大阪府済生会中津病院総合健診センター・PETセンターの写真・動画・インタビュー
大阪府済生会中津病院総合健診センター・PETセンターインタビュー
人生を楽しく送るための基本である健康な身体は、人間ドックや検診を受けることで手に入れていただくことが可能です
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【Dr.インタビュー】総合健診センター部長:田中 督司 先生
PET-コンピューター断層撮影(CT)の大きなメリットである、1回の検査で身体の全体をみることができることを生かして、がんの早期発見・早期治療を行っています。また、PET/CTでは見つけにくい臓器のがんも発見できるようにその他の各種検査を併用することでがん検診の精度を向上させています。そして、画像診断に関しては少しでも取りこぼしの少ない検診を目指して医師3名によるトリプルチェックを整備することで受診者に安心を与えられるように努めています。
昨今、注目度が増している「予防医学」の重要性について、貴院のお考えを詳しくお聞かせください。
治療医学というものは、これまでにずいぶん進歩してきております。しかしながら、進行した病気の治療をしたり、元に戻したりすることは現在でもなかなか難しい状況にあります。そのため、予防医学を実践し、病気を未然に防ぎ、病気を早期発見することで早期治療につなげることは、これからもっと重要になってくるのではないかと思います。
PET検診のどのようなところが、予防医学に貢献するのでしょうか?
PETの優れている点は、全身を1回の検査でみることができるという点です。全ての臓器に関して、すべて検査を行うことはまだ難しいのですが、全身を検査することにより怪しいところを抽出し、その部分に対して精査をすることもできます。そのため、お時間がない状態で一気に短時間で検査を行うことができる点は大きなメリットだと思います。さらに、がんを一度患った方はどこに転移するか分からないため非常に有用な検査になります。
生活の質(QOL)の向上にも予防医療は重要だと考えられますか?詳しく教えてください。
楽しい人生を送るには、やはり健康であることが重要だと考えます。そのために病気というのはいつ起こるか分からない、誰に起こるか分からない不公平なところがあるため、その病気が近づいているのか、もう始まっているかという判断を個人で行うことは非常に難しいと思います。そういう点で、予防医学は病気の有無・現状を関して第三者的目線で判断することにより早期の治療に結びつけたりすることができます。
受診される方のプロフィルや見つかりやすい疾患リスクなどの傾向がありますか?
大阪の中心に当院は位置しており、大阪駅および梅田駅から徒歩圏内にあります。そして当院周辺はビジネス街でもあり、単身赴任の男性を含んだビジネスパーソンの割合が高いと考えております。また、このような働き盛りの方たちは生活習慣病の危険因子をたくさんもっていらっしゃる、あるいはもう生活習慣病になっている方が多くいらっしゃると思います。
PETスタンダードコースの受診が推奨される年代や受診頻度の目安などを教えてください。
PET検診というのは、がんに特化した検診です。そのため、年配の方が中心になると思いますが、例えばごきょうだい、ご両親が若くしてがんになっているというような方がいらっしゃれば、40代あるいは30代でも受けていただくのが良いと思います。しかし、一般的に言えば、50~60代の方が対象であると考えていただければ大丈夫です。また、被爆のことを考えると検査は毎年ではなく2年に1度ほど受けていただければと思います。
PET検診は、喫煙歴が長い方や不規則な生活の方には特におススメでしょうか?
そうですね、不規則な生活を送っている方、あるいは、タバコを長い間吸ってきた方などはリスクが上がるため、そういった方がPET検診を受けることは大きなメリットになると考えます。何よりも受診される方が安心を得られるため、検診を受けた次の日からまた仕事を頑張ることができるなどそういったメリットもあると思います。
PETスタンダートコースの主目的について、詳しく教えてください。
このコースでは、PET/CTを含む血液検査、便潜血反応検査(2日法)などの各種検査を組み合わせることで、全身のがんリスクを総合的にスクリーニングすることを主目的としております。便潜血検査を組み合わせて行うことで、PET検査が苦手としている臓器のがんをフォローすることができるため、スタンダードコースでもさまざまな検査を組み合わせて病気の早期発見を目指しております。
腫瘍マーカー検査について、PET検査と組み合わせることで得られるメリットについてお話をお聞かせください。
腫瘍マーカー検査というのは、血液を採取して調べることでがんのチェックを行う検査になります。しかし、この検査は完全ではないため、補助的な意味合いになるのですが、PET検査と組み合わせることにより、がんの検出率が上がると考えております。このように複数の検査を組み合わせることはがんの発見には非常に有用だと思います。
画像検査の読影体制について、ダブルチェック体制などの特徴はありますか?
PETに関しては、放射線診断PETセンターで撮影した画像をわれわれがチェックして受診者の皆さんに丁寧に報告させていただきます。また、できるだけ見逃しの少ない、精度の高い検診を行い、受診者の皆さんに安心を与えることができるように3人の医師によるトリプルチェック体制を整えております。また、当日中にお話しできない検査結果の報告については、3週間ほどをめどに報告書を郵送させていただきますのでご確認ください。
受診者の皆さんに検査結果を報告するときに何か気を付けていることはありますか?
やはり、検査当日に問題となったところや精査が必要となった項目の説明は強調して、丁寧に、またしっかりとお伝えしております。このほか、前年度と比べて良くなった点、悪くなった点を説明することによって、その方が病気に対して、予防的にこれからの生活習慣の改善などに役立ていただけるように考えてお話をさせていただきます。
南棟1階の場所が結構離れたエリアにある印象ですが、受診者さんへの対応はどのようにされていらっしゃいますか?
おっしゃる通り、南棟は少し離れたエリアにあります。受診者さんが迷ったりすることのないように職員が1人ついてエスコートを行っておりますので、受診者の皆さんが院内で迷われるようなことはありません。また、移動の間も職員が丁寧に対応させていただきますので、何か不安な点やご質問がありましたら遠慮なく職員に聞いていただき、不安を解消していただければと思います。
人間ドックや検診業務にかける先生の熱い思いをお聞かせください。
繰り返しになるかと思いますが、病気というものはいつ起こるか分からないもので、それが不公平に起こってきます。受診者自身の体質や身体の状況というのは運命的なところが半分くらいあると思うのですが、予防医学を利用することによって本人の努力によって病気を避ける、あるいは早期治療を行うことで健康を持てることができると考えておりますので、予防医学を積極的に利用していただきたいと思います。