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特集・コラム

10月は「ピンクリボン月間」…全世界で乳がん検診の啓発キャンペーン

篠原 隆史

<< 執筆者 >>

しのはら りゅうじ
篠原 隆史

朝日新聞社、ドラッグマガジン社(薬剤・医療・健康関係の出版社)、フリーライター(医療・科学技術系誌の編集などに従事)

【取材・執筆・編集実績(一部)】
・厚生労働省の医療系会議(先進医療会議など)
・日本医師会の定期記者会見
・製薬会社による医師向け新薬情報セミナーおよび新薬情報
・文部科学省の医療系会議(科学技術・学術審議会など)

乳がんで悲しむ人をひとりでも減らしていくために―毎年10月は「ピンクリボン月間」として、乳がんに関する正しい知識の普及と、乳がん検診の受診を通じた早期発見・早期治療を啓発するキャンペーンが全世界的に展開されています。

この運動は1980年代のアメリカで始まり、1990年代に欧米で拡大、日本でも2000年ごろから次第に広まり始めました。現在では、市民団体や自治体、企業などによる毎年の取り組みが、すっかり一般的になっています。

女性にとって「乳がん」は、がんの部位別罹患数でも罹患率でもトップです。乳がんの悲劇を少しでも減らしていくためにも今回は、「ピンクリボン月間」について紹介します(割合こそ少ないですが、男性も乳がんに罹患する可能性があります)

ピンクライトアップの背景―乳がんは身近な疾患

毎年10月の「ピンクリボン月間」が始まると、巷の各所で啓発ポスターやのぼりを見かける機会が増えます。また、乳がん検診の大切さをアピールするイベントやシンポジウム・セミナーなども開催されるほか、東京都庁やレインボーブリッジ、神戸ポートタワーの「ピンクライトアップ」などを目にした人も多いでしょう。

これは、乳がんによる悲劇がそれほど身近という証明でもあります。ではそもそも、乳がんとはどのような疾患でしょうか。

乳がんとは

乳房(にゅうぼう)は、母乳をつくる乳腺と乳汁を運ぶ「乳管」や脂肪などからなっています。乳腺には、腺葉と呼ばれる15~20個の組織の集まりがあり、さらに腺葉は、乳管と多数の「小葉(しょうよう)」から構成されています。

乳がんは、この「乳管」や「小葉」で発生する悪性新生物(がん)です。乳がんの多くは乳管から発生するため、「乳管がん」と呼ばれます。小葉から発生する乳がんは、「小葉がん」と呼ばれます。

国立がん研究センターなどによると、乳がんの発生は30代から増加をはじめ、40代後半から50代でピークを迎えるとされています。

また、日本における乳がんは、2000年代初頭には女性の30人に1人が(一生の間に)罹患するとされていましたが、現在では11人に1人の罹患率にまで増えているといわれています。

「乳がん」の罹患率は大腸がんや胃がんや子宮がんより高い 

乳がんが増えていることは、データをみるとはっきりします。

女性10万人あたり117.5人が罹患

国立がん研究センターが2017年9月に公表した統計によると、2013年(この統計時点の最新)における、女性人口10万人あたりの「部位別がん罹患率(全年齢)」で、「乳がん」は117.5人とトップでした。

これは、「大腸がん」の同86.4人、「胃がん」の同62.8人、「肺がん」の同55.2人、「子宮(子宮頸部+子宮体部)がん」の同36.9人などとくらべて大きい数値です。

ここ10年で罹患率は約1.8倍

しかも深刻なのは、この罹患率がほぼ右肩上がりの傾向にあるという事実です。同じ統計で、2003年~2013年にかけての、女性人口10万人あたりの「乳がん罹患率(人)」の毎年の推移は次のとおりです。

66.9 → 73.7 → 72.7 → 76.1 → 86.0 → 90.8 → 93.7 → 103.6 → 110.5 → 113.0 → 117.5(前述)

つまりここ10年あまりの間に、罹患率は約1.8倍になったことがわかります。

2013年には全国で7万6千例の新「乳がん」患者

パーセンテージだけでなく人数も―罹患数もみてみましょう。同じく国立がんセンターの統計によると、2013年における女性の「部位別がん罹患数」で、「乳がん」は7万6,839例となっています。これもやはりトップであり、「大腸がん」の5万6,508例、「子宮がん」の2万4,099例を上回ります。

