がん検診

大腸がん検診の費用はいくら?内視鏡検査は高い?検査内容別まとめ

西宮ファミリークリニック 院長 林 泰志先生

この記事の監修ドクター

西宮ファミリークリニック 院長
林 泰志

【略歴】
1995年 和歌山県立医科大学 卒業
1995年 岸和田徳洲会病院
2001年 和帯広第一病院
2004年 東大阪徳洲会病院 院長就任
2009年 西宮ファミリークリニック 開院
【資格】
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医

近年、増加傾向が指摘されているがんの1つに大腸がんがあります。厚生労働省が令和3年(2021)9月に公開した『人口動態統計2020』によると、日本で最も多い死因が悪性新生物(がん)で、年間で37万8385人もの方ががんで命を落としています。
これを死亡数の多い部位別にみると、男性は大腸が第3位、女性は第1位となっており、年間で51,788人が大腸がんで亡くなっています。

食生活・ライフスタイルの欧米化が原因のひとつとされており、進行するまでほとんど自覚症状のない疾患だからこそ、大腸がん検診によるリスクの早期発見が重要といえるでしょう。

今回は、大腸がん検診の目的、費用や検査の種類についてご紹介します。

目次
  1. 大腸がん検診の重要性
  2. 大腸がん検診の費用について
  3. 自分にあった検査の選び方
  4. 症状の有無や目的に応じた定期健診を心がけましょう

大腸がん検診の重要性

大腸内視鏡イメージ

食生活の変化などの影響により、大腸がんは増加傾向が著しい疾患です。がんの中でも大腸がんによる死亡数は、男性では肺がん・胃がんに次いで3番目、女性ではもっとも多くなっています。誰もが正しい知識をもって注意しておくべきだといえるでしょう。

がん検診の目的は、罹患率や死亡率を減らすことです。大腸がんであれば、便潜血検査や、大腸カメラ検査を受けるなど、定期的な健康管理を心がけることが重要です。

大腸がん検診の費用について

自費で検査する場合

人間ドックなど、自費で大腸がん検診を受ける場合はさまざまな検査方法があります。医療機関によって金額や対象年齢が異なり、申込期間なども決まっていないため、自分が受診したいタイミングで検査をすることができます。

便潜血検査

■費用 1,000円~2,000円程度

いわゆる検便で、便に潜む血液の有無を調べます。自宅あるいは健診施設で便を採取して、指定の容器に入れて提出します。

注腸造影検査

■費用 4,000円~5,000円程度(保険診療)

肛門から大腸に空気と造影剤(バリウム)を入れ、X線写真を撮影する検査です。肛門からバリウムと空気を入れていくことで、大腸の輪郭を調べます。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

■費用 20,000円程度(便潜血検査などで異常が見つかった場合は健康保険が適用となります。自己負担額は6,000〜9,000円程度)

肛門から軟らかい管状のカメラ(内視鏡)を挿入し、直接大腸を検査します。

CTによる大腸検査(大腸CT検査、CTコノグラフィ、大腸3D-CT検査)

■費用 20,000円~30,000円程度

大腸を拡張させるための炭酸ガスを肛門から注入し、CTを利用し撮影する検査です。

腫瘍マーカー検査(血液検査)

■費用 2,000円程度(1本あたり)

消化器系がんの腫瘍マーカー(CEA、CA19-9、p53抗体など)で大腸がんのリスクを調べる血液検査です。

S状結腸内視鏡検査

■費用 3,000円程度(保険診療)

肛門から大腸のできやすいS状結腸までを観察する内視鏡検査です。

自治体の補助を利用した場合

一方、年齢など対象者の条件が合えば、各地方自治体(都道府県、市町村、特別区)の補助を利用することで、割安で受診できる場合があります。

各地方自治体による大腸がん検診の補助対象となるのは便潜血検査で、自己負担額は無料から、有料の場合でも500円~1,000円程度です。

ただし、対象年齢や補助金額、申込期間は各地方自治体により設定が異なり、全ての人が受けられるわけではありません。詳細については各担当窓口へお問い合わせください。

精密検査をすすめられた場合

大腸内視鏡検査以外の検査時に「精密検査」と診断された場合は、大腸内視鏡検査が必要となります。また、精密検査に関わる費用は多くの場合、医療保険が適応となります。費用の目安としては以下の通りです。

  • 観察のみの場合:5,000円~7,000円程度
  • 病理組織検査:5,000円~15,000円程度(組織を一部採取して、炎症の程度やがん細胞が含まれていないかなどを調べる)
  • ポリープ切除した場合:20,000円~30,000円程度(検査費用、切除したポリープの病理組織検査の費用などをすべて含む)

自分にあった検査の選び方

腹部の肥満など危険因子を持つ自覚がある人は、画像として分かる検査・診断ができるかどうかという点に重きを置いた大腸内視鏡検査、大腸CT検査などを選ぶことがポイント

大腸がんの発生は、生活習慣や体質によって当然リスクが異なり、選ぶべき検査も異なります。

がん家系(特に近親者に大腸がんの発生が多くみられる)の場合や、体脂肪の過多、腹部の肥満など危険因子を持つ自覚がある人は、画像として分かる検査、正確な診断ができるかどうかという点に重きを置いた大腸内視鏡検査、大腸CT検査などを選ぶことがポイントです。

一方、リスクは高くないが健康管理のために受診しておきたいのであれば、受診者の負担が軽い簡便な方法として便潜血検査を選ぶとよいでしょう。

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症状の有無や目的に応じた定期健診を心がけましょう

症状の有無や目的に応じた定期健診を心がけましょう

早期の大腸がんでは症状はほとんどありませんが、進行すると血便、便秘と下痢を繰り返す、腹痛、貧血などの症状が出ることがあります。このような症状がある人は肛門科や消化器内科を受診することが第一です。

そして、検査内容や検査対象は決まっているが、健康の管理を目的とし、費用を抑えたい人は各地方自治体の検診を利用しましょう。また、生活習慣が乱れている、運動不足であると自覚する人は、費用はかかるが自分のタイミングで、自分の受けたい検査を選択できる人間ドックを利用し、疾病リスクと費用とのバランスを考えた定期受診へとつなげていきましょう。

▼当記事の監修医院が担当
人間ドック(胃カメラ)+大腸カメラ+腫瘍マーカー付:西宮ファミリークリニック[兵庫・西宮市]

 

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