェック体制
レントゲンなどの画像診断で医師がダブルチェックを行っているかどうかなど、疾患の見落としといった精度に関わるチェック体制も、医療機関によって異なる点です。検査の結果報告書が書面で来る以外に、対面で結果説明をしてくれるかどうかも、今後の健康改善に繋がる重要な要素です。
受診後のフォローなど
単独の健診センターでは検査で問題が見つかったとき、治療のために病院を移る必要が出てきます。病院や診療所が併設でそのまま診療にスライドできれば、検査結果のやり取りもスムーズにできるなどの利点があります。
今後も継続して受診することを視野に入れながら、健康第一で決定する
人間ドックを受ける目的は、「健康状態をチェックすること」であるため、まずは自分が受けたい検査項目が設定されているかを確認しましょう。設定されていたら、設備や検査体制、受診後のフォローはどのような内容になっているのか、そして総合的に見たときに費用感とマッチしていて納得感があるかどうかを照らし合せてください。
なお、はじめは「今後も同じ医療機関で検査を受けること」を視野に入れて、人間ドックを受診する医療機関を決めるようにした方が良いです。経年で結果を見ていくことができれば、現在の健康状態が良いのか悪いかを判断しやすく、日々の予防にも役立ちます。
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【コース別】人間ドックの受診費用一例
【人間ドック】
- 検査内容
- 健康状態を総合的にチェックし、生活習慣病やがんをはじめとした各種疾患リスクの早期発見につなげることが目的であるため、全般的な幅広い検査を実施。
- 検査費用
- 30,000~40,000円ほど
【脳ドック】
- 検査内容
- 脳血管疾患をはじめとした脳疾患やその関連リスクの早期発見・早期対応に重点を置いたコースで、頭部MRI・MRA、頭部CT検査、頚動脈エコー検査などを実施。
- 検査費用
- 30,000~50,000円ほど(検査項目数によって異なる)
【心臓ドック】
- 検査内容
- 心臓病(心疾患)リスクとして心筋梗塞・狭心症・弁膜症・不整脈などの予兆がないかをチェックするコース。安静時心電図、動脈硬化検査、超音波検査などを実施。
- 検査費用
- 10,000~50,000円ほど(検査項目数によって異なる)
【胃がん検診】
- 検査内容
- 日本人の罹患(りかん)数が多い胃がんリスクの早期発見を目的とする検診。主な検査方法は、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)、上部消化管エックス線検査(バリウム)、ABC検査などで実施。
- 検査費用
- 10,000~20,000円ほど(バリウム検査で問題が見つかった場合は内視鏡で再検査)
【大腸がん検診】
- 検査内容
- 胃がん同様に罹患(りかん)数の多い大腸がんリスクを早期発見するための検診。大腸内視鏡検査(大腸カメラ)、下部消化管造影検査、CT・MRI検査、便潜血検査などで実施。
- 検査費用
- 30,000円ほど(検査方法による)
【乳がん検診】
- 検査内容
- 日本人女性罹患(りかん)率が非常に高い乳がんリスクを早期発見するための検診。40代以上ではマンモグラフィー、20代~30代では乳腺超音波検査や視触診で検査を実施。
- 検査費用
- マンモグラフィー単体で5,000円ほど。乳腺超音波検査単体で4,000円ほど
【PET検診】
- 検査内容
- 特殊な検査薬でがん細胞に目印をつけることで、全身のがんをスクリーニングするための検診。PET検査とCT検査を組み合わせた「PET-CT検査」が設定されている検診コースもあります。
- 検査費用
- 100,000円ほど
まとめ:自己負担を少しでも抑える補助金制度も
人間ドックは基本的に自費診療ですが、医療費として還付を受けられるケースや補助金制度を受けられるケースも。
受診後に問題が見つかた場合で、「再検査」や「診療」となったときは保険が適用されます。そのため、年末調整時に還付対象となる医療費控除の申請をすることが可能です。また、人間ドック受診のための補助金や助成金制度を設けている自治体や健康保険組合もあります。申請して人間ドックを受ければ、受診費用が所得税の医療費控除対象に。
補助金制度を受けるには、所属している健康保険組合や住所地を管轄する自治体、加入している生命保険会社で制度があるか確認してみましょう。事前申請なく、全額自己負担で受診してしまうと、控除対象にならないこともあるので注意してください。