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部位別死亡数で卵巣がんを上回る子宮がん

女性特有のがんである子宮がん(子宮頸がん+子宮体がん)は、女性にとってけっしてめずらしいがんではありません。国立がんセンターの統計によると、2016年における(女性の)部位別死亡数では8位となっており、これは、大腸、肺、すい臓、胃、乳房、肝臓、胆のう・胆管に続いています。また、厚生労働省が2017年9月に公表した「2016年 人口動態統計(確定数)」によると、子宮がんによる死亡数は6,345人と、(同じく女性特有のがんである)卵巣がんの4,758人を上回っています。

早期に受診するほど高まる検診の有効性

子宮がんは、子宮頸がんと子宮体がん(子宮内膜がん)に分けられ、発生場所が違います。子宮頸がんは、(子宮の入り口にあたる)子宮頸部や頸管の上皮から発生し、子宮体がんは、(胎児を育てる)子宮の内側にある子宮内膜から発生します。発生要因も異なり、子宮頸がんの多くは、性行為で感染するヒトパピローマウイルス(HPV)と関連し、子宮体がんの約8割は、エストロゲンという女性ホルモンの長期的な刺激と関連していると考えられています。

また、子宮頸がんに関しては、検診の受診による効果が科学的に確認されており、子宮体がんも、早期に対応を始めた場合ほど経過がよいといわれています。すなわち、まだ自覚症状がないうちに子宮がん検診を受診する意味は小さくありません。

子宮頸部細胞診/子宮体部細胞診/HPV検査/経膣超音波検査が代表的

子宮がん検診の代表的な検査としては、次のものがあります(検査コースや健診施設によって異なります)

<子宮頸部細胞診>
頸部の細胞を綿棒で採取し、がん細胞・がんになりかけているもの(異型細胞)の有無を顕微鏡で観察する検査です。検査結果は、「ベセスダ分類」で表記されます。日本人間ドック学会などで用いられるベセスダ分類の「受診勧奨」基準は、ASC-H、LSIL、HSIL、SCC、AGC、AIS、Adenocarcinoma、Other malig―となっています。

<子宮体部(内膜)細胞診>
子宮の奥の方にある体部の細胞を繊細なブラシで採取し、がん細胞・がんになりかけているもの(異型細胞)の有無を顕微鏡で観察する検査です。20~30代の生理不順や閉経後に出血がみられる場合などに実施されます。

<HPV検査>
子宮頸部の細胞を採取して、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染の有無を調べる検査です。HPVは、皮膚や粘膜に感染するウイルスで、現在知られている100種類以上のタイプのうち約15種類は子宮頸がんの原因となることが知られ、発がん性HPVと呼ばれています。HPVに感染しても、子宮頸がんを発症する例はごくわずかで、発症するまで通常、数年~十数年がかかります。そのため定期的な子宮頸がん検診の受診は、早期発見に有用といわれています。

<経膣超音波(エコー)検査>
腟専用の細長い棒状の形をしたプローブ(探触子)を膣内にそう入し、超音波をあてることで、子宮や卵巣の状態を観察する検査方法です。子宮や卵巣の疾患(子宮がん、子宮筋腫、卵巣腫瘍)などの発見に役立ちます。

若年層で増加の子宮頸がん/食の欧米化で増加の子宮体がん

子宮頸がんの罹患率は、20歳代後半から40歳前後まで上昇傾向を示し、その後は横ばいになります。罹患率・死亡率とも最近は若年層で増加傾向にあります。いっぽう、子宮体がんの罹患数は40歳代から多くなり、50歳から60歳代の閉経前後で最多となっています。近年は食生活の欧米化などによって増加しているともいわれています。そうしたケースにあてはまる人を含むすべての受診者にとって、子宮がん検診は、子宮がんリスクの現状を把握し、早期対応に役立てるという意味を持っています。