がん検診

乳がんのセルフチェック|まずは自己検診で早期発見

この記事の監修ドクター

高井戸東健診クリニック 院長
市毛 敬子

1981年 東京慈恵医科大学卒業
2006年 高井戸東健診クリニック 勤務開始

乳がんのセルフチェック(自己検診)は、乳房のわずかな変化や異常にいち早く気づくことで乳がんの早期発見へつなげる有用な方法です。ただし、マンモグラフィやエコー検査に代わるものではありません。

この記事では乳がんのセルフチェック方法について詳しく解説します。

目次
  1. 乳がんのセルフチェックの重要性
  2. 乳がんのセルフチェックの方法
  3. 乳がんができやすい場所
  4. セルフチェックで変化を見つけた場合は早めに病院へ
  5. まとめ|定期的に乳房を把握することが乳がん発見の第一歩

乳がんのセルフチェックの重要性

乳房に触れて普段から自身の乳房の状態を知っておきましょう。

乳がんは身体の表面に発生するため、自分の手で触れることができます。実際、疑わしいしこりに自分で気づいたことをきっかけに病院を受診して乳がんと診断されることも少なくありません。

乳がんは体表の病気ですが見ただけではなかなかしこりには気づきません。触れてみないとわからないのです。見るだけでなく乳房に触れて自身の乳房の状態を知っておきましょう。ふだんの乳房の状態がわかっていれば、わずかな異変にも気づきやすくなります。

月に1度のセルフチェックを習慣化し、小さな変化やしこりを見逃さないことが重要です。

乳がんのセルフチェックの方法

1 鏡の前で左右の乳房を見る

乳がんのセルフチェック1:鏡の前で左右の乳房を見る。乳頭(乳首)を軽くつまんで乳頭分泌物がないかも確認を。

まっすぐに立ち両腕をしぜんに体側にたらした状態、両腕を挙げて万歳した状態で自身の乳房を観察します。乳頭(乳首)を軽くつまんで乳頭分泌物がないかも確かめましょう。

▼チェックポイント

  • 乳房の皮膚表面にただれがないか
  • 乳房にひきつれ、でっぱり、くぼみがないか
  • 乳房の形や大きさの変化はないか
  • 乳頭(乳首)の周りを圧迫した時の出血や分泌物がないか

2 仰向けに寝て乳房を触る

乳がんのセルフチェック2: 仰向けに寝て乳房を触る

仰向けに寝てクッションや畳んだタオルを肩の下に敷きます。

  1. 左腕を上げ、右手で左の乳房全体に渦巻きを描くように、乳房の外側から内側に寄せるよう触れていきます。乳房の下部分も忘れずにチェックしましょう。反対側も同様に行ってください。
  2. 腋の下にそろえた4本の指先を入れ、脇から乳房横、乳頭にかけてなでおろすように触れていきます。腋の下のリンパ節が腫れていないかの確認です。

▼触診のこつ

  • 指の腹を使います。乳房をつまむと正常な乳腺がしこりに感じられるのでつまんではいけません
  • 月経のある方は乳房が軟らかい月経後1週間目ころがおすすめです
    閉経している方は月一回日にち(例えば毎月1日に)を決めて行います
  • 風呂の洗い場が広ければ、入浴時に指に石鹸をつけて触診するとわかりやすいです
  • 正常な乳房でも左右差や多少の凹凸があります。ふだんの自分の乳房を知って変化を見つけることが大事です

乳がんができやすい場所

乳がんができやすい場所

乳房全体のなかで、乳がんができやすい場所があります。セルフチェックをする際に参考にしてください。

乳房を、内側上部/内側下部/外側上部/外側下部/乳輪部に分けた場合、乳がんが最も多く発生するのは外側上部(47.6%)、次いで内側上部(23.5%)、外側下部(13.0%)、内側下部(6.8%)、乳輪部(6.1%)の順となっています。乳がんのできやすい外側上部を念入りに確認してください。

ただし、乳がんが発生する頻度が高いところだけに乳がんができるわけではありません。セルフチェックで触り忘れたり、触りにくい場所は乳房下部や乳輪部なので、乳房全体をまんべんなく触るようにしましょう。

セルフチェックで変化を見つけた場合は早めに病院へ

セルフチェックで変化を見つけた場合は、すぐに乳腺専門の医療施設(乳腺外科、乳腺科、乳腺内分泌外科、一部の婦人科)を受診しましょう。あるいは定期的に受けている乳がん検診を早めに受けましょう。

まとめ|定期的に乳房を把握することが乳がん発見の第一歩

セルフチェックは自宅でできる乳がん発見に有用な方法です。しかしセルフチェックだけで十分ということではなく、合わせて定期的に乳がん検診を受けることが重要です。乳がん検診で「異常なし」と診断された時の自分の乳房の状態を把握しておくとセルフチェックに役立ちます。

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