デンスブレストとは|乳がんが見つかりにくい?検診の選び方も解説

がん検診

デンスブレストとは|高濃度乳腺だと乳がんが見つかりにくい?

堀産婦人科 堀 量博先生

この記事の監修ドクター

堀産婦人科 院長
堀 量博

【略歴】
平成3年 東京医科大学卒業

平成15年 山王病院リプロダクションセンター
平成16年 堀 産婦人科 院長就任

近年話題となっているデンスブレスト(高濃度乳腺)の場合、マンモグラフィ検査で乳がんが発見されにくいと聞いたことがある方もいるでしょう。日本人はデンスブレストの方が多く、乳がん検診時に不安になるかもしれません。

この記事ではデンスブレストについての解説や、どのように乳がん検診を選べばいいかの注意すべきことを伝えていきます。

目次
  1. デンスブレストとは|40歳以上の日本人女性の約4割が該当
  2. デンスブレストになる原因・なりやすい人は?
  3. 乳がん検査|デンスブレストの方が留意すべきこと
  4. まとめ|デンスブレストの方は超音波検査の検討を

デンスブレストとは|40歳以上の日本人女性の約4割が該当

マンモグラフィ検査では見つからない場合も

「デンスブレスト」という言葉を聞いたことはありますか?デンスブレストとは「高濃度乳房」のことで、乳房内の乳腺の割合が高い状態を指します。マンモグラフィ検査で「異常なし」と言われた女性が、超音波検査も併せて行ったところ腫瘍が見つかったという症例があり、TVドラマの中でも題材として取り上げられるなど、近年話題となっているケースです。40歳以上の日本人女性では約4割がデンスブレストだと言われています。

デンスブレストになる原因・なりやすい人は?

では、アジア人にデンスブレストが多いのはなぜでしょうか。日本人を含め、アジア人は欧米人と比べると乳房が小さく脂肪が少ないため、乳腺が高濃度になりがちだと言われます。また、乳腺は授乳時期を過ぎると退化していくため、高齢になるにつれて乳腺濃度は低くなっていきます。そのため、一般的に50歳以下の、特に若い世代や授乳期の女性では乳腺濃度が高いケースが多く、マンモグラフィ検査で乳がんが発見されにくい恐れがあるのです。

デンスブレストは体質なので病気ではありませんが、なりやすい要因としては出産回数や授乳経験など女性ホルモンが関連しているも言われています。しかし、明確な原因はわかっておらず、現段階では対象者が自分の体質を把握しておく以外に対処方法はありません。特に30~40代女性では乳腺濃度が高い方の割合が多いため、乳がん検診で触診やマンモグラフィ検査と、超音波検査の併用が必要か否かの議論がなされています。

乳がん検査|デンスブレストの方が留意すべきこと

デンスブレストの方が留意すべきこと

デンスブレストの方が乳がん検診を受診する場合、どのようなことに注意したら良いのでしょうか。

デンスブレストでは乳がんを見つけにくいのか

乳がん検診では、一般的に触診とマンモグラフィ検査または超音波検査の一方を受診することが多いでしょう。マンモグラフィは放射線の影響もあり40代以降で受診を推奨されますが、デンスブレストの場合、マンモグラフィだけでは乳がんが発見されないケースが懸念されています。

マンモグラフィの撮影画像は、乳房に脂肪が多いほど全体的に黒っぽく写り、乳腺組織が多いと白っぽく写る性質があります。ところが、マンモグラフィではがん細胞であるしこりも白く写るため、乳腺組織が多いと画像から乳がん組織を見分けるのが困難となるのです。
一方の超音波検査では、マンモグラフィと真逆にしこりが黒く写るため、乳腺組織が多いデンスブレストの乳房でも腫瘍が発見しやすいという特徴があります。

デンスブレストだと乳がんになりやすい?

脂肪性乳房の方と比較すると、欧米のデータではわずかながら高濃度乳腺の方のほうが乳がんになりやすいことがわかっています。なぜなら、乳がんが発生するのは乳房のなかの「乳管」と「小葉」という乳腺実質の部分なので、乳腺量の多いデンスブレストではそのリスクが脂肪性乳房の方よりどうしても高くなってしまうのです。

しかし、デンスブレストや高濃度乳腺によってどの程度がん発生のリスクが高まるのかについてはまだ根拠となるデータが示されていないため、今後研究が進むにつれて判明していくと考えられています。

乳がん検査の選び方

デンスブレストの場合、マンモグラフィ検査だけを受けても乳がんが発見できない恐れがあります。そのため、現状では超音波検査を併用して検診を受けるのが最善でしょう。特に、セルフチェックで気になるしこりを見つけるなどの自覚症状がある場合には、すぐに医療機関を受診して申告してください。マンモグラフィ検査と超音波検査を併用する乳がん検診を設定している医療機関もあるので、気になる方はWebサイトで検索してみましょう。

まとめ|デンスブレストの方は超音波検査の検討を

デンスブレストの方は超音波検査の検討を

デンスブレストであること自体は体質であり病気ではありません。ですが、乳がん検診ではマンモグラフィだけを受診していても、しこりが発見されない割合が高くなります。超音波検査も併用して受診をすることで、乳がんを早めに発見していきましょう。