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腹痛

お腹が痛い、下腹部の痛み

「お腹が痛い」と一言に言っても、お腹のどのあたりが痛いのかによって原因として考えられる可能性の高い疾患が変わってきます。臨床の現場ではお腹をおへそを中心にして右上、右下、左上、左下の4分割に分けて、これにさらに心窩部(みぞおちのあたり)と臍周囲(お臍のあたり)という区分も追加して原因を推察していく場合が多いです。

心筋梗塞などお腹の以外の部位の異常が腹痛を引き起こすこともありますので、お腹以外の疾患も可能性の候補には挙げておく必要があります。急激な激しい痛みの場合は炎症、結石、腸閉塞、婦人科疾患など、すぐにでも治療を要する急性疾患の可能性があります。

また、慢性的に何となくお腹が重い、我慢できないほどでないにしても軽い痛みが続く場合などはがんが原因の痛みかもしれません。いずれにして、腹痛は放置すると生命に関わる恐れのある症状です。ためらわずに早い段階で医療機関に相談するようにしましょう。

腹痛の原因

上記で説明したお腹の区分にならって考えると、以下の表のような疾患が腹痛の原因として考えられます。

腹痛の部位 考えられる疾患
右上腹部 胆のう炎、胆管炎、胆石、総胆管結石、腸炎、腸閉塞、消化管穿孔、憩室炎、肝臓の腫瘍・膿瘍、肝炎 、腎結石、腎盂腎炎、肺炎、肺塞栓、胸膜炎、肋骨骨折、肋軟骨炎など
右下腹部 虫垂炎、腸炎、腸閉塞、消化管穿孔、憩室炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群 、子宮外妊娠、卵巣腫瘤、卵巣茎捻転、付属器炎、卵巣出血、月経困難症、子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患、腎結石、腎盂腎炎、腎梗塞、膀胱炎、鼠径ヘルニアなど
左上腹部 狭心症、心筋梗塞、心膜炎、食道炎、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、すい臓腫瘍、すい炎、腸炎、憩室炎、腸閉塞、消化管穿孔、腎結石、腎盂腎炎血管、大動脈解離、(腸間膜動脈血栓症などによる)腸間膜虚血、脾梗塞、脾破裂、肺炎、肺塞栓、胸膜炎、肋骨骨折、肋軟骨炎など
左下腹部 腸炎、憩室炎、腸閉塞、消化管穿孔、(腸間膜動脈血栓症などによる)腸間膜虚血、クローン病、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、子宮外妊娠、卵巣腫瘤、卵巣茎捻転、付属器炎、卵巣出血、月経困難症、子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患、腎結石、腎盂腎炎、腎梗塞、膀胱炎、S状結腸軸捻転、鼠径ヘルニアなど
心窩部(みぞおちのあたり) 胆のう炎、胆管炎、胆石、総胆管結石、心筋梗塞、心膜炎、食道炎、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、アニサキス症、消化管穿孔、すい臓腫瘍、すい炎、大動脈解離、(腸間膜動脈血栓症などによる)腸間膜虚血など
臍周囲(おへそのあたり) 初期の虫垂炎、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、腸炎、憩室炎、腸閉塞、消化管穿孔、小腸腫瘍、小腸閉塞 、大動脈解離、(腸間膜動脈血栓症などによる)腸間膜虚血など

これはあくまで可能性が高い疾患の列挙であり、必ずしもこれに当てはまらない場所に痛みが出ることもあります。虫垂炎(いわゆる盲腸)など、発症してから痛みの部位がだんだん移動するような疾患もあります。なので、あくまで目安にして考えていきます。

そして、このように腹痛という症状だけでは考えられる可能性は枚挙に暇がないため、血液尿検査、CTや超音波、MRIなどの画像検査を同時に行うことで鑑別を絞り込んでいく必要があるのです。上の表には記載していませんが、ストレスなどによる心因性の腹痛や、便秘が原因の腹痛もままあります。

受けるべき検査

一般診察(問診、聴診、打診、触診)、血液検査、便潜血検査、尿検査、心電図検査、腹部骨盤部超音波検査、腹部骨盤部CT検査、腹部骨盤部MRI検査、上部・下部内視鏡検査(胃・大腸カメラ)など

痛みの状態、経過や診察の結果に応じて受けるべき検査が異なります。
受診する医療機関に相談し、自分の状態にあった検査を受けるようにしましょう。

注意事項

腹痛の検査の主役は腹部レントゲンと腹部骨盤部CTです。妊娠中は腹部骨盤部CTなど放射線を使う検査やPETなど放射線医薬品を投与する検査は胎児被爆を避けるために原則受けることができません。妊娠の可能性がある場合は、必ず医療機関にその旨を伝えるようにしてください。なお、妊娠していても子宮外妊娠などが疑われるときはCT撮影を施行する場合もあります。

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