胃がん検診費用の目安|検査ごとの違いや保険適用・助成制度について

がん検診

胃がん検診費用の目安|検査ごとの違いや保険適用・助成制度について

栄エンゼルクリニック 水野芳樹 医師

この記事の監修ドクター

栄エンゼルクリニック 院長
水野芳樹

【略歴】
1985年 名古屋市立大学医学部 卒業
2010年 医療法人士正会 理事就任

【資格】
日本消化器病学会認定 消化器病専門医

胃がん検診は検査方法により費用が異なり、年齢によっては自己負担となる場合や、自治体の助成が受けられる場合があります。検査ごとの費用感を把握・理解し、胃がん検診を活用して胃の疾患リスクに備えましょう。

この記事では、胃がん検診の費用目安について、保険や助成制度と合わせて紹介します。

目次
  1. 胃がん検診・検査項目ごとの費用
  2. 検査方法や受診先の選び方
  3. 健康保険の適用や助成制度の活用
  4. まとめ:胃内視鏡検査と胃部X線検査では費用が異なる

胃がん検診・検査項目ごとの費用

胃内視鏡検査イメージ

胃がん検診は受診する検査方法や助成の有無、受診機関によって費用は異なりますが、おおよそ10,000円から20,000円程度です。

さらに検査項目ごとの概要と費用の目安を見ていきましょう。

【胃がん検診、胃がんリスク検診の検査項目と費用】

検査項目 概要 費用
胃内視鏡検査(胃カメラ) 胃がん・食道がん・十二指腸潰瘍などを調べることが主な目的
鼻または口から先端にカメラがついたチューブを内部に入れ観察する
15,000円~20,000円程度
胃部X線検査(バリウム検査) 胃がん・食道がん・十二指腸潰瘍などを調べることが主な目的
バリウムを飲む胃のレントゲン検査
5,000円~15,000円程度
ペプシノゲン検査 萎縮性胃炎を調べる血液検査 4,000円程度
ヘリコバクターピロリ抗体検査 ピロリ菌感染の有無を調べる血液検査 3,000円程度
胃がんリスク検査(ABC検査) ペプシノゲン検査とヘリコバクターピロリ抗体検査2項目の検査結果から胃がんのなりやすさを分類する血液検査 4,000円~6,000円程度

※胃がんそのものの発見ではなく胃がんリスクを調べる検査

検査方法や受診先の選び方

胃がん検診の検査方法や受診先の選び方

胃がん検診は、年代やがんの種類によっても推奨される検査方法が異なります。以下に解説しますので参考としてください。

一般的な胃がん検診は40歳以上の受診を推奨

胃がんは50歳代から発症リスクが急増すると言われています。そのため、国の指針では40歳以上を対象に、自治体が実施する胃がん検診の受診を推奨しています。

胃部X線検査では、わずかではありますが被ばくのリスクがあります。健康に影響を及ぼすことはほとんどありませんが、無害ではないことから、胃がんリスクの低い40歳未満の人は自治体が実施する胃がん検診の対象外です。

近親にスキルス胃がんの罹患者がいる場合は早めの受診を

しかし、特殊な胃がんと言われるスキルス胃がんは例外です。20歳代でも発症することがあり、死を招く疾患の一つとして恐れられています。原因が特定されておらず発症してからの進行が早いため、早期発見を目的に定期的な受診が最も重要です。とくに近親者にスキルス胃がんの人がいる場合には20歳代、30歳代でも定期的な受診を推奨しています。

胃内視鏡検査と胃部X線検査を比較してみましょう

2016年以降、自治体での胃がん検診は胃内視鏡検査と胃部X線検査からの選択制となりました。どちらの検査も目的は胃がん・食道がん・十二指腸潰瘍などのリスクを調べることですが、それぞれの特徴をまとめますので選択する際の参考にしてください。

  胃内視鏡検査(胃カメラ) 胃部X線検査(バリウム)
検査方法 口または鼻から先端にカメラ(内視鏡)のついたチューブを入れ、内部を観察 バリウム(造影剤)と発泡剤を飲み、レントゲン(X線)撮影により表面を観察
特徴
  • 内部を直接観察
  • 小さな病変の発見
  • 粘膜の一部を採取し確定診断が可能
  • 胃の全体像や動きを観察
  • 内視鏡に比べ可能検査数が多く費用が安い
デメリット
  • 麻酔によるアレルギー反応
  • 嘔吐感(経口)
  • 鼻の粘膜が傷づく(経鼻)
  • 鎮静麻酔薬による交通手段の限定
  • 被ばくの影響
  • バリウムで便秘になりやすい
  • 異常が見つかった際は、胃内視鏡検査が必要
  • 自力で体位変換するができない人などは不可

受診先はどう選ぶ?

胃がんは初期での自覚症状がほとんどなく、進行してしまってから見つかることも少なくありません。罹患率が大腸がんに次いで2番目に多い胃がんは、男女ともに注意の必要な疾患になりました。

誰でもが罹患する恐れのある疾患だからこそ、定期的な受診が必要です。そのためには、通いやすい医療機関を選ぶことがポイントです。

  • 自宅や職場に近い場所
  • 胃部X線検査を選択した際に、二次検査の精密検査も同じ医療機関でできる
  • 定期的に通っている医療機関で経時的変化を把握する

健康保険の適用や助成制度の活用

胃がん検診は、自治体などの助成制度を利用費用を安く抑えることができる場合があります。
胃がん検診は、健康保険や自治体などの助成制度を利用することにより、費用を安く抑えることができる場合があります。なお、受診者の状況などにより適用できるケースが異なるため、事前に確認が必要です。

健康保険を利用できるケース

症状のない人に対する一次検査は、検診や人間ドックとされ、任意の検査であるため、保険適用されずに全額自己負担です。ただし、次のような場合は保険が適用となります。

  • 胃痛、吐き気など、なんらかの症状がある場合
  • 健診や人間ドックの二次検査で、内視鏡検査を進められた場合(精密検査)
  • 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治療を受けているか精査が必要な場合
  • 胃X線検査で胃炎を疑われ、内視鏡検査を受ける場合

助成制度を利用できるケース

自治体や加入している健康保険によっては胃がん検診の費用を一部補助していることがあります。補助となる検査方法や対象年齢、費用も自治体や健康保険によって異なりますので、事前確認のうえで受診を検討しましょう。以下はこのケースの一例ので参考にしてください。

  • 職場等で検診の受診機会がない人を対象に、自治体が実施している胃がん検診がある(自治体の胃がん検診は500円から2000円程度で受診可能)
  • 受診者が所属している保険の種類(社会保険・国民健康保険)によって検診費用を補助
  • 社会保険は加入者だけではなく、配偶者などの扶養家族が含まれる場合もある

まとめ:胃内視鏡検査と胃部X線検査では費用が異なる

現代は、誰でもが胃がんに罹患するといっても過言ではありません。胃がんの早期発見には定期的な検診の必要性を理解している一方で、費用が心配な人も多いことでしょう。

胃がん検診は選択する検査方法により費用は異なります。自身に合わせた検査方法を選ぶとともに、補助制度の対象かどうか調べることによって受診者の費用負担を軽減できる場合もあるかもしれません。検査方法や費用を理解し、疾患リスクの高い胃がんを予防する実践として、胃がん検診を定期的に受診していきましょう。なお、実際の費用については受診予定の医療機関へ確認ください。

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