ちなみにこの数値は、2013年に新たにがんと診断された人が、全国にどれほどいるかを推計した数を意味しています。

30代から増加傾向が始まるから若年からの受診が大切

しかも「乳がん」の罹患率が、30代から増加し始める傾向にあることは重大です。先ほど、2013年の女性人口10万人あたりの「乳がん罹患率(全年齢)」を117.5人と示しました。国立がんセンターの統計で、これを5歳ごとに区切った年齢別でみると、次のとおりです。

  • ・25歳~29歳 9.0人
  • ・30歳~34歳 24.9人
  • ・35歳~39歳 60.1人
  • ・40歳~44歳 132.2人
  • ・45歳~49歳 211.3人
  • ・50歳~54歳 197.8人

この傾向(罹患する年齢層)は、とくに社会の中心で働いている年齢層に影響することを示しており、社会全体で注意すべき問題といえるでしょう。

ただし乳がんは、早期発見・早期治療により、十分な対応の可能性が高まるがんともされています。自覚症状のない時期から、それも、(健康に自信がある人の割合も多い)若い年齢層のうちから、乳がん検診を受診して健康状態を把握しておくことが大切です。

その意味でも、乳がん検診を啓発する「ピンクリボン月間」には意義があります。

検査はマンモとエコーが代表的 乳房専用PETもあります

人間ドックの乳がん検診としては、「マンモ」と「エコー」が代表的であり、よく知られています。また、検診では両方とも実施されるケースもあります。それぞれの特徴は次のとおりです。

マンモグラフィ(乳房X線検査)

乳房をはさみながら圧迫し、上下方向から1枚、左右方向から1枚(合計2枚・両方の乳房を撮影する場合は合計4枚)を撮影し、しこりの陰や石灰化など乳房の病変を、X線(マンモグラフィ)を用いて調べる検査です。病変がある場合、良性か悪性かの判断の指針となります。

乳腺(乳房)超音波(エコー)検査

超音波を用いて、乳房や乳腺の状態を観察する検査です。とくに、しこり(腫瘤)を形成するタイプの乳がんや乳腺症、乳腺線維腺腫などに罹患するリスクの早期発見に役立ちます。受診者にとっては、検査自体に痛みがないという利点があります。

そのほかに最近では、「PEM検査(乳がん専用PET)」もあります。これは、乳がんについて調べるPET(陽電子放射断層撮影)検査です。全身用のPET検査と併用されることが一般的で、専用の機器で検査します。

検査機器には、乳房を平板の検出器ではさむ「対向型」と、うつぶせで検出器を中心に乳房を下垂させる「リング型」があります。乳房に近い位置で撮影ができるため、乳腺のがんの有無を調べる場合に有用です。また、乳房にかかる圧力は、マンモグラフィよりも小さいという特徴があります。

受診者の負担を軽減し、正確な検査結果を目指して検査機器は進歩を続けています。しかしいくら機器のレベルが向上しても、検診を受診しなければ効果はありません。

「乳がん検診」の受診率は上昇傾向とはいえまだ低い

この「乳がん検診」の受診率は、他のがん検診と同様、上昇傾向にあります。

厚生労働省が2017年6月に公表した、2016年の『国民生活基礎調査の概況』によると、過去1年間に「乳がん検診」を受診した人(40歳~69歳が対象)の割合は36.9%でした。

前回2013年調査の34.2%、前々回2010年調査の30.6%とくらべ、着実に上昇している様子がうかがわれます。

ちなみに、国民生活基礎調査は3年に1回、大規模調査(それ以外は簡易調査)が実施されています。2016年は大規模調査の年でした。

同調査では、過去2年間に受診した人の割合も調べています。具体的には、2016年調査では44.9%で、前回調査の43.4%、前々回調査の39.1%とくらべ、やはり上昇しています。

しかし、厚労省が2012年に掲げた方針「健康日本21(第2次)」(2012年7月10日厚労省告示430号)では、がん検診の受診率の目標値を「2016年度で50%」としており、なお開きがあります。また、欧米や韓国の受診率が7~8割であるのにくらべ、まだ低いことも事実です。

さいごに

2017年9月に厚生労働省が公表した『人口動態統計』(確定数)によると、2016年における乳がんによる死亡数は、女性で1万4,015人(男性は117人)と、2015年にくらべて431人の増加でした。

30代から罹患率が増加していることや、検診の受診率が低いこと、早期発見・早期治療が効果的である事実を考えると、早い時期に人間ドックなどで検診を受診することによって、乳がんの罹患率や死亡数の減少に結びつくことは容易に想像できます。

「ピンクリボン月間」をきっかけに、知らないままにしておくよりも、「知ってみる」ことの重要性を、考えてもよいかもしれません。