人間ドック

30代は人間ドックを受けるべき?年齢別リスクに見る人間ドックの必要性

大阪府済生会中津病院 総合健診センター 部長 田中督司先生

この記事の監修ドクター

大阪府済生会中津病院 総合健診センター 部長
田中 督司

【経歴】
1992年 京都大学医学科医学部 卒業
1992年 神戸市立中央市民病院 研修医
1994年 京都大学医学部 大学院
1999年 大阪赤十字病院
2007年 大阪府済生会中津病院
2015年 大阪府済生会中津病院 総合健診センター部長 就任
【資格】
日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医
日本内分泌学会認定 内分泌代謝科専門医

人間ドックは、全身の健康状態を検査でき、病気の早期発見・早期治療に貢献してくれます。

しかし、何歳から受けるべきなのか、数ある検査項目からどのような検査を受けるべきか、気になる方もいるのではないでしょうか?

今回は、働き盛りの世代でもある30代の病気のリスクや人間ドックの必要性、そして人間ドックの検査でわかる病気などについてご紹介します。

目次
  1. 30代でもがんや脳卒中に?30代にもある病気のリスク
  2. 30代に人間ドックは必要?
  3. 30代でも早過ぎない!生活習慣や体調が気になったら、人間ドックの受診の検討を
  4. まとめ:30代でも人間ドックを受診する必要はある

30代でもがんや脳卒中に?30代にもある病気のリスク

「30代はまだ若いから病気とは縁がない」わけではありません。30代では、以下の病気のリスクがあります。

男女共通
がん、心疾患、脳血管疾患
女性
甲状腺疾患、骨粗鬆症、子宮頸がん、乳がんなどの女性のがんなど

がんや心疾患、脳血管疾患は、命にかかわることもある病気です。これらの病気や前兆となる異常を早期に発見するためには、30代のうちから、健康診断+人間ドックで全身をチェックすることが望ましいでしょう。

健康診断と人間ドックの違い

健康診断は、法律に基づいて主に会社員を対象に定期的に実施する検査です(アルバイト、パートが含まれる場合もある)。一方、人間ドックは任意で、健康診断だけではカバーできない部分まで、全身を詳しくチェックする検査です。

検査項目は、人間ドックの方が多く、健康診断では行われない検査を通じて、さまざまな病気やリスクを発見します。

また、人間ドックは自由診療のため、検査費用は全額自己負担となります。選ぶコースや検査、受診する医療機関によって費用に差があるため、具体的な金額については受診先に問い合わせてください。

人間ドックと健康診断の違いについて詳しく知りたい方は「人間ドックと健康診断の違い|検査項目の種類やオプション検査のこと」の記事へ

30代に人間ドックは必要?

働き盛りの世代である30代は、ストレスや生活習慣の影響を受けることが多くなります。事実、先ほど挙げた「30代でも罹患(りかん)のリスクのある病気」の中には、密接に生活習慣やストレスが発症に関わっているものがあります。

上記の病気のリスクが気になる人、日頃の生活習慣が気になる30代の人は、人間ドックを受けて体に異常がないか調べてみてもよいかもしれません。人間ドックを受けるべきかどうか迷うときは、かかりつけの医師に相談してみてください。

検査ごとに調べられる病気と30代におすすめの検査項目例(オプション検査を含む)

30代に推奨する検査項目と、その検査でわかる病気をまとめてみました。

  • 血液検査
    脂質異常症、糖尿病、肝機能障害、高尿酸血症、感染症など
  • 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
    逆流性食道炎、胃潰瘍、胃がん、胃ポリープ、十二指腸潰瘍など
  • 便潜血反応検査
    消化管出血、大腸ポリープ、大腸がんなど
  • 腹部超音波検査
    肝臓がん、脂肪肝・胆のう結石、腎結石など
  • 胸部エックス線検査、胸部CT検査
    肺炎、肺がん・肺気腫など
  • 乳房エックス線検査・乳腺超音波検査
    乳がん(女性向け)
  • 腫瘍マーカー(PSA)
    前立腺がん(男性向け)
  • 脳ドック
    脳梗塞、脳出血、未破裂脳動脈瘤など
  • 心臓ドック
    心筋梗塞、狭心症など
  • 甲状腺検査
    甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、甲状腺機能低下症など

30代でも早過ぎない!生活習慣や体調が気になったら、人間ドックの受診の検討を

30代は、さまざまなライフイベントやそれに伴うライフスタイルの変化によって、健康が気になり始めてくる年代です。日頃から運動をしたり、十分な睡眠をとったり、バランスのよい食生活を心掛けたりすることはもちろんのこと、自分の体の状態を知る一つの方法として、人間ドックを受けることを視野に入れてもいいかもしれません。

特に、生活習慣が乱れがちで、自覚症状はないものの健康が気になる人は、人間ドックを検討してみてもよいでしょう。

人間ドックを受ける頻度は、原則として年1回程度が望ましいとされています。特にがん・心臓病・脳卒中のいわゆる「三大疾患」は年齢を重ねるとともにリスクが高くなる病気。30代のうちから人間ドックで体の状態を把握することで、これらのリスクの芽を摘み取り、早いうちから、予防・対策ができます。

人間ドックが受けられる病院を探すときは「機能評価認定施設」を参考にしてみよう

人間ドックを受けられる場所は、大きな病院からクリニックまでたくさんありますが、受診先を選ぶ指標としては、日本人間ドック学会の「機能評価認定施設」を参考にするとよいでしょう。

この「機能評価認定施設」とは、日本人間ドック学会が定める複数の審査項目をクリアした優良施設のことをいいます。人間ドックを受診する人が安心して健診を受けるための一つの指標になるでしょう。

なお、機能評価認定施設は、日本人間ドック健診協会が運営する『e人間ドック』から探すことが可能です。『e人間ドック』「認定施設」(運営:日本人間ドック健診協会/監修:日本人間ドック学会 機能評価委員会)

まとめ:30代でも人間ドックを受診する必要はある

人間ドックは、「高齢者のみが受けるべき検査」ではありません。今回触れたように、生活習慣病などの病気のリスクは、30代でも生じるものです。また、女性特有のがんなど、若いうちからかかりやすいものもあります。

自身の普段の生活や体調を振り返り、気になる点があれば、人間ドックの受診を検討してみましょう。

